セカンドオピニオンは必要か


セカンドオピニオンを求めた方が良いといわれる


がんなどの大病にかかったときには、一人の医者だけでなく複数の専門家の意見を聞いた方が良いという考え方である。確かに自分が診てもらっているお医者さんが、自分がかかっている病について世界最高の権威、なんてことはまずない。だからいろんなお医者さんに診てもらった方がより最適な治療をしてもらえる可能性がある。この考え方自体は間違っていないと思う。


たとえば「がん」について。がん研究が最も進んでいるのはアメリカだ。彼の地では国民皆保険制度がないために、あらゆるがんについて多面的に研究が進んでいる。どういうことかといえば、保険に加入していないがん患者が自ら進んで実験的な最新の治療に我が身を差し出すのだ。


保険に加入していなければちょっとしたケガでさえ病院で治療を受けるには高額な治療費が必要となる。ましてやがんのような病気となれば、保険に加入していない(加入できない)クラスの人たちにとってその治療費を捻出することは到底不可能。そこでじっと痛みに耐え死を待つよりは、一か八かでも治る可能性がある研究中の治療の治験者になる。


そこでは日本では滅多にお目にかかれないような症状の患者も当然、出てくる。つまりギリギリまで我慢したがどうにも耐えようがなくなり駆け込んでくるような最末期の患者だ。そのようにさまざまな症例の患者に対して最新の治療法を実証していくアメリカのがん研究が世界でも最先端のものとなることは想像に難くない。


そしてアメリカは、研究成果を基本的にすべてインターネット上で公開している。米国国立癌研究所が配信しているPDQというサイトである(→ http://www.cancer.gov/)。このサイトは日本語に翻訳されていて、最新情報も随時更新されている(→ http://cancerinfo.tri-kobe.org/database/pdq/


たとえば日本のがん関係のお医者さんでも、こうした情報から積極的に学んでいる人とそうじゃないお医者さんでは、がんに対する知識や治療ノウハウにずいぶんと差があることは間違いないだろう。


個人的にはこれまで、「医者」に対する妙なインフェリオリティー・コンプレックスを持っていたがために、「お医者さま」と聞けば十把一絡げ的に「偉い人=何でも正しいことを言ってくれる人」という刷り込みから抜け出すことができなかった。お医者さんに逆らうのはもちろん、目の前のお医者様がおっしゃることが間違っているなどとはついぞ考えもしなかったわけだ。


ところがである。今年の2月に高校の同窓会を開き、そこに行ってみるとまあ医者が10人ぐらいは来ている。当たり前だけれどみんな同い年なんだから、もう50前の立派な(?)お医者さんだ。が、彼らの高校生時代を知っている身としては「医者=絶対無謬説」にいささかの疑いをもってしまったという次第だ。


たとえばいまかかりつけの内科医として診てもらっている先生は、どうみても奴らより若い。ということは同級生たちの方がいつも行く病院の先生より経験も積み、ノウハウも豊富に持っていることになる。然るにもし生き死にに関わる病に冒された時、自分は同級生諸君に我が身を安心して委ねるだろうか。


こんな、いささか不謹慎な問いを立ててみるとセカンドオピニオンの重要性がよくわかる。もとより同級生ドクターの腕を疑っているわけでは毛頭ない。むしろその逆である。何しろ彼らは私の主治医よりもたいがい偉いのだからもてる技術だってそれなりのものなのに違いない。しかしである。ポジション的には上位に位置するはずの同級生医者諸君をさえ絶対的には信じられないのだとしたら、自分のかかりつけ医に全幅の信頼を置くというのはいささか考え直した方がよいのではないか。


もっともどんな病気でもセカンドオピニオンが必要だというわけでもないだろう。それより何よりそもそもファーストオピニオンの意味さえ理解できないケースの方がずっと多いはずだ。異なる医者が自分の症状について、異なる所見を述べ、異なる治療法を提示してきたときに、その是非は一体どうやって判断したら良いのだろうか。判断の下しようがないではないか。万が一、一刻を争う病状に陥っているとすれば、悠長に自分で勉強している時間もないはずだ。


であればである。理想をいえば、まず信頼できるホームドクターを一人確保することから始めたい。これはできるなら話のしやすい同窓生医者諸君の中から一人、もっとも博学にして親切、しかも正直そうな奴になってもらう。プラス彼には決定的に重要な条件が課されることになる。すなわちさまざまな分野のスペシャリストともいえるお医者様(もしくは大学病院ですね)への強力なコネクションである。セカンドオピニオンを取ることを前提とするなら、各分野にそれぞれ2、3人そうしたそ権威者コネクションを持っていてほしい。


そしてひとたび何かあったときには、まずホームドクターの彼に診てもらい、その上で最適なお医者様を複数紹介してもらい、彼と相談しながら最善の治療法を選択する。そんなわがままに付き合ってくれるような友だちを、高校時代に作っておくのだった。誠に後悔先に立たずである。




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