白物家電は色物家電に


2004は無彩色、2008は有彩色


冷蔵庫の売れ筋の色の話。過去の販売データによれば、冷蔵庫には無彩色と有彩色が交互に人気のピークを迎える「カラーサイクル」があるらしい(日経産業新聞10月31日)。


このデータに基づいて三菱電機が今年2月発売した木目調カラーの冷蔵庫がヒットしているという。三菱電機のデザイントレンド研究を見ると、たとえば2000年頃はカラフルブライトが人気を集め、その前となると1970年頃に原色カラーが流行ったようだ。


冷蔵庫なんて白に決まっている(だから白物家電というのだけれど)と思っていたから、これはちょっと意外。また最近は白物家電売り場などに近寄ることもまずないので、いま冷蔵庫がどんな色をしているのか、などということについてはまったく知らなかった。


白物家電といえばほかにも洗濯機や炊飯器、電子レンジ、エアコンなどがある。とりあえずウチにあるこうした家電製品は、見事にみんな白色、もしくはベージュグレーみたいな色だ。しかし、そもそもなぜ白なんだろう。


白は清潔さをイメージさせる色だ。だからだろう。が、汚れやすい色でもある。ただし家電製品となると、その側(がわ)はコーティングされているから、それほど汚れがつかないようになっている。ということで色は白、となったのかもしれない。


もしかしたら、ほかにも何か理由があるのかもしれない。白といっても一応はわざわざ塗装しているわけで、それならほかの色でもよかったんじゃないかと思うのだけれど。もしかして白のインクが一番安かった、なんて意外な真実があったりするのだろうか。


一方、黒物家電というのもあるらしい。これはオーディオ関連の家電製品で、たぶんテレビなども含まれるのだろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/白物家電


と考えればパソコンも白物系になるのだろうか。そういえば一時iMacのカラフルな色が話題になった。あれが出たのが98年、さきほどのカラーサイクルでみればカラフルブライトがピークを迎える少し前である。あっ、なるほどね。さすがはApple、そのあたりのトレンドを読み切ってのカラフルiMacだったわけだろう。


とりあえずあのカラフルな色使いは、センセーショナルだった。これまでパソコンなどとは縁のなかった人たちが、インテリアアイテムの一つ(早い話が飾り)としてiMacを買っていった。流行に敏感な人、オシャレな人なら部屋にiMacがなきゃ、みたいなイメージ戦略である。うまいよ、Appleはこのあたりのマーケティング展開が。


そう考えれば、白物家電だって別にいろんな色があっていいはずだ。そこで東芝が出しているのがメタリックオレンジ(ってどんな色やろ、めっちゃ派手とちゃうんかな)のオーブンレンジや青く輝く(輝く!)炊飯器だそうだ。
http://www.toshiba.co.jp/living/microwave/er_d300/
http://www.toshiba.co.jp/living/rice_cookers/rc_18vw/


これはなかなかにシュールな色使いかもしれない。とりあえずメタリック系の色使いは、たしかにインパクトもあるだろう。従来にない色使いだからこそ売れるのではないかといった読みがあるようだ。これはある意味、マーケティングの王道にのった戦略といえる。


いわゆる白物家電はもはや、典型的な成熟商品である。基本的な性能についての差は、ほとんどない。そんなのは、もう完成し尽くされているのである。コストに関しても同様。投げ売りでもやらない限り、同じアイテムで同じサイズなら、ほぼ同じ価格帯に収まってしまう。となると、ユーザーサイドでも、何を基準にして選べばいいのかがわからない。


以前なら、ある程度ブランドが力を持ったのだろうが、もはや家電製品のブランドなんて、少なくとも国内メーカーに関してはない。となると残る差別化要素はよほど画期的な新機能を開発するか、あるいはカラーリングも含めたデザインとなる。しかしデザインに凝るのはリスクが大きい。開発コストがはね上がる割には、当たり外れがあるし、そもそも凝ったデザインは凝っているがゆえに大ヒットとなることもない。デザイン費はもとより金型などのコストも回収できない可能性が高い。


ということでお手軽なのがカラーリングでの差別化ということなのだろう。とはいえ、これはある程度成功するのではないだろうか。特に店頭での見せ方に仕掛けをして、これからは家電製品もカラーコーディネイトといったアピールをすればどうなるだろう。


冷蔵庫や洗濯機がカラフルな色をしていたら、どうなんだろう。オッチャン的感覚では、そんなんどうでもええけん、となってしまいがちだが、インテリア空間全体のカラーリングといった視点からの提案があれば、案外訴求力があるのではないだろうか。


白物家電から、色物家電へ。いま起こりつつあるトレンドが、パラダイムシフトにまで行き着くのかどうか。メディアが、どう取り上げていくのかを含めて、ちょっと注目である。



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