お父さんを狙え


父親であることをとても楽しんでいる 71%


「父子市場」なる新マーケットが生まれつつある。このマーケットのメインターゲットは団塊ジュニア。ちなみに団塊ジュニアとは1971〜74年生まれを指すらしい。団塊の世代が1947〜49年生まれを指すから、彼らが24、5歳の頃の子どもということなのだろう。これは知らなかった。


ところで

この世代はバブル崩壊後の就職活動が困難な時期に働き始めたため、会社組織と距離を置く姿勢が目立つ
日本経済新聞4月30日)

と新聞では分析されている。だから仕事第一とはなりにくく、仕事が第一でないがために家庭回帰が鮮明なのだと。この分析はちょっと「?」だと思う。


なぜなら仕事と家庭という対立軸の取り方自体が、団塊ジュニア世代に対して成り立つのかどうか。仕事と家庭を対立させるのは一昔前の考え方ではないだろうか。むしろ、団塊ジュニア世代こそは仕事と家庭を分離して考えるのではなく、仕事も家庭もといった考え方をするように思う。豊かな人生を送るためには、どちらも大事だと。


日経の分析の是非はともかく、父親が子どもに(あるいは子育てに)積極的に関与しているとの指摘は当たっているように思う。そこを狙って子育てノウハウ系の雑誌がいくつか創刊されている。『日経Kids+』などは、明らかに子育てお父さんがターゲットだろう。創刊されたのがたぶん一昨年ぐらいで、今も出ているということはそれなりに読者がいるはずだ。父子市場は確かに生成されつつあるのだと思う。


少しひいた視点からみれば、父親が子育てに積極的に関わるのは、いまの日本では極めて自然な現象ではないだろうか。ポイントは二つある。少子化格差社会化だ。


最近は一人っ子家庭が多く、いてもせいぜい兄弟二人までという世帯が大半を占める。子どもが一人なら、その子にかける時間とコストは兄弟がたくさんいる場合に比べれば増えるのは理の当然。子どもが二人いる場合と一人だけの場合を考えれば、子どもに積極的に関わろうとするモチベーションも違ってくる。


一人っ子だったら、すごく一生懸命に関わろうとするのではないかということだ。逆に子どもが何人もいれば、一々関わっている暇がまずない。気持ちも分散するんじゃないだろうか。


もう一つのポイントは、やはり格差社会だと思う。いまの40代前後のお父さんはおそらく、日本が格差社会化していることをひしひしと身を以て感じている世代ではないか。だから子どもに対しては当然、格差の下には行ってほしくないと願うだろう。そのためには、どうすればいいのか。


教育を中心としてわが子が格差の下の方に入らないですむようにと、父親が積極的に子どもに関わるのではないか。もちろん、こうした意識を持つ父親自体が格差の中ではすでに上位に分類される人たちであることもたぶん間違いないわけで、その意味では格差の拡大再生産みたいな話になる。


では、この「父子市場」を攻略するカギは何だろうか。


カギは時間消費に尽きるように思う。ありふれた言い方になるが、モノよりコトである。子どもと一緒にどれだけの時間を過ごし、どんな体験を共有するのか。その体験を通じて、子どもにどんなことを身に付けさせるのか。


となると体験型海外ツアーなどがその筆頭になるのだろうが、もっと身近なところでもいろいろなアイデアがあるんじゃないだろうか。何より大切なのは、父親と子どもが同じ時間を過ごすことである(ということは同じ空間にいるということでもある)。そこでの体験が、子どもにとって非日常的であり、できればワクワクするようなものであればいい。


ということは、たとえばお父さんが会社で働いているところを見学したり、あるいはちょっとしたお手伝いをしてみたりという案もある。実際の仕事場に連れていくことが難しいなら、一緒に通勤ラッシュを味わってみるだけでも子どもにとっては十分に刺激になるだろう。


逆もあり得る。たとえば学校に一日、お父さんが付き添ってみる。子どもと一緒に授業を受け(先生が嫌がるかもしれないけれど)、給食を食べ、遊ぶ。本物の学校で難しいなら、そういうことができる施設を用意すればいい。


はたまた、親子で一緒に遊ぶのも一案だ。大切なのは「一緒に」遊ぶことである。遊園地に行って子どもだけが乗り物で楽しみ、お父さんは眺めているだけ、ではダメである。お父さん・子ども混成チームで野球をやったり、サッカーしたり、ドッジボールをしてみたり。何でもいい。


ということで土日を父子で過ごせる、勉強もできる多目的施設。父子市場攻略にはこれが一番じゃないだろうか。



昨日のI/O

In:
『絵本で育てる情報分析力/三森ゆりか
Out:
対訳君開発者インタビューラフ原稿
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昨日の稽古:

・レッシュ式腹筋、スクワット
・ジョギング