ターゲットは50代?


70%が40歳代以上、最多は50代の28%


30分サーキットトレーニング、コンビニフィットネスで急成長しているカーブスジャパンの会員である(日本経済新聞2月20日)。同クラブは出店開始後一年半で出店数340にまで急成長している。総会員数は85,000人、一店舗あたり会員数にして平均250人ぐらいだ。


そこでの年代別会員層分布をみると、50代が最多ということになる。この30分タイプ・コンビニフィットネスは基本的に女性限定である。だから、カーブスの場合も、50代女性が会員の割合でいけばもっとも多いことになる。これは意外だった。


意外に思った理由は二つある。まず第一には五十代ぐらいの女性は、基本的に時間にゆとりがあるはずだ。それならばあえて30分限定でプールはいうまでもなくシャワーさえないコンビニタイプのフィットネスなどではなく、従来型フィットネスクラブでゆったりと時間を過ごすのではないかと考えていたことが一つ。


もう一つの理由は、同じく時間的制約に加えて、30分フィットネスの低コストメリットがアピールするのは、経済的にゆとりがない30代だろうと考えていたから。つまり子育てや何やらでもっとも時間的にもゆとりがない30代が、それでもまだ体型の衰えなどに対してはもっとも気になる年代でもある故に、何とか時間とお金をやりくりしてコンビニフィットネスに駆けつける。そんなイメージを持っていたからだ。


しかし、現実はどうも違うようだ。


これはまず従来型フィットネスクラブにとって、サーキットタイプのコンビニフィットネスが予想以上の脅威となっていることを意味する。従来型フィットネスが狙っていこうとしているのは、団塊(=これからリタイア)世代を中心とする層だ。可処分時間に比較的ゆとりがある世代に対して、至れり尽くせり的な設備とサービス/それなりの対価(=会費)での囲い込みを図る。これが従来型クラブの主要なビジネスモデルである。


こうしたモデルへのシフトは、30分お手軽フィットネス急増への対抗策としても有効という経営判断があるはずだ。何しろ30分フィットネスは恐ろしい勢いで増えている。今後の展開予定でみれば、元祖・カーブスジャパンは今年末で700店舗に達する見通しであり、さらには新規参入組のアルペンが今後5年で1000店、タニタフィッツミーが同じく5年で500店舗の出店を見込んでいる。ここにまともにぶつかっても勝ち目は恐らくない。


それならばもちろん若干のカニバリは起こるとしても、50代以上をメインターゲットに絞り込んでいれば、コンビニフィットネスとは直接のバッティングはない。だから何とか生き残れるのではないか。といった読みが従来型のフィットネスクラブにはあったのではないだろうか。しかし、この読みはこと女性に関しては、外れそうである。


ここで不思議なのは(だから考えてみたいのは)なぜ50代女性がサーキットトレーニングなどといった味も素っ気もないメニューをメインとするコンビニフィットネスに通うのかということ。考えられる理由は、二つある。


その一。確かに彼女たちの可処分時間は比較的多いけれども、やりたいこともたくさんある。従ってフィットネスクラブに通う時間も、抑えることができるならそれに越したことはない。かといって、健康が気になる年代でもあるから、運動時間をなくしてしまうことにはためらいがある。短時間で、効果的に運動できるチャンスはないかと考えていたところにタイミングよく、30分フィットネスが登場した


その二。そこに男性がいないことが、何より気楽でうれしい。五十代とはいえ最近の女性は、まだまだ十分に若い。だから、男性の目は意識する。意識するが故に、男性がいる場所でトレーニングウェア姿で体を動かすことには恥じらい、もしくは心理的抵抗感を感じる。女性限定のフィットネスであれば、そうした抵抗感を感じることはまったくなくなる。


まったくの仮説で、何の裏付けもないけれども、もしそうだとしたら、これはフィットネス業界に対して決定的なパラダイムシフトを引き起こす可能性があるのではないだろうか。


昨日のI/O

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『プロフィットゾーン経営戦略/エイドリアン・J・スライウォッキー』
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