牛ミンチ問題の問題
「消費者も販売店もよくないんだ」
ミートホープ社ワンマン社長のコメントである。言うに事欠いて、何をほざいてやがるんだと思う。同時に、つくづくアホなオッサンやなとも。同情の余地などこれっぽっちもないのだが、今回の事件を少し違った角度から見るとどうなるだろうか。ちょっとした思考実験をしてみたい。
まずどのマスコミ報道を見ても書いていないし、あるいはテレビでもコメントされていなかったことで気になるのが一つ。ミートホープ社の豚肉や鶏肉やいろんなものが混ざっていたとされる「牛ミンチ」は、食品として欠陥があったのかどうか。
たとえば雪印の場合は、ブドウ球菌が発生した脱脂粉乳を売っていた。だから集団食中毒が起こった。これは明らかに食品として問題があったということだ。そこで知りたいのが、今回の「牛ミンチ」を食べて健康被害を受けた人がいるのかどうかということ。
ここから先はあくまでも仮定の話になるが、仮にミートホープの「牛ミンチ」が食品として問題はなかったとしたらどうなのか(賞味期限切れのものを混ぜていたらしいから、問題が起こらなかったのはラッキーなだけともいえるけれど)。
もちろん偽装はよくない。だから偽装せずに「牛肉風ミンチ」とでも表示しておけばどうだったのか、という話だ。それで材料にはきちんと豚肉や鶏肉やその他もろもろが入っていることを書いておく。そんな商品が売れたかどうか、「牛ミンチ」ほどの値段で売れたのかどうか、それはわからない。たぶん値段はうんと低く設定しないと売れなかったとは思う。が、そうやって偽装しなかったら問題はなかったのではないか(賞味期限切れは、また別の問題)。
と考えてみると、今回の事件はとことんアホな社長さんの対応が騒ぎを大きくしたのではないかと思える。偽装したことは論外である。食品作りに携わる者としてやってはならないことだ。だが、ここがポイントなのだが、この社長さんがもし、いろんな混ぜ物をしながらも衛生管理だけはきちんとやっていたとしたら救いようがあったのではないか。
事件が発覚した時点で「すみません。私が指示して混ぜ物をしました。偽装表示です。ただ食品としての安全性、衛生管理だけはきちんとやってます。うちの商品を食べて、病気になられた方などはいらっしゃらないはずです。申し訳ありませんでした。二度とやりません」とでも言っていれば、展開はまったく変わっていたんじゃないだろうか。
だからアホやなあと思うのだ(今日の報道によれば、もっといろいろとんでもないことをしていたみたいだけれど)。
というか不祥事を起こした時の、人間の弱さは共通しているのかもしれない。逆にいえば、そもそも不祥事を起こすような人間だから、それが表沙汰になったときにみな、同じような対応しか取れないのかもしれない。「私は知らなかった」「現場の判断だった」「私はやってない」って、この手のセリフを何回聞かされたことだろう。
それこそマスコミの餌食になるのが見え見えなのに。「こいつ、嘘ついとる」というのがはっきりした時点で、マスコミは必ず一気に正義の味方となる。どう叩いても相手が絶対に悪い、と確信した時のマスコミは恐ろしい。何しろ、よその社も叩くのだからうちだって思いっきり叩いてやれと、一種の叩き合い合戦が起こる。
これをマスコミの「寄ってたかって」現象という。おそらく日本だけの現象だと思う。欧米のマスコミなら、他社とは違う視点で捉えたときにどう見えるんだ、といったところで各社が競っている。ところが日本のマスコミは、どこがより相手を叩くか、他社が気付いていない相手の悪いところを見つけるかといったところで競い合っている。
マスコミではなく、モノコミ(mono=単一の)なのである。視点が単一なのだ。ネットが機能すれば、マスコミとは違った視点からの意見がどんどん出てくるのだと期待したい。それがネットの良さであるはずだ。日本のマスコミがモノコミに走りがちなのであれば、ネットがマルコミ(マルチコミュニケーションの略です)を育てる場になればいい。というか、なってほしいと強く思う。
赤字が出ているのに身内には巨額の退職金を出したり役員報酬を取ったり、賞味期限切れの材料を使ったりしていたことを考えれば、とりあえず田中稔氏は完全に経営者失格だとは思うけれど。
でも、なぜ田中氏がそうなってしまったのか、という視点からの報道が一つぐらいあってもよいのではないかと思う。
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