転職で天職


日本全国で245万


日本には、こんなにも多くの会社がある。といってもおそらくはその9割ぐらいが社員10人未満の零細企業だろう。一方で上場企業が新興市場までいれて全部でざっと5千社ぐらいと聞いたことがある(あくまでも伝聞情報なので、まったく違っているかもしれません)。仮に5千社だとして、日本の全会社数のうちの0.2%ぐらいが公開企業ということになる。


一方、就業適齢人口はといえば、これもたぶん5千万人ぐらいなんじゃないだろうか(これもめちゃ大ざっぱな数字ですので、その点ご了承を)。まあ仮に5千万人だとして、上場会社の社員数を平均1000人ぐらいとすればどうなるか。上場会社の社員が日本には500万人ぐらいいることになる。就業適齢人口のうちの10%である。


もちろん5千万人のうちには公務員もいれば、無職の方もいらっしゃるはずだ。あるいは士業やお医者さん、商店経営者など自営業の方もざっと1000万人ぐらいはいらっしゃるのではないか(私もその中の一人というわけです)。


くどくどと長い前書きになってしまったけれども、要するに何を言いたいのか。日本は終身雇用制度が当たり前みたいに言われていたけれども、それって本当(そっちが多数派って意味で)だったのかという問題提起である。最近でこそいわゆる大企業がいきなり倒産することがあれば、あるいは思いもよらなかった吸収合併なども起こったりして会社サイドの都合で終身雇用は崩れてきている。一方で特に若い人たちは、せっかく入った会社でも見事なぐらいあっさり辞めちゃったりしている。


これまで大企業が中心となって支えてきた終身雇用制度が崩れてきているというわけだ。なかなか善きかなと思いませんか。


あえて誤解を覚悟の上でいうなら、就職も結婚と同じである。一緒に暮らしてみないと妻として選んだ女性が自分に最適だったのかどうかなんて、事前にわかるはずがないのだ。あるいは人は歳月を重ねることで変わる生き物である。結婚前は「この人となら一生・・・」と思っていても、その先どう変わるかは神のみぞ知るである。


それでも結婚ことに恋愛結婚(というのは死語に近いきもするが)の場合は、就職よりもずっとましだ。少なくとも結婚するまでにいくばくかの時を一緒に過ごすわけであり、その期間で相手をいろいろと見定めることができるのだから。これに比べれば就職なんて、ほとんど当て物みたいな世界である。実際にその会社に入って、そこで働いてみないことには自分との相性なんて、まあ絶対といって良いぐらいわからないはずだ。当然、いざ仕事を始めてみて「なんか、違うなあ」ということは、ほとんど誰もが経験してきたことじゃないんだろうか。


ただ社会的な(マジョリティ)の見解として、いったんある会社にお世話になると決めたら、少なくとも自分から辞めますなんて言うもんじゃないよ、という刷り込みが、誰が考えたのかはわからないけれども、確かになされてきた。それは勘ぐるに、日本の戦後復興を支えた大企業にとっては若い労働力を安く使うための方策として機能したはずだ。つまり一生面倒をみてやるし、年功序列賃金で年を重ねるごとに給料も上げてやる。さらには定年まで無事勤め上げれば、それなりの退職金も出してやろうと。その代わりに若い間は丁稚奉公でがまんしなさいよと。そのためのシステムが終身雇用制度だったのだろう。


そうやって若くて元気な労働力を安く使うことで日本の企業は競争力を付け、順調に成長する。企業成長と同時に市場も拡大した。いわゆる右肩上がりの成長が続いたわけで、それが未来永劫に渡って見込めるのであれば、若い世代がやがて定年を迎える頃になっても、企業としては年功序列賃金を保証できるし、退職金もきちんと払うだけの余力を蓄えることができる。めでたしめでたしである。


しかし、それは幻想である。日本では人口が減少に転じ、少なくとも国内市場の拡大は見込めない。トヨタのような数少ない勝ち組企業こそ順調に成長を続けているけれども、中国を筆頭とする新興勢力のコストパワーに負けている企業はたくさんある。そして、あまりうれしくない予想だが、今後日本企業が巻き返しを図れる分野は、かなり限定されても来るだろう。


だから、遅かれ早かれ終身雇用制度自体は存続不可能となるはずだ。ここでようやく結論に到達したわけだが、であるならば最初から終身雇用なんてコトを雇う側も雇われる側も考えずに、転職するのが当たり前ぐらいに思っていた方が良いのではないか。もちろん「ちょっとしたことでイヤんなったからすぐ辞める」というのは困るのだけれど、自分なりの基準を設定した上で、合わないと思えばどんどん辞めて行く。転職市場がもっともっと活性化され、転職を重ねるうちに本当の天職と出会う。そんな社会になればよいなと(もっといえば、もう少し早くそんな世の中になっていてほしかったと)思った。



昨日のI/O

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佐藤裕久氏インタビュー原稿


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昨日の稽古:富雄中学校武道場

・準備体操
・補強運動
・基本稽古
・型稽古(足技太極二・三)
・ミット稽古
・組手稽古