WiMAXが開く世界


月額3200円定額で40メガ/秒


いよいよ2009年に次世代無線通信サービス(WiMAX)がスタートする見通しとなった。サービスを提供するのはワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムの2社(正確には1グループ&1社)である。最初のサービスはノートパソコン向けにPCカードを使ったデータ通信となるようだ。


めちゃ楽しみである。


このサービスがスタートすれば、とりあえず我が家では光回線の契約を解除するかもしれない。もちろん毎秒40メガという通信速度はベストエフォートであり、実際には半分の20メガぐらい出れば良いところだろう。が、いまの光回線でも25メガぐらいであることを考えればそれでも十分である。


そしてWiMAXなら光回線のないところでも同じように使える。たとえば自宅内ではいま、ワイヤレスルーターを使って電波を飛ばしているがそんな面倒なことをする必要はもうない。あるいは外出したときにホットスポットhttp://www.hotspot.ne.jp/)やフリースポットhttp://www.freespot.com/index.php)を探しまわってネットにアクセスこともなくなるだろう。


電波のエリアが最終的にどうなるのかはわからないが、人口カバー率で93%が目標(ワイヤレスブロードバンド企画の場合)ということは、いまケータイを使っているのとほぼ同じぐらいどこでもネットにつながるということだろう。このネットサービスを月額定額(のはずだ)3200円で使える。しかも高速移動中でもたぶん通信が途切れることはない(はずだ)。


このWiMAXは今後、世の中にどんな影響をもたらすだろうか?


通信業界に限れば、直接の競合は光ファイバーである。ADSLは速度/価格で考えれば、もはや競合とはいえないだろう。では光ファイバーとどちらがコストパフォーマンスが高くなるか。光の場合は、光回線が近くにあることが前提条件となるが、このWiMAXはそうしたインフラの有無を問わない(もちろん基地局があることは前提となるが)。価格は今のままなら光ファイバーの方が高く付くので、WiMAXが本格普及してくれば光ファイバーは値下げに動くだろう。ユーザーにとっては価格が下がって選択肢が増えるのだからとてもよいことである。


あるいは光側がもっと高速を打ち出してくるかもしれない。たとえば毎秒1ギガとか10ギガとか。これぐらいになるとそこでどんなコンテンツを流すのかがポイントとなる。が、このレベルの光回線が普及するのは最低でもあと10年ぐらいかかるのではないか。


ケータイ各社も影響を受けるはずだ。もちろんケータイと比べればノートパソコンでも圧倒的にでかく重いことがハンディとなる。が、より軽量で持ち運びが便利な超小型ノーパソが開発される可能性は高い。となると、そこにスカイプをセットすれば、これはケータイの強力なライバルではないか。少なくともビジネスユースでケータイを使っているユーザーにとってはWiMAX&小型モバイルノーパソの組み合わせは十分に魅力的だ。


そこでキーデバイスの一つとなるのがバッテリーだろう。一回フル充電すれば最低でも12時間は保つ小型軽量のバッテリーが必要になるのは明らかだから、これは恐らくすでにバッテリーメーカーでの開発が進んでいるだろう。


ではWiMAXはワークスタイル、ライフスタイルにどんな影響を与えるだろうか。仕事をする場所についての自由度が高まることはまず間違いない。これまででもケータイやスマートフォン、あるいはノートPC&通信カードの組み合わせにより仕事をする場所は、以前と比べれば大幅に自由度が高まってはいる。自由化はもっと加速するだろう。


そりゃメール一つを書くにもケータイの小さなキーを何回も押すより、ノーパソの方がうんと楽だ。Excelも実用的に使えるだろうし、PowerPointだってモニターサイズによっては何とか使える。どこでも仕事ができる環境がより整備されることになるだろう。


さらにデータをネットのあちら側に置くスタイルがもっと広まることも考えられる。そうなればノートパソコンの考え方も変わってくるのではないか。極端な話ブラウザーさえきちんと動けばアプリケーションは不要、といった環境になる可能性もある。というかすでにGoogleはそうした環境整備にまっしぐらである。しかもタダだ。余分なアプリを動かす必要がなく、ノーパソにデータを保存する必要もないとなれば、ハードディスクもいらなくなるかもしれない。それならバッテリーだって長時間保つだろうし、パソコン自体もうんとコンパクトにできる。


とりあえず、いま思いつく変化はこういったところ。でも、もっといろんなことが変わってくる気がする。というか必ず変わるはずだ。



昨日のI/O

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