MacBookの戦略性


前年対比36%増


Appleの新しいノートパソコン「MacBook」が売れているらしい。欲しい。ノートPC全体では、この年末年始の販売台数は前年対比で7%ぐらいのマイナスになっているから、MacBookの人気ぶりがいかに突出しているかがわかる(日経MJ新聞1月19日)。


なぜ、そんなに売れているのか。当たり前のことだけれど、パフォーマンスが高くて、価格が安いからだ(良いものを安く、これぞマーケティングの原点なり、とは確かコトラー先生の名言ではなかったっけ)。


ではMacBookは、どうパフォーマンスが高いのか。とりあえずは、MacOSだけではなくWindowsも走ることだろう。CPUをIntel製に替えたおかげで、Windowsを普通に使えるようになった。以前も互換ソフトを使えばWindowsを立ち上げることはできたけれど、まず追加ソフトを買わなきゃならないし、それを使っても動作が今イチ、みたいな欠点があった。


ところが、このMacBookは最初からWindows対応が考えられている。Appleが配布する純正ソフトでWindowsが動くようになっているので、動きは軽快。マシンスペックもそこそこあるので、サクサク動くらしい(あくまでも伝聞ですよ、このあたりの話は)。


すると、どうなるか。MacBookの安さがかなりな魅力になってくる。なぜなら、同じぐらいのスペックのWindowsしか動かないノートPCは、だいたい20万円ぐらいする。これに対してMacBookなら14万円から買える。6万円も安くて、Windowsも普通に動くMacOSマシンというのは、そりゃ魅力的だ。欲しい。


このあたりAppleマーケティング戦略がとてもうまいと思う。つまりMacBookを使わない理由を消して行く戦略とでもいえばいいか。そもそもWindowsが走らなくても、Mac用のOfficeさえ入れておけば実用上は何の問題もない。仕事でパソコンを使う場合に必要なアプリケーションはといえばOfficeとブラウザーメーラーぐらいのもんだろう。


早い話がExcelとWord、あとはFirefoxでもあれば仕事に不都合はたぶんないはずだ。これ、全部Macでも動く。だから本当ならWindowsなんていらないのだけれど、なかなかそのことが認知されない。だから、Appleが採った戦略がWindows互換のMacを出すことだったのだと思う。これでWindowsユーザーからの乗り換えがある程度起こるはずだ。


そして、この先は勝手な深読みだけれど、スティーブ・ジョブズVista発売を今や遅しと待っているのではないか。実際に使ったわけではないから少々誤解や不正確なところがあることを了承していただきたいが、そもそもVistaでできることのほとんどが、すでにMacOSでできる。唯一できないのが、ウィンドウの三次元的立体表示ぐらいだろう。が、あれって何か便利なんだろうか。


むしろそのためにハイスペックが要求されたり、メモリーをウンと積まないと動かなかったりとなれば、どうも本末転倒の様な気がする。これでもしVistaの使い勝手があまりよくない、セキュリティにも未だに問題がある、なんてことになれば、現状のWindowsユーザーにとってもMacBookがかなり現実的な選択肢となってくるのではないか。というか安くて、性能が良くて、しかもWindowsも普通に動くんだから、MacBookと選ばない理由がなくなる。乗り換えがどんどん起こる。


なんてことをスティーブ・ジョブズは狙っていはしないか。


さらにである。Googleに対する考え方も、Appleマイクロソフトではまったく対照的だ。Googleの動きをAppleは計算にいれていて、(だって両社は確か提携してたか、あるいはジョブズGoogle社外取締役だったか、あるいはGoogleの誰かがApple社外取締役だったかしたはずだ)、ビル・ゲイツGoogleと真っ向から戦おうとしているんじゃないだろうか。


いずれデータのほとんどをネットの向こう側、要するにGoogleに預けるようになることが考えられるなら、手元にあるべきPCはどんなものが使いやすいのか。Windowsのような重戦車的なOSが果たしていつまでも必要なのかどうか。Excelの代わりになるスプレッドシートも、Wordの代わりになるワープロソフトもGoogleが用意してくれている。メーラーはすでにGmailがうんと便利だ。


となると必要なのは、軽くてサクサク動くOSとFEPブラウザーで十分じゃないのか。ファイル検索システムだってGoogleが用意してくれているのだから。さらに、さらに。Appleの本当の狙いは、iTVでありiTunesであり、iPhoneだろう。それらのデバイスを統括するポジションというか、デファクトソフトとなることを狙っているはずだ。


であるなら、ネット経由でできることはGoogleに任せておいて、家庭でのいろんなことはAppleでやるから。なんて棲み分けももしかしたらできているのかもしれない。


とりあえずPCでのデファクトソフトの座はWindowsに抑えられたが、次世代のもっと広範囲なデファクトソフトの座をMacOSは狙っている。その先陣を切っているのがMacBookだと思う。やっぱ欲しい。



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