ブログ分析は役に立つか


2006年3月末で累計868万人


日本のブログ登録者数である(総務省調べ、日経MJ新聞5月14日)。ブログを書く人は依然として増えているようで、年間で2.6倍になったそうだ。このブログもその中の一つということになる。


ちなみに、このブログの第一回が2005年5月3日。いま読み返してみると、ほとんど分けのわからんことを書いている。それ以降の約2年間で667回書いてきて、すこしはましになったんだろうか(自分ではあまり進歩してないように思えるけれど)。


と余談はさておき、これほどまでにブログが増えたのなら、それを何かに使えないかと考える人も当然出てくる。そこでブログ分析をビジネスとする動きがある。たとえばきざしカンパニーが提供しているサービスは

顧客が自ら専用サイトに調べたいキーワードを入力すると対象の約二十万のブログで過去二年間、いつどれだけその言葉が書かれたか、どのような言葉と一緒に書かれたかが分かる仕組み。
日経MJ新聞5月14日)

らしい。


それで何がわかるのかといえば、広告の効果測定に使えると言った話。これはいささか「?」である。単純に考えれば、広告でアピールした特長(言葉で表現されるわけだけれど)が、ブログ上でその商品名と関連づけて書かれているかどうかぐらいは、何となくわかるような気はする。でも、それがプラス評価なのかマイナス評価までわかるのだろうか。そこがわからないと広告の効果測定といっても、非常に限られた一面しか見えて来ないのではないだろうか。


だからその商品を買ったのか、買わなかったのか。買ったとしたら、使ってみてどうだったのか、といったことがわからなければ、マーケティング的にはあまり意味がないと思う。


日経MJ新聞には広告効果をブログ調査した事例として大塚製薬の「SOYJOY」のケースが紹介されている。この商品は最初の広告では、その特長である大豆が主原料であることが伝わっていないと考えられた。なぜそうと判断されたかと言えば、ブロブ分析サービスで(おそらくは商品名「SOYJOY」に関連するキーワードとして)「大豆」が八位になっていたからだ。そのために初年度売上目標を達成できなかったのだと判断された。


そこで広告を変えた。その結果

(新)CM放映後、二週間目に実施したネット調査で大豆の認知度は八〇%に上昇した。ブログでも一緒に語られる言葉として「大豆」がトップに躍り出た。
日経MJ新聞5月14日)

とあるのだけれど、実際の売上はどうなったのだろう。マーケティングに関わるものとしては、知りたいのはここだ(でも、CMを変えた後の売上の変化は記事には書かれていなかった)。


どうもネット系、IT系の新しいマーケティング手法については「それって、本当に効果があるの?」といいたくなるものが目につく。確かにブログ分析では、ブログで話題になっているかどうかが、何らかの指標になるだろうとは理解できる。


でもマーケティング、特にインタビュー調査をせっせとやってきた自分としては、大切なのは、なぜそのサービスなり商品なりをお客様が買ったのかであり、さらにもっと大切なのは、それを買わなかったお客様に対して「どこが気に入らなかったのか」とか「なぜ、対価を支払う価値がないと判断したのか」ってことだと思う。


日経MJ新聞の記事によれば、花王は独自のシステムでそうした本質的な情報をブログから抽出できるシステムを開発しているらしい。ここまで踏み込んだ分析ができるなら確かに使えると思う。


もう一つ眉唾系のIT系、ネット系サービスがある。SEOである。おそらくは自分が勉強不足だからなんだろうが、あれもいま三つぐらいよくわからない。いろんな対策をして検索上位に表示されたとしても、それが売上に直結するんだろうか。逆にいえば、そんな対策などしなくても検索上位に表示されることは可能だ。手前味噌で申し訳ないですけれども、Yahoo!でキーワード「産業材」で検索をかけてみてください。私の仕事用のサイトがトップで表示されるはずですから。


このサイトは自分の手作りである(よってデザインなどは稚拙だと思う)。もちろんSEO対策なんて、何もしていない。ただせっせとメルマガを書いては、それをときどきまとめてアップしている。そのおかげでページ数だけは増えて、いま150ページぐらいになっている。しかもその大半が、産業材マーケティングに関するテキストである。たぶん少しはいろんな方の役に立っている(のかもしれない)。アクセス数も土日はがくっと減るけれども、このブログとだいたい同じぐらい集めている。ログを見ていると、企業ユーザーの方と学生の方がだいたい4分の3ぐらいとなっている。


話がそれたが、別にSEOサービスにいちゃもんを付けたいわけではないし、ブログ分析がまったく役に立たないと言う話をしたいわけでもない。ただ、自社にとって本当にメリットのあることをやろうとするのなら、ブログ分析にしろ(花王の例のように)、SEO対策にしろ(私のサイトのようにというと、かなりおこがましいですけれども)、出来合いのサービスを使っていたんじゃ難しいんじゃないだろうか。



昨日のI/O

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京都大学医学部福島教授インタビュー
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