ロールモデルを見つけるパート2


あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします


というあいさつは、一体誰に向かってしているのだろう。などとふと考えてしまう不思議なメディアがブログなわけで、ともかく今回で書き始めてから827回目となった。


昨年暮れぐらいから急激に忙しくなったこともあり書けない日が続いた。これが以前ならとにかく毎日何かを書かなきゃならないという強迫観念に駆られていた。そのために時間がなくとも、あるいはネタがなくともとにかく何か書いていたわけだ。そのために書いた後で読み返してみると、何を言いたいのかがさっぱりわからないエントリーもいくつかあった。今年はそういう無駄なことはやめたいと思います。


さて、ロールモデルの続きである。


浪人時代に巡り会った丸山健二氏がしばらくの間(大学時代のかなりの間)ロールモデルとなっていた。故に家の近くの山林(当時は滋賀県野洲町で希望ヶ丘公園まで3キロぐらいのところにいた)をジョギングし、また湖南山地の林道をオフロードバイクで走り回ったりしていた。おかげで大学時代にはまともに勉強することなく、5回生で必修単位の半分以上を辛うじて取って卒業にこぎ着けることができた。


卒業後はめでたく京都の印刷会社に潜り込むことになる。そして、ここからの十年ぐらいが自分としてはもっともバカな時代だったように思う。印刷会社でサラリーマンをしていた頃には、自分を顧みるような時間はまったく持てなかった。一応、将来を期待された営業マンとして金沢、東京、名古屋への出張に明け暮れる毎日である。電車の中で本は読んでいたけれども、精神的に影響を受けるような本とは出会っていない。仕事では中堅企業の社長、重役クラスとお付き合いをさせていただいたが、この人は素晴らしいという人物にお目にかかることは残念ながらなかった。


そして三十過ぎに独立してからは、ますますじっくりとものを考える時間がなくなっていった。当時はバブルの残り火がまだすこしあって、ぜいたくさえ言わなければなんとか仕事にはありつけることができたのだ。そうした仕事をデザイナーの友人、アシスタントの女の子とたった3人だけの事務所でこなしていくのは、なかなか大変なことだった。おまけに少しだけ経済的に余裕ができたので毎晩近所の居酒屋で飲み、週末にはクライアントを招いて飲むといったことを繰り返していた。当然何かを真剣に考える時間を作ることはできなかった。


やがて、そうした脳天気な時間を過ごしていたことに対する強烈なしっぺ返しを受けることになる。


今も一緒に活動させてもらっているデザイナーO氏との出会いである。そもそものキッカケは、O氏が手がけていた行政関係のマニュアルテキストを書いてもらいたいという依頼である。マニュアルの文章なんて固いしおもしろくも何ともないから基本的には気乗りしていなかった。とはいえ、それを工夫してコピー風に読みやすくするようにしてみようととりあえず第一稿を書き上げてみて徹底的にダメ出しを食らう。ほとんどけちょんけちょんである。


なぜか。私の書いた文章がいい加減だからである。コピー風に、読みやすくという方向性自体がすでに決定的に間違っていたのだ。マニュアルとはまず何よりも誤読を徹底的に防ぐように書かれなければならない。そのためには精緻な論理性が求められる。本来なら接続詞の選び方一つで文意が変わってくるぐらいのデリケートさを以て書かなければならない。にもかかわらずあまりにも気分的に書かれた文章ではないかと指摘されたわけだ。


一端の物書きを気取っていながら、自分がいかにだらしのない文章しか書いていなかったか。致命的な欠点に気付かせてくれたのが、このデザイナー氏だった。普通、デザイナーと言えば感性で勝負する人種でありロジックには強くないものと相場が決まっているのだが、この人は違う。何しろ芸大時代の愛読書が数学書である。論理的な文章を書くなどと偉そうに言う前に、まず論理的であるとはどういうことかを徹底的に考えさせられた。


ちょうどその頃にグロービスクリティカルシンキングの講師を務める人たちが主催する『知恵市場』というメーリングリストに参加していたこともあって、ロジカル思考に対する関心を強く持つようになった。これが三十代半ば過ぎぐらいのこと。論語には「吾十有五而志於学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命」とあるが、孔子さんの基準からすれば20年ぐらい遅れてようやく「志於学」となったわけだ。


いい加減アルコールでやられかけ始めるころからようやくまじめに勉強を始めたことになる。が、である。何かを始めるのに遅すぎることはないというおめでたい考え方をしているので、以降クリシン、ロジカル思考に自分なりに取り組むようになる。そしてこの分野の本をたくさん読んだが、その中でもいちばん勉強になったのは『論理トレーニング/野矢茂樹』だろう。めちゃくちゃ面倒くさい本(練習問題だらけだから)だけれども、この問題を考えることが自分にとはとても良いトレーニングになった。無謀にも知り合いを何人か集めてこの本の勉強会を開き、人に解説しなければならない状況に自分を追い込んだことでかなり集中して取り組むことができた。これがかなりよい経験となっている。


昨日のI/O

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『私のマルクス佐藤優
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 「正解は一つ思考のリスク」
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