メールがなくなる世界


2005年で674万人


就業者の約10%。ITを活用して週8時間以上テレワークに携わる人の数である(日本経済新聞7月13日夕刊)。ちなみにテレワークの定義は、「通信ネットワークを利用して、オフィス以外の場所で働く労働形態のこと」らしい(→ http://e-words.jp/w/E38386E383ACE383AFE383BCE382AF.html)。


政府の計画によれば2010年までにテレワーク人口を今の倍、就業者の2割にまで増やすことが目標となっているようだ。テレワークには人材確保、コスト削減、省エネに自己実現の後押しなどいろんな効果が見込める。とても良いことだと思う。


特に2010年頃ともなれば、次世代超高速光ファイバーが実用化に近づいているかもしれない。いま国が進めているプロジェクトではすでに2.4Gbpsの高速光ファイバーの試験運用が始まっている。この2.4Gbpsがどれだけ早いかといえば、新聞の朝刊1年分を3秒、音楽CDを1枚を1秒で送信できるぐらいの速さである。


よくわからないが、とりあえずこれぐらいの速さになると一つの臨界値を超えている可能性がある。つまりこの超高速光ファイバーが実用化されれば、社会に質的な転換が起こるかもしれないわけだ。先日、ある大学教授に取材したときには、次世代ブロードバンドが整備されるとほぼ間違いなくパラダイムシフトが起こるとおっしゃっていた。たとえるなら世の中に電気が供給されるようになって、社会生活は根底から変わった。それと同じぐらいの変化を次世代ブロードバンドはもたらすことになるだろうと。


仮に音楽CD1枚を1秒でダウンロードできるなら、CDを手元に所有する必要がまったくなくなる。データを手元に置いておく必要がなくなることになる。ということはクライアントサイドのパソコンは、シンクライアントでいいということになる。データはすべてネットの「あちら側」に置いておけばいい。


おっと、そうなると手元のパソコンにはソフトもいらなくなるんじゃないのか。今のGoogle Docs&Spreadsheetがもっと洗練されて、多機能化して、それでもサクサク動く。PowerPointIllustratorPhotoshopもみんな「あちら側」にある。という時代がくることをGoogleは読んでいるのだろう、きっと。


そうなるとテレワークはさらに進むだろう。現時点ではオフィスまで出かけていかないと手に入らない資料や書類などに一瞬でアクセスできるようになるのだから、その方が圧倒的に効率的だ。そしてテレワークで問題となりがちな意思の疎通だってテレビ電話をバンバン使えるようになれば解消されるだろう。もちろん会議だってオンラインでできる。


テレビ電話ならメールを使ったコミュニケーションに比べてはるかに伝わる情報量は増える。しかもテレビ電話といってもなにもリアルタイムでやり取りする必要さえない。どこかのサーバーにテレビ電話メッセージを残しておけばいいわけだ。相手は自分の都合のいいときにそのサーバーにアクセスして見ればいい。


そのときテキスト文化はどんな形で生き残っているのだろう。


学習のためのメディアとしてや思考を伝えるためのメディアとしては生き残っているとは思うが、コミュニケーションメディアとしてテキストが生き残っている可能性は、もしかしたらかなり低くなるのではないだろうか。


メラビアンの法則によれば、対面コミュニケーションの55%が視覚情報、38%が聴覚情報であり、言語情報はわずかに7%しかない。これに対してメール(というかテキストによる)コミュニケーションなら、ほぼ100%が言語情報である。テレビ電話によるコミュニケーンが対面コミュニケーションの疑似形態であることを考えれば、次世代光ファイバーが整備されたときには本質的なコミュニケーション革命が起こる可能性もあるということだ。


テキストを書くことを仕事としている人間としては、もしかしたら、相当な危機感を持っておく必要があるのかもしれない。あるいはこれまでテキストだけで表現してきた内容を、とりあえずビデオに向かって話しかける形で伝えるスキルを身につけるとか、さらには自分で簡単な動画編集ぐらいはこなして、よりビジュアルに伝えるスキルを身につけるとかいったことを考える必要があるのかもしれない。


そんな世の中になったりすると、そのときには確実にジジィになっている自分にとってはなかなかに生きづらい世の中になっちゃっうようで、ちょっと困るんだけれど。


昨日のI/O

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INSIGHT NOW寄稿原稿『インタビューのコツ』
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滋賀県庁取材原稿
某ソフト開発物語
FPN寄稿原稿『アイデアが生まれる場所』
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