仕事中のBGMは?


40代男性の保有率29%


ほぼ3人に一人は持っていることになる。何がって? iPodに代表される携帯音楽プレーヤーをです(日経産業新聞4月11日)。ちなみに50代男性でも27%は持っているそうだ。保有率もなかなかのものだが、注目すべきはその増加傾向だろう。40代で前年調査比19ポイント増、50代で14ポイント増である。これはほぼ倍増、まさに急増傾向にあるといって差し支えない。


そういえばである。昼間の電車などでも耳にイヤホンを突っ込んでいるオッチャンをよく見かける。電車に乗って運よく座れたなら、活字を読む、ひとときの居眠りにふけるしかなかったオッチャンたちがiPodを聞くようになってきている。座ることを期待できず、新聞を広げるすらままならない通勤電車では、iPodでも聞いているのが苦痛逃れには最適のソリューションなのだろう。その気持ちはよくわかる。


好きな音楽、あるいはニュース、もしくは英語などの学習系でも、とりあえずそこに意識を集中することができれば、立っている辛さも、すし詰めになっている不快感もいささか減ずることができるだろう。そこでたとえばビジネス系の講演や英会話などを聞くことができれば、通勤時間を自分磨きの時間に変えることもできる。仮に一日往復2時間の通勤時間をこうした勉強時間に充てることができれば、一年で500時間程度。試験合格に1000時間の勉強が必要といわれる中小企業診断士の資格ならだいたい2年で取れる計算になる。


これは聞いている内容に注意を集中しているケースだが、では仕事中にBGMがかかっていると生産効率にどんな影響を与えるのだろうか。


昔読んだインタビューでは、作家の丸山健二は執筆にかかるときはハードロックをフルボリュームでかけ、ヘッドホンで聞きながら小説を書く、と答えていた。たぶん30年ぐらい前のインタビューだったと記憶するから、今ではそんなことはしてないと思う。でも、強烈に印象に残っていることは確かだ。あの独特の乾いた文体は、そんなBGMと関係があるのかと十代の文学青年もどきは素直に影響された。


宅浪時代に真似して、フルボリュームでツェッペリンなどを聞きながら勉強してみたが、さっぱり頭に入らなかったのですぐにやめた(アホです、はい)。


仕事中のBGMで印象に残っているのが、初めてデザイン事務所に勤めたとき。FMがさりげなくかかっていて、何となくオシャレでいい感じと思った。関西ではNHK以外のFMといえばFM大阪しかなかった時代のことだ。その頃はコピーライターのフリをしていた時代なので(要するに真似事ってことですね)、仕事中に頭を真剣に使うこともほとんどない。だからラジオから流れてくる曲だけでなく、パーソナリティのおしゃべりまで聞いていたような気がする。


デザイナーと二人で事務所を始めたとき、一番うれしかったのは、好きなだけ好きなCDを誰に遠慮することなく聞けることだった。相棒が同い年、かつ音楽の趣味も極めて似ていることから、お互いが持っているCDをあわせて200枚ぐらい仕事場に持ち込み、代わる代わるにかけていた。この頃も仕事をしている(ふりを)しながら、意識はBGMに飛んでいることが多かったように思う。


そんな中途半端な意識状態で、一体どんな仕事をしていたのかと問いつめられれば、素直に「たぶん、とっても質の低い仕事でした」と謝るしかない。やがて一人で働くようになり、しかも書きもの仕事がほとんどになると、音楽を邪魔に感じるようになった。少なくともボーカルの入っている曲は気が散ってまったくダメである。


それならジャズやクラシックなら良かろうといろいろ試してみた。すると鳴ってはいるのだけれど、結局まったく意識に入ってこない。原稿仕事に一段落してふと気がつくと、いつの間にかCDが終わってたなんてことがほとんどだ。だから、少なくとも書く作業をしているときはBGMはあってもなくても同じだということがわかった。


ところが、ごくたまにだけれどデザイン仕事をするときはまた違う。簡単なリーフレットやチラシを作ったりするときは、音楽がなってないと何となく気分が乗らない。欲しいのはアップテンポな曲だったり、キャッチーで耳ざわりのよいリフで構成されている曲だ。もちろんBGMのおかげで良いデザインが浮かぶ、なんてわけでは全然ない。ただ細かいところにこだわって仕上げていくモチベーションを持続させてくれる、ような気がする。


これって右脳、左脳に絡んだ話なのかなと思う。


文章を書くときには、たぶん自分の場合は徹底して左脳を使っているんだろう。そこに右脳を刺激する音楽が入ってきても、それは邪魔でしかない。その音楽に言葉が乗っていたりすると、たぶん左脳にも余計な影響を及ぼすのでさらに障害となる。


ところがデザインワークは、左脳も使っているけれど(レイアウトは合理性に基づき、引き算で考えるべし、というのが、デザイン事務所の社長の口ぐせでしたから)、右脳をよりたくさん使う。そこで右脳を心地よくする音楽があると、右脳がより活性化される、のかなと。


もしかしたら、ただ歳をとって、うるさいのがヤになっただけかもしれませんが。みなさんは、どんなBGMのときにいちばん生産効率が高くなりますか?



昨日のI/O

In:
『人間と聖なるもの/ロジェ・カイヨワ
Out:
安土町教育委員会インタビューメモ
伊東弘一教授インタビューメモ
対訳君開発者ストーリーアウトライン

昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター

・基本稽古
・型稽古(太極一、足技太極一、平安一)
・受け返し稽古
・組み手稽古
・ミット稽古