ロールモデルを見つける


ロールモデル(Role Model)である。


すなわち自分の行動の規範となる存在である。年の暮れでもあるので、来年のというか、これからの人生のロールモデルを考えてみようと思った。これまでにも何人かの方に勝手にモデルになっていただいてきた。早い話が「あんな人みたいに生きていきたい」という憧れの存在である。


振りかえってみれば、もっとも幼い頃に意識したロールモデルはたぶん『月光仮面』だろう(といっても何のことだか知らない人の方が多いだろうけれど。実際に「ど〜この誰かは知らないけれど、だ〜れもがみ〜んなし〜ってい〜る」というよくわからないキャッチフレーズがついていた人でもある)。続いては何といっても星飛雄馬である。


と、ここまで書いてみて、こんなことはこれまでに考えたこともなかったが、自分の歴代ロールモデルを思い起こしてみるのは相当におもろ恥ずかしいことがわかった(ので少し続けてみる)。


小学校時代はたぶん星飛雄馬で打ち止めだったはず。もっとも影響を受けやすい六年生のときには受験勉強に勤しんでいたので、あまりテレビを見る時間もなかった。と書いてすぐにサンダース軍曹がいたことを思い出した。カッコよかったですね、『コンバット』のオープニングでの「スタァ〜リン、ヴィックモロー(starring Vick Morrow)」というアナウンス。この番組だけはオヤジが好きだったので、一緒に見せてもらっていたのだ。


戦争連想で出てきたのがホーチミン毛沢東。今は昔、学研が毎月学校で配布していた雑誌(今から考えればなかなか優れたビジネスモデルだ)の付録に世界のコンパクト偉人伝シリーズがあり、それで読んだ農民開放の英雄二人にもとても影響された。思い出すと結構いろいろなロールモデルがいるものだ。


やがてめでたく中学生となってすぐに影響著しかったのは『荒野の少年イサム』か。だが、これは春休みだけのことであり中学生で卓球部に入ってからは荻村伊智朗、田中利明のお二人だったような気がする。荻村伊智朗氏はまだしも田中利明なんてよほどの卓球マニア(しかも昭和30年代から40年代ぐらいの)でもなければご存じないだろう。とりあえず日本が卓球王国全盛時代だったころの全日本チャンピオンである。


超人的な練習、自分をいじめ抜くトレニーングをしてこそ人に勝てる。今にしても思えば『他人に勝つためには、まず自分に克て』という教えを学んでいたのだろう。毎朝5時半に起きては早朝特訓で一人、二月堂の階段をうさぎ跳びしていたことなどを思い出す。おかげで中学校入学時には腕立て伏せ、腹筋ともにたったの一回もできなかった虚弱体質がかなり改善される。


ところが熱血卓球少年は高校生になるとあっという間に軟弱文学ロック少年へと転落してしまい、高校二年生の頃には岩谷宏にはまった。『ロッキン・オン』という当時は超アングラだった雑誌の主宰者の一人、デビッド・ボウイの信奉者、自分が進みたいと考えていた京都大学文学部仏文科出身でロックな人でもある。岩谷宏が書いていたことは十七歳の自分にはほとんど理解できなかったけれど、理解できないからこそ自分にとって意味があることが記されているのだという倒錯的な考え方を抱くようになった。


それ以降は、訳のわからない難解な文章が自分にとっては重要な意義をもつのだと思い込み、意味の理解できない哲学書、小説などをせっせと読んだ。あれから三十年経ってみれば結局、あの頃に読んだことは何も身に付いていないことがわかる。これをして若気の至りと言うのだろう。やがて相変わらずわかりにくいことに変わりはないのだけれど、翻訳ではなく日本語で書かれている分少しは理解できる文章を書く人に出会った。たぶん、最初は高校の現代国語の教科書で読んだ森有正氏。


岩谷氏の次は森有正氏である。なので高三の終わりぐらいから浪人時代にかけてはフランス文学・哲学を究めるために、いずれは自分もパリに留学するのだと思っていた。が、そんな息子を心配した父親がおそらくは矯正のためにと買って来た大藪春彦ゴルゴ13にまたはまってしまう。なよなよ真っ白にうざいほど髪を伸ばしていた文学青年は一転してスポーツ刈りで筋トレに励み、ボロニアソーセージを1キロを一気には無理なので3回ぐらいに分けて胃袋に放り込む似非ハードボイルダーへとドラスティックに転身する。


が文学青年への憧れだけは消せなかったようで、小説家でありながらオフロードバイクジープを乗り回すアクティブな物書き・丸山健二氏に強く影響を受けるようになった。当時、史上最年少の芥川賞作家と謳われながら、文壇との付き合いがイヤで信州に移住した変わり者である。やはり30年ぐらい前にはカメラのコマーシャルなどにも出られていたことがある。


この人の小説、エッセイを何度も繰り返し読んではバイクを(といっても原付オフロードバイクに過ぎないけれど)乗り回し、ランニング(ジョギングよりは強度があったと思う)や腕立て伏せで体を鍛え、習作を書きながら勉強する、といった自宅浪人生活を送っていた(続く、かもしれない)。




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