家系図製作ビジネスって何?
六〜八代、二百年前ぐらいまでで18万円
高いんだか安いんだか、よくわからない価格設定だが、これが家系図製作にかかる費用だ。このコストで家系図製作を請け負う『家系図工房』に全国から注文が相次いでいるという(日経MJ新聞12月6日)。
もちろん調査に当たっての交通費など経費は別途なのだろうが、逆に考えるとたった18万で家系図を作ってもらえるなら、割安感があるような気もする。とりあえず自分の六代前って? と考えてみても、まったく想像がつかない。戦後のドタバタの中でじいさんが行方不明になっていることもあって、父親から聞いた話でも、何となくわかるのがせいぜい曾じいさんまでだ。
ということは六代も前、うまくいけば八代前で二百年前の先祖のことがわかるというのは、なかなかに興味深いことだと思う。
同じように家系図に価値を感じる人がたくさんいるということなのだろう。今ではこの『家系図工房』に舞い込む注文は月平均で20〜30件もあるらしい。これって売上にならせば360〜540万にもなる(!)。人件費コストがどれぐらいかかって、何人の人を使ってやっているのかなどは不明だけれど、そこそこ利益率の高いビジネスなんじゃないだろうか。
調査方法はホームページにも簡単に書かれている(→ http://www18.ocn.ne.jp/~bb8756/)。戸籍・除籍・原戸籍などを当たっていくようだ。そこにノウハウがあるのかどうかはわからない。が、とりあえず時間さえかければ、誰にでもできるような気はする。
ただし同工房のサービスは、これだけじゃない。この18万円パックは実は初級版である。さらに中級版、徹底版とあり、中級版ともなれば四百年前の江戸時代にまで遡るという。
方法としては、戸籍・除籍・原戸籍はもとより、戸籍の無かった時代ですので、武士であれば分限帳や、庶民であれば宗門人別帳、過去帳などを元に調査を行います。期間的には、最低でも6ヶ月程はかかります。
→ http://www18.ocn.ne.jp/~bb8756/page003.html
これだと価格は80万円から、となる。分限帳、宗門人別帳、過去帳って名前は聞いたことあるけれど、実物を見たことはない。そもそも、そんなものがどこにあるのかも知らない。だからそれを探し出して調べることは、対価を払うだけの価値ある活動になるのだろう。
それにしてもおもしろいのが、この『家系図工房』の所在地である。住所は北海道斜里郡小清水町桜ヶ丘1区、それってどこですかといいたくなるような場所にある。地図を見れば網走市の近く、北海道の中でもかなりな僻地に属するエリアじゃないんだろうか(勝手な想像です、違ってたらゴメンナサイ)。
そんなところで『家系図工房』は実にユニークなビジネスを立ち上げ、全国を相手に展開している。
競合は、もちろんある。「家系図製作」でGoogle検索をかけてみれば、ヒット数は197,000。上位表示されているのはたいていが家系図作成請負サービスをやっている事業者だ。なるほどね。価格設定もいろいろある、納品形態や何代前まで調べるのかもバラバラ。
ただ共通してアピールしているのが「戸籍(除籍)の保存期間が80年」ということ。しかも最近の市町村合併に伴う役所の統廃合により除籍簿の処分はどんどん進んでいるという。このあたりが、この家系図製作ビジネスのアピールポイントともなっているようだ。
とりあえず『家系図工房」の場合、納品は最高級の美濃和紙に職人が手書きし、巻物として納めてくれる。初級版についてはここが差別化ポイントなのかもしれない。一方中級版に関しては現地調査を伴うということなので、ここには調査ノウハウなどのブラックボックスがあるのかもしれない。ともかく、なかなか不思議なビジネスモデルでおもしろい。
さらに徹底版なる調査もあって、これは一年かけて1000年前まで遡って調べてくれるという。庶民の場合はかなり難しいらしく、実際にはできないケースも多々あるらしい。でも自分の千年も前の祖先のこととなると、お金さえあれば調べてみたい気はとてもする。この「先祖のことを知ってみたい気がする」というのは、もしかしたら潜在的な本能みたいなものなのかもしれない。だとすれば、この家系図製作はいいポイントを突いたビジネスということになるのだろう。
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