女性のひとり時間
一日平均2時間47分
働く女性の平日のひとり時間だという(日経MJ新聞1月22日)。『日経WOMAN』誌が実施したアンケートによれば「ひとり時間がかなり大切」と答えた女性が全体の72.1%、「恋人との時間を減らしても、ひとりの時間を確保したい」と答えた人がやはり全体の7割超。これは由々しきことではないか。
おそらくは「働く」女性であることがポイントなのだろう。なぜひとり時間を求めるかといえば、ストレスフルな生活を送っているから
ひとりになることですべての関係をいったん断ち切り、リセットしたい願望が強いためだろう
(日経MJ新聞1月22日号)
確かにわかる。男女雇用機会均等法が施行されたとはいえ、まだまだ職場でのいわれのない差別に苦しんでいる女性は多いはず。想像するにストレスがたまる日々を送っているに違いない。だからといって恋人との時間を減らしてまでもひとりでいたい、というのが解せない。
ここは齢47のじいさん的感覚でいわせてもらうが、昼間の仕事でストレスがかかっているからこそ、夜は心許せる相手とゆったり過ごしたい、癒されたいと思うのではないのか。さんざん愚痴も聞いてもらい、よしよししてもらう。それこそがストレス解消であると思うのだがこの感覚がそもそも違うのだろうか。
ここにすでに世代の違いによる感覚齟齬が起こっているのなら引き下がるしかないのだが、実際のところどうなのだろう。彼氏と過ごすのはもはや寛ぎとはならないのか。そう考えてみれば逆に、女性の話をしっかり聞いて受け止めてあげられる男性がいないのかもしれないなとは思う。だとすればことは全体的なコミュニケーション能力低下と絡んだ問題なのかもしれない。
とはいえ母性本能などとたいそうなことを持ち出さなくとも、人には異性を求める本能が備わっている。本能により種の保存が連綿となされてきたわけだが、もしかするとその本能に何らかの変化が起こっている可能性もありそうだ。もちろん、そうした変化の要因は当の女性たちだけに帰するものではない。この世の中には基本的に男性と女性しかいないのだから、女性に何らかの変化が起こっているとすれば、それは男性にも起因するはずである。
そう考えてみるに、特に「働く」女性にとっては、同年代の男性が頼りなく映っている可能性もありはしないか。あるいは癒しを求めて得られる相手ではないという諦念が女性サイドにあるのか。
だから
「夜、半身浴をしながら本を読むのが至福の時間」という涼子さん(28歳、編集)もひとり時間大好き派。「目的意識を持ってひとりの時間を過ごすと、それは孤独な時間ではなく自分を磨く豊かな時間へと変わるんです」
(日経MJ新聞、1月22日)
なるほど。
ここまでいわれると、たとえばこの涼子さんと同じ28歳の男性が、どれぐらい有意義にひとりの時間を過ごしているのかという問いも浮かんでくる。これほどはっきりした目的意識を持ってひとりの時間を、男性が過ごせるものだろうか。もちろん「過ごせる」ときっぱり答えてくれる男性諸君もいるのだろうが、その比率はどうなのだろう。
こういう女性が増えていることに是非を唱えるのは明らかに無意味だと思う。実際問題として増えているのだから、それを所与の現実として受け止めなければならない。ただ、もし彼女たちに追跡調査をできるのなら、結婚や子育てなどの将来設計についてどう考えているのかも聞いてみたいところだ。
いずれにしてもこういう女性が増えている(といっていいのかな)ことを前提条件として考えないと、少子問題の根本的な解決策は見つからないと思う。もちろん別に彼女たちが子育てを拒否するとか、生涯シングルを望んでいるなどとはまったく思わないのだけれど。それにしてもなあ、ひとりってやっぱり淋しくないですか。
昨日のI/O
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