ヤジログ=オヤジブログの可能性


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50代男性を対象としたブログに関する調査結果である(日本経済新聞12月27日)。この調査から読めるのは50代オヤジの三分の一以上がブロガーになる可能性だ。ついこの間のエントリーではPCからのネット利用者の年齢構成に変化がみられると書いた(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20061218/1166388676)。そのポイントは割合は少ないものの40歳代以降のユーザーが急増していること。なかでも目立つのが60代である。この年代は割合こそまだ少ないものの実に一年で倍増する勢いを見せている。


そしていよいよ団塊の世代が引退を迎える。すでにこの世代を狙ったSNSがいくつも立ち上げられているが、やがてブログの世界にもはっきりとした変化がみられるのではないだろうか。


オヤジブログ、略して『ヤジログ』の台頭である。何しろこの世代は、日本での情報誌文化第一世代である。情報に対する感度が高いだけでなく蘊蓄を語らせれば、人並み以上にうるさいこともまず間違いないだろう。しかも、若い頃に活字文化にどっぷりと浸っていた世代でもある。テキストを読み書きすることにかけては、若い世代よりずっと長けているはずだ。


では『ヤジログ』がネット上に増え始めると何が起こるだろうか。期待も込めて予想するのが、ネット上に集積される「知」の熟成だ。


もとより団塊の世代にも明確な格差はある。むしろほぼ40年の社会人生活を送る中で、その差はおそらく若年世代よりもクリアカットについているだろう。団塊世代を大別すれば、経済的、文化的な蓄積に顕著な差を持ったいくつかのグループに分けられるはずだ。


そのなかでも自分でブログを書いてみようと考える人たちには、それなりのテキストを期待できると思う。勝手な推測でしかないが、この世代にとって書くことは、ある種特別な意味を持った作業であるはずだ。「神聖な」とまでいくといいすぎになるだろうが、今のネット上に書き散らさかさている多くのテキストとは、基本的に文章に向かうスタンスがまったく違うのではないか。


まして時間にゆとりのある人たちである。子どもの頃習った作文作法を思い出し起承転結を心がけ、下書きを作り、推敲を重ねて書く人が割合としては多いだろう(と期待したい)。となれば、いわゆるきちんとした日本語の文章がネット上に増えることになる。喜ばしいことである。


また、彼らは平均してほぼ40年のキャリアを積んだ人たちである。少なくとも一つや二つは、自分の専門分野を持っているだろう。その分野については語るべきもの、読むに値する知を蓄えているはずだ。


ましてや「一言いいたい」「聞いてほしい」世代である。いきなりゴーマンかまして尊大な態度に出る可能性も否定はできないが、読んでもらえるような心配りをする人たちも、一定の率で存在するに違いない。


ということは、きちんとした日本語で書かれた、内容のあるテキストがネット上に小爆発的に増えていく可能性があるではないか。もし、そうなれば実に喜ばしいことではないか。すでにそうした流れが起こり始めていることを梅田望夫氏も指摘していた。60代のお医者さんが書いているブログの話である(→ http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20061226/p1)。


長年医者として患者と、つまり人間と向かい合って来た人の観察眼に裏付けられた文章の含蓄の深さを梅田氏は指摘していた。これからそうしたテキストがどんどんネット上に増えてくる。日本語のテキスト文化をこれから先、担っていくメディアとしてぜひ『ヤジログ』には大いに期待したい。



昨日のI/O

In:
晏子宮城谷昌光
Out:
『広告・印刷発注の効率を上げる必殺虎の巻』

昨日の稽古:

・レッシュ式懸垂