緊張と緊張と緩和


左手の中指が右手の中指の1.5倍ぐらいに腫れている


痛いよう(しくしく)。組手稽古で下段を蹴ってきた足に対して、手を開いて受けに行ってしまったからだ。相手の足があたった瞬間、嫌な痛みが走った。滅多に、そんなことはやらないのに。


たぶん相手の左下段蹴りを左手で迎えるように受けたのだと思う。何をしていることやら。痛い思いをして気がついたのだが、そういえばこれまで7年ほど稽古をしてきて、致命的なケガをさせられたことはまだない。


膝を壊したことは何度かあるが、これは完全な自爆である。人から受けたケガはといえば、入門してすぐの頃あばらにひびが入ったことが一度、黒帯の先輩にローキックを蹴られ続けて太ももの筋肉がおかしくなってしまったことが一度。もちろん痛い思いはいつもしているし、時に鳩尾に後ろ蹴りだの膝蹴りだのを食らって息が止まってしまったことは何度もある。


あるいは上段に回し蹴りをくらい、目から★が(本当にチカチカするのだ)飛んだことも数知れず。一応受けはしたが、受けた腕ごと耳に叩き付けられて「キ〜ン」と耳鳴りが二日ほど続いたこともある。が、次の日に起きられなかったり、歩けなくなったりしたことは幸いにしてない。


これはひとえに、自分が極度に億病だからと解釈している。


空手を修業している方々の中では異質な方かもしれないが、とりあえず47年間生きてきて、口喧嘩以外のケンカをしたことがない。男性的でない、といわれれば素直に「そうです」と応えるしかない。くっそ〜とか、めっちゃ腹立つ思いをしたことは数あれど、かといって自分から手を出すことはない。まあ、そりゃモノを投げたりすることはありますけれどね、でも人に向かっては投げないですよ。


ということで人を殴ったり、蹴ったりすることに一抹のためらいを覚えるたちである。従って空手の稽古をしてはいても、いざ面と向かいあってみると「この野郎」とか「ど突いたれ」とかいう激しい気持ちにはどうしてもなれない。だからダメなんだとは思う。


過去に一度だけだが試合に出たことがある。そのときは心底驚いた。だって相手は本気だったんだから。まったくの初対面で、何の恨みもないはずの私に対して、思いっきりど突きにくるし、蹴っ飛ばしてくるし。「おぉ〜、これが空手の試合というものなのか」と相当なカルチャーショックを受けた。ついでに顔面の口を殴られて、流血王ブラッシーみたいになった。あ〜びっくりした、ってなもんである。


ともかく空手には攻めと受けがあるのだから、攻められることはある。当たり前の話だけれど。そこで、じゃあ自分はとにかくできるだけ受けに徹するようにしようと考えた。


攻めることを考えないのだから、組手をやっていても攻め一方の人とはおそらくは視点が違ってくるのだと思う。そして受けることに集中していると、案外致命傷はもらわないものだ。黒帯の先輩とやるときは、「ほれ、どうした? ちゃんと攻めてこんかい」的な流れに持ち込まれ、うかつに攻め込んでは合わせ技をいただくことになる。それでも攻めながらも受けの意識を残していることで、まともにカウンターをもらう回数は、最初に比べればうんと減った。


ところが、やはり油断が出てしまう。油断が出る理由は二つあると思う。一つには本当に精神的に緩んでしまうからだ。ものすごく暑い中で組み手をやっていて、どちらかといえば組みし易しとみた相手とあたったときなどが危ない。突き指をしたのはまさにこのケースだと反省する。


もう一つ油断が出るのは、体力が付いていかない場合である。がんばらなくちゃと自分を鼓舞するのだが、残念ながら熱くて消耗してどうしようもないときもある。そんなとき、ふと気が抜けることがある。体がついていかないが故に気が緩んでしまうことがあるのだろう。


いずれにしても、突き指自体は大したことがなくてよかった。そして、これぞ戒めだと思う。最近、稽古のときに気が抜けていることに対して、空手の神様が「お前ね、もっとちゃんとやらんとダメよ」と警告してくださったのだろう。


なにごとも緊張と緩和が大切だというが、自分の場合は緊張してその上にまだ緊張して、それで機を見て少しだけ緩和するぐらいの腹づもりで稽古に望まないといけないと強く思った。



昨日のI/O

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昨日の稽古:

・レッシュ式腹筋