家族と過ごす時間


男性なら30代32%、40代35%


家族との時間をとれていないと感じる人の割合である(国民生活白書日経産業新聞2007年7月3日より)。なぜこの年代が家族と過ごす時間をとれないかといえば、働き盛りの30代、40代は長時間働く人の割合が高いからだ。一週間に60時間以上(週休二日制なら一日平均12時間以上、仮に土曜日まで働くとしても一日10時間以上)働く人の割合は、30代が最も多く、40代がそれに次ぐ。


ワーク・ライフ・バランスが注目されたり、ゆとりや癒しが求められる時代となってきている。とはいえ一時期ほどではないにせよ、まだまだハードワークしている人がたくさんいるということなのだろう。現実問題としてはリストラやアウトソーシングが進んだ結果、一部の「できる」人に仕事が集中するようになっているとも考えられる。特に競争の厳しい民間企業ではそうした傾向が強いのではないだろうか。


家族と過ごすといえば、問題はお父さんだけではない。子どもだって忙しいのである。国民生活白書によれば

二〇〇六年の小学生の通塾率は三十六・五%、中学生は四十二・七%と、一九八二年と比べてそれぞれ十四・七ポイント、七・八ポイント増加
(前掲、日経産業新聞

という。ましてや最近の子どもは学習塾だけにとどまらず、スポーツ系の習い事もしているケースが多い。そうなると忙しいお父さんと同じく忙しい子どもがすれ違ってしまうのも当然といえるだろう。


父と子が共有する時間・空間が減ってしまうと何か問題が起こるのではないだろうか。気になるのは、この点だ。もう一歩突っ込むなら、仮に今の父たちに子どもと共有する時間・空間が十分にあったとすれば、彼らは子どもに何を伝えられるだろうか。


伝えるといっても、父親が自分の価値観を子どもに植え付けるといった話ではない。本来、父親が果たすべき役割とは、その逆ではないかと思うのだ。つまり世の中には驚くばかりに多種多様な価値観を持っている人がいることをまず子どもに知らしめる。これが家の外で働く父親が子どもにしてやれる最大・最高の教えである。


一歩を「家」を出ればそれほどまでにいろんな価値観が存在することを知った子どもは「では、自分はどんな価値観を持っているのかとか、これから先どんな価値観を持てばいいのか」と考え始めるようになるだろう。そのキッカケ作りこそが父親が果たすべき役目ではないのだろうか。


家族と共に過ごす時間が長ければ、その家族が暗黙のうちに共有している価値観も子どもには自然と伝わるだろう。その上で、子どもは自分なりの価値観を築いていかなければならない。それが子どもの成長の重要な側面だ。


子どもが自分のオリジナルな価値観を組立てていくベースとしては、何らかの価値観がなければならない。基準となるものが何もないところに新しい価値体系を構築することなんて不可能である。だから家族が同居することは、子どもが自分なりの価値観を育成するための必要条件だったのだ。


ということは同居時間が少なくなれば、価値観の形成もしくは多様な価値観伝授がなされる機会が減るということになる。これは子どもにとってはあまり好ましい状態ではないと思う。


知り合いのコピーライター女史は子どもの頃毎年、夏休みのたびにお父さんに連れられて上高地でキャンプしていたと話してくれた。これが並みのキャンプではない。だいたい一ヶ月ぐらいの期間を、お父さんと子ども二人がテント生活で過ごすそうだ。もちろん、そんなことができたのはお父さんがフリーのデザイナーだったからだとはいえ、いろんな意味で羨ましい話だと思う。


一ヶ月のキャンプ生活こそできないが、幸いにも自営業をしているおかげで、子どもと過ごす時間は恐らく相当に多い方だと思う。これを活かして子どもにはできるだけいろんな経験をさせ、世の中にはさまざまな考え方があるんだと事あるごとに教えるよう心がけているつもりだ。さて、その効果はどんな結果につながるのだろうか。



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