オッチャンを狙え


73、77、84センチ


ジーンズのまた下サイズである。エドウィン・プレミアライトは、同じウエストの大きさで、また下のサイズを3タイプ揃えるという。たとえば私ならウエスト79でまた下は84センチを少し切ってもらうということになる。微妙に帯に短したすきに長しといったところか。


一つのウエストサイズに対して、また下サイズが3タイプあるということは、それなりに考えられたシルエットになっているということだろう。たとえばウエスト85(メタボ予備軍ですね)の方が、また下73を選んでもそれなりのスタイルに見えるわけだ。


これが従来の1ウエスト1レングスタイプなら、どうなるか。ウエスト85ともなれば、また下も相当に長いはずである。それをちょん切って裾挙げしてもらえば、本来のデザインからは大幅に外れたシルエットとなってしまう。そりゃカッコ悪いってもんだ。だからエドウィンの狙いどおり「背丈に比べ胴回りの太い体形の人でもきれいに履ける」ことは、大きなメリットとなるだろう。


ジーンズ業界も少子化のあおりを食って、本来ならメインユーザーである10代から30代ぐらいまでのマーケットが縮小傾向にあるらしい。だからこその中高年シフトである。そして今の中高年は、おそらく60代ぐらいまでを含めてジーンズに慣れている。だから、彼ら(というか、私自身も含まれるわけですが)を新たなターゲットとして狙う戦略は正しい。


と考えれば、いまいろんなマーケットでオッチャンシフトが起こっているのではないだろうか。


たとえばゲームはどうだ。脳トレシリーズなんか、もろにそうではないか。あるいは音楽でも同じことが起こっている。最近やたら復活している80年代ポップスがすでに20年以上前の話である。狙いは当時20代だった今のおっちゃんだろう。あるいはちょっとマニアックなところでは、ガンダムブームなどもおっちゃんを狙ったものとしか思えない。また懐かしのマンガやオマケ付きお菓子の「大人買い」なども明らかにターゲットはおっちゃんではないか。


となると気になるのは、本来ならおっちゃんのカウンターパートとして成立するはずの「おばちゃん」マーケットである。構図としてはこうだ。おっちゃんマーケットは、本来なら若年層をメイン顧客としていたマーケットが少子化の影響を受けておっちゃん方向へシフトしたことによって出来上がっている。これと同じシフトが女性サイドで起こってもよさそうなのに、なぜか起こっていないような気がする。


もし男女間で違いがあるとすれば、おっちゃんの方が大人じゃない人が多いということになるのではないか。ちょうど一週間前に書いたことだけれど、どうも男の大人に幼稚っぽい人が多いような気がする(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20070511/1178883991)。そもそも自分自身がいかにも未熟である。これに対して家人は大人である。


と思って考えてみると、どうも男は幼児化傾向があり、女性は現実的に年齢にふさわしいお考えを持ち、行動をされている方が多いように思う。もちろん気のせいかもしれないし、たまたま自分が知りうる限りではそんな傾向があるかな、といった話である。


女性がどうなのか、その実態は残念ながらほとんど与り知らないけれども、おっちゃんについてはどうもガキっぽい人が増えているような気がしてならない。前回のエントリーでは自分なりのルールを持っているかどうか、持っているルールを守っているかどうかなどが大人の条件だと書いた。そう思ってたとえば電車に乗ったときや街中を歩いているとき注意して見ていると、おっちゃんってどうしようもないやんか、という人が増えているような気がする。


もちろん若い人たちはさらにひどい。彼らには残念ながら正真正銘のガキが圧倒的に多い。もしかしたら彼らにも何らかのルールはあるのかもしれないが、そのルールはおそらく「自分が快であることを以て善しとする」といった類いのものだろう。大人のルールとは他者との共生を前提としたものだから、こうした若い人たちの傍若無人的なルールとは本来なら一線を画している。


であるはずなのだが、そうしたルールを身につけていそうな人がどうも少ない。なるほど、ということは次は塾教育、躾けなどのマーケットでのおっちゃんシフトがもしかしたら有望ということなのかもしれない。「大人のためのしつけ教室」とか「大人のための書き方教室」なんてのが案外人気を集めたりして。


「大人のための寺子屋」、まじであってもいいかもしれない。



昨日のI/O

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大阪市交通局インタビュー
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