大日本vs凸版、どちらが勝つか?


ケータイチラシに量販店からの問い合わせが殺到!
日経産業新聞10月16日)


うかつにも見逃していたが、ケータイへのチラシ配信サービスがすでに始まっていた。大日本印刷の『オリコミーオ!ケータイチラシシステム』である。
http://www.dnp.co.jp/jis/news/2006/060726.html


今のところは、まだケータイチラシのポータルサイト『オリコミーオ!モバイル』の開設にまでは至っていないようだが、それも年内オープンを目指している。6月に書いたエントリーでは凸版印刷の『Shufoo!』を取り上げて、2年後ぐらいには凸版がケータイチラシに乗り出してくるのでは、などと予想した。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060604


が、凸版の動きを見て大日本が黙っているはずもない。しかも考えることは誰でも同じ。次は『ケータイ』である。何しろケータイは『24/30メディア(24時間、いつも30cm以内にあってネットにいつでもつながるメディア。残念ながらこの用語、未だにどこも採用してくれないけれど)』である。しかもおそらくは40代までの、こと主婦に限れば保有率95%は超えているメディアでもある。


ここを狙わないはずがない。


もちろん、そんなことは大日本も凸版もずっと考えていたはずで、要はタイミングの問題だったはずだ。タイミングを計るポイントはたぶん3点ある。


一つにはケータイでチラシ画像をストレスなくみせるための画像表示技術の問題。チラシデータそのものはすでにデジタル化されたものがあるはずで、それをいかにケータイ用に加工するか。さらにはズームアップしてみせる技術に何を採用するか。このあたりが検討されていたはずだ。


次は通信速度の問題。これについてはauはすでに高速化が進んでいたが、シェアトップ(主婦はなぜかドコモユーザーが多い)のドコモが遅れていた。となればドコモが高速化を実現する頃が、一つのメドとなる。その意味でも大日本が『オリコミーオ!モバイル』の年内開設を目指すのはベストタイミングだろう。


三つめにはクライアントサイドの認知度だ。凸版、大日本共にまずはチラシをネット上で見せることからスタートし、その効果などを地道に説得してきたのではないだろうか。そして凸版の『Shufoo!』に関しては100社4000店舗1000万ページビューまで来ている。大日本のデータはないが、クライアントもネットチラシ、ケータイチラシのメリットは理解してきているはずだ。


まさに機は熟したのだと思う。


チラシをケータイに配信できるようになれば、クライアントはいずれ紙チラシをやめることになるだろう。それぐらいケータイチラシのメリットは大きい。そのメリットとは
・前夜のうちに主婦が見た商品(クリックデータでわかる)の仕入を厚くしておき、店頭で大陳する
・関心を持ってもらえなかった商品の価格を意図的に下げて、再配信する
・時間ごとにチラシ内容を変える
・最終的には、主婦に事前登録してもらったデータに基づいてカスタマイズされたチラシを配信する
等々が考えられる。
http://d.hatena.ne.jp/atutake/20060603/1149283418


このケータイチラシに関してはおそらく大日本、凸版が完全に独占してしまうことになるのではないか。なぜなら、これは完全にデータシステムの勝負であり、クライアントが求めるリアルタイムデータを提供できるたけのシステム構築は、大日本、凸版クラスの資本力がなければ無理だろう。大日本の動きを受けて、凸版がどんな巻き返し策に出てくるか。ここは注目である。


新聞折り込みからチラシが消える日。


これはもはやSF的世界ではなく、確定された未来となりつつある。



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『問題発見力と解決力/小林裕亨・永禮弘之』
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