名刺の意味を考える


名刺についての考え方を一変させられるような記事を読んだ。
http://web-marketing.zako.org/favolite-movie/design-business-card.html


たとえばこんな名刺がある
http://flickr.com/photos/dailypoetics/495174445/
もとはこれである
http://flickr.com/photos/dailypoetics/495174803/


要するにがっちりした厚紙(印刷の専門用語ですね)に名刺を刷り込み、さらにトムスン(これも印刷の専門用語、たとえば→ http://nishimura-p.co.jp/tomuson.htm)をかけるとこういう名刺を作れないこともない。めっちゃ手間がかかるし厚紙のカラー印刷、トムソン加工などコストもかかる。


最近では自分でデザインデータを作り、そのデータをネットで送れば名刺など2、3日ででき上がってくる。こうしたお手軽名刺なら100枚で2000円ぐらいだ。これに対して冒頭のペーパークラフト名刺ともなれば、そのコストは100倍ぐらいにはね上がるのではないだろうか。


しかしである。名刺を受けとった方のインパクトはどうなるか?


おそらくはペーパークラフト名刺はノーマル名刺の100倍以上のインパクトを与えるのではないだろうか。つまり名刺を受けとった相手からは「あぁ〜、あの自動車の模型になる名刺をくれた人」として、相当長い期間記憶にとどめられる可能性がある。もしかすると「じいちゃんが昔、仕事をしとった頃にな、こんな面白い名刺をくれた人がおったんじゃよ」と孫にむかし話の一つもするかもしれない。たかが一枚の名刺が、一生の記憶に残ることだってあり得るわけだ。


そもそも名刺とは何のためにあるのか。


名刺とは『広辞苑』によれば、次のように記されている。

(昔、中国で竹木を削ってこれに姓名をしるしたものを「刺」といったところから) 小形の紙に姓名・住所・職業・身分などを印刷したもの。訪問・面会その他、人に接する場合に用いる。


要するに初対面の人に、自分を知ってもらうためのコミュニケーションツールである。であるなら、本当は自分のことをできるだけ理解してもらえるように作られて然るべきではなのか。


そう考えている人も確かにいる。プランナーの藤村正宏氏なんかがそうだ。藤村さんはまず名刺の表面で自分の名前に付ける肩書きをしっかり考えよといわれる。さらには名刺の裏面にも、自分にできる仕事を(相手のお役に立つという観点から)可能な限り印象的な短文で書くことをすすめている。


私のような個人超零細商店(商法上は個人商店扱いだ)を営んでいる身としては、初対面での印象が大切とばかりに藤村流名刺を真似させていただいている。残念ながら表現レベルが中途半端なために、私から名刺を受けとった方達の印象にはあまり強く残っていないみたいだけれど。


とまあ名刺に表示するコンテンツに関しては、少しだけ考えてはいたつもりだったが、コンテンツの表示方法については勝手に自主規制の枠を自分ではめていた。すなわちたとえば横型の名刺ならば、ロゴなどを左に配し、ホワイトスペースのバランスを取りながら、基本的な表示要素は右側に寄せる。文字の大きさは名前が10ポイントぐらいで、住所や電話番号、メルアドなどは7ポか6ポで十分。


おそらくはデザイン事務所に勤めていた頃に知らず知らずの内に身につけていた『名刺の文法』に従うと名刺とは、こんなありきたりパターンに自然に収まることになる。もちろん、そうした文法の域内でもデザインの巧拙は確実に出る。微妙な空間の空き具合、文字の揃え方によってきちんと感があったりなかったりする。が、そうした差異が名刺交換のときにどれだけの意味があることか。


それこそAIDMAの法則に従うのならば、名刺だってまずはAttentionである。受けとった瞬間に相手が「おぉ〜、なんじゃこの名刺わぁ〜」と思えば、まず最初の関門突破ということじゃないんだろうか。そして「何々、どんなことが書いてあるんだ」と名刺に表示されているコンテンツに相手がInterest、興味を示して読んでくれれば、名刺に果たされた役割はほぼ完璧に遂行されたことになる。


万が一にでも、そのコンテンツを読んだ相手が「これはおもろいやっちゃ。こいつとやったらええ仕事ができるんちゃうか」とか「こんな奴と仕事してみたい」と思いでもしたら、それこそ大成功というものだろう。


たかが名刺、されど名刺である。名刺のデザインを見直せば、ビジネスチャンスがうんと広がる、こともあるのではないだろうか。




昨日のI/O

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村上春樹にご用心/内田樹
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昨日の稽古:

・レッシュ式懸垂