早朝座禅のすすめ


47年生きてきて、今朝初めて雨の音を知った


文章にすると、ものすごく大げさに響くかもしれないけれど、今朝方は本当に雨の音をわかったような気がした。


ここ一週間ほど、毎朝座禅を組んでいる。といっても半結跏趺坐で、手も一応は法界定印を組んではいるが、無念無想の境地をめざしているわけではない。それどころか夢想、妄想に耽り、抱えている難題にずっと頭を悩ませながら座っているといった方が正しい。


そもそも、なぜ座禅なんかを始めたかといえば『早朝座禅』なる本を読んだから。山折哲雄氏によるこの本には、特に早朝に座禅をする効用や座禅といっても必ずしも無念無想を目指さなくても良いことなどが書かれていた。早朝に行なうのは普通の方々にとっては難しいことかもしれないが、高血圧早起き症の私にとっては何の苦でもない。


それならばとやってみて、これがなかなか気持ちいいのである。時間はだいたい4時半から5時半ぐらいまでの間(これもやるからには、必ず何時からなどと決めつけないのが良いわけだ)で、10分だけ。窓を開け放ち、その前で座布団を一枚尻にはさんで座る。


最近は日の出が遅くなってきているから、この時間帯だとまだほとんど真っ暗だ。気をつけるのは呼吸と目。山折氏の本には「一,二で鼻から息を吸い、三、四、五、六でゆっくりと口から吐き、七、八で息を止める。この三つのリズムを繰り返すのが、丹田呼吸の基本だ。」とある(山折哲雄『早朝座禅』祥伝社、2007年、53ページ)。


武道的な呼吸とは少し違うけれども、とりあえずこのやり方に従っている。ただし逆腹式呼吸で、できるだけ背筋を伸ばし(頭のてっぺんに糸を付けて天井から引っ張られている感じ、ですね)、でも肩は決して怒らせないようぐらいのことに気をつけている。


もう一つは目。これは閉じても開けてもいいらしいが、一応半眼にしている。といっても私の場合はメガネを外すとほとんど何も見えないわけだし、外も暗いので目を閉じているのとあまり変わらないのかもしれない。


そうやって今朝、雨の降る音を聞くとはなしに聞いていて、いろんな音がするのだなあとか、何となくリズムがあるのだなあとかいうことに気付いたわけだ。あるいは、そこはかとなく庭から立ちのぼってくる(座禅を組んでいるのは2階の仕事部屋なので)匂いも、いつもとはちょっと違うなと。


もちろん雨の音を聴き分けようなどと意識していたわけじゃない。座ってしばらくの間は、あの原稿を朝のうちに何とか仕上げなきゃ、そのためには構成を考え直す必要があるだろうなとか、今朝配信する予定のメルマガのネタがないなあどうしようなどといった直近の悩み事が頭の中をぐるぐる回っている。


それが一段落すると、さて今月のうちにやり遂げなければならないことが結構たくさんあるなあとか、それもお金にならないことば多いなあなどと目下の懸案事項などがてんでバラバラに浮かんでは消える。そういういわば煩悩まみれの時間の合間に、ふと「雨の音がするなあ」とつい聴き入ってみると、雨の音にはいろんなバリエーションがあることに気がついたという次第。


当たり前のことだけれど、雨音とは雨粒が何かに当たったときに発する音だ。だから当たるものによって音は違うし、同じものに当たっても雨粒の大きさや当たる角度によって音は変わってくる。何でもないといえばそうなんだけれど、そんなことに気がつけたことが「小確幸村上春樹用語ですね)」だと思った。


座禅でよくいわれる無念無想の境地とは天と地ほどかけ離れているのだろうけれど、とりあえず早朝座禅は気分がよくなることは確かだ。


たぶん「無念無想にならねば」などと思い込んで座っていると、それは苦痛の時間にしかならないと思う。思い込むこと自体がすでに何かに捉われているわけだから。そうじゃなくて「何でも好きなこと考えててええねん。悩み事でも、仕事のことでも、ちょっとぐらい○○○なことでも」ぐらいに思って、それこそ次から次へとわいてくる妄想に委ねていると、それがいつの間にか消えている。自分的には心伸びやかな自由の境地である。


これが気持ちいい。早朝座禅、おすすめである。



昨日のI/O

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昨日の稽古:

・レッシュ式腹筋、懸垂

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