原稿仕事超強力支援ツール


このところ原稿を書くのがとても楽しい。


新しいツールを手に入れたからだ。辞書とその検索ツールというか、ビューワー(Viewer)というか。辞書は『日本語大シソーラス』と『広辞苑』のCD-ROM版である。少々高いが、これは仕事用の投資だと思い切って買った。『日本語大シソーラス』については以前からペーパー版を持っている(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20050901/1125519882)。大好きな辞書の一つとして楽しく使ってきた。


これがなかなかに分厚い辞書である。測ってみると背の厚みが7センチもある。これぐらい存在感があると、辞書を繰る行為そのものがなにか厳かな儀式めいて一興である。辞書引きが心浮かれる行為となるのだけれど、この辞書は重い。そして類語辞書だということは、一つの言葉についてもいろんな類語が記載されているわけだ。索引で調べたい言葉を引き出すと、当然、いくつものページに関連語が記されている。


すると一つの関連語グループを調べてみて、納得がいかないときにはまた索引に戻って別のグループをあたることになる。この作業をでかい辞書を相手にやるのは、それでも喜ばしいのだけれど(おう、こんな表現もあるのかとか、この言葉にはこんなニュアンスがあるのだなと発見がたくさんあるから)、やはりちょっと大儀ではあった。


その検索作業がCD-ROMになると、どう変わるか。検索したい言葉を入力すると、まず関連類語の見出しが一覧で表示される。それをクリックすると、各グループの詳細をみることができる。ページを繰るより、もちろん早い。というか一瞬である。便利である。原稿を書くときに、この辞書を立ち上げておけば極端な話「一語ずつ、この文脈にこの言葉でよいだろうか?」と吟味しながら進めていける(実際にはそこまでやると時間がかかって仕方がないからやらないけれど)。


そして広辞苑である。シソーラスは類語を表示してくれるだけで、その言葉の意味までを定義してくれるわけではない。新しい言葉を使ったりする場合には、やはり辞書で調べておくことが必要だ。すなわち広辞苑の出番となる。ということは、日本語大シソーラス広辞苑の両方をいつも立ち上げておかなければならない、わけではない。


ここでもう一つ、原稿仕事を強力にサポートしてくれるソフトがある。『対訳君』という(→ http://www.mcl-corp.jp/taiyaku/taiyaku-outline.htm)。『対訳君』なるネーミングからわかるように、本来は英語を読む・訳す、あるいは日本語を英語に翻訳するために開発された優れものソフトである。どこが優れているかというと、外国語を訳す、あるいは外国語に日本語を訳すときにもっとも必要な機能を備えている点が優れているのだ。


その機能とは何か。単語の意味をコンテクストの中で説明していることである。英和辞典でも「これは、いいよ」といわれるものは、たいていが用例集の豊富さで評価される。その対極にあるのがおそらくは三省堂のコンサイスだと思うが、あれは英語をわかっている人が、本当にわからない言葉に出っ食わしたときだけささっと引く辞書だ。間違っても中学生はダメ、大学生でもあれはあんまり使うべきじゃない。


なぜ用例が大切かといえば、単語の意味はそれがどういう文脈の中で使われているかによって決まるからだ。だから用例を見ていくと、自分がいま直面している英単語は、どの意味がふさわしいかある程度、見当をつけることができる。そこで『対訳君』が活きてくる。


『対訳君』では、調べたい単語を入力すると、辞書枠で辞書に書かれている意味を表示し、同時に対訳枠(これがすごい)にその言葉が使われている例文とその訳文(まさに対訳ですね)が一覧で表示される。これをみれば、どういう訳をつければいいか、その最適解を選ぶことができる。これが『対訳君』の英日/日英翻訳時の使い方だが、実はこのソフトには、もう一つ素晴らしい使い道がある。


辞書の「一網打尽」検索である。あらかじめいくつかの辞書をこの『対訳君』に登録しておき、検索語を入力すると、登録されたすべての辞書を一気に検索、表示してくれる。しかも検索する辞書は、自由に指定できる。


だから『対訳君』で『日本語大シソーラス』と『広辞苑』を指定しておくと、極めて便利な原稿書き支援ツールと化す。おわかりだと思うけれど、ある言葉を入力すると、その意味と類語が一覧で表示されるわけですよ。そして、これはただ便利なだけではないのだ。表示されたたくさんの言葉を見ていると、当然、その言葉を使って書いている文章の別の展開のヒントも得られるということだ。あるいは書いた文章の推敲も書いた時点とは違った角度からできることになる。


というわけで『対訳君』+『広辞苑』+『日本語大シソーラス』。この三点セットは、とりあえず日本語で文章を書くことを生業にしている人、あるいはこれから生業にしたい人にとって必須ともいえるのではないだろうか。




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K-OPTI副社長対談原稿

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