お歳暮はネットで


4兆9300億円、前年対比22%増


eコマース市場が順調に伸びている。野村総合研究所の予測によるとこの調子でいけば2012年には市場は倍増し、10兆に達するそうだ(日経MJ新聞2007年12月21日)。けん引役となっているのがケータイを使うモバイルECだという。


ケータイ経由のECは現時点で全体の14%、これが12年度には2兆円を突破し、全体の2割に達するらしい。


いまやネットで買い物をすることは、かなり幅広い層で当たり前のことになってきている。普通にパソコンやケータイを使える世代の人たち(世代で切るのは適当ではないかもしれないが)にとっては、ネット通販の方がおトクになる可能性も高い。


たとえば本やCDを買うことを考えてみる。リアルな書店に行くのとAmazonで買うのとではどちらが便利か。買いたい本が決まっているなら圧倒的にAmazonの方が便利だろう。手に入れたい本が徒歩圏内の(=交通費のかからない)本屋さんにあることが明らかな場合はともかくとして、交通費がかかるならAmazonで買った方がトータルコストは安い(厳密に言うなら、確かいまAmazonなら1500円以上の買い上げで送料無料となるはずだから、それ以下の場合は送料と交通費の兼ね合いよる)。本屋さんまで行く時間もコストとして計算するなら、Amazonの方がもっと割安になる。


「いや、オレは何たって本屋に行って、新刊書のニオイをかぎながら立ち読みし、内容を確かめた上でないと本は買わないのだ」という人はもちろん別だ。本を買う行為そのものに価値を見出しているのだから、対価をかければよい。それでもAmazonでは、まだ一部の本に限定されているけれども、立ち読みするように本の中身を読むことができるサービスも用意されつつある。こうしたサービスは今後、さらに充実していくだろう。


お歳暮もネットでの受注が急進しているようだ。

高島屋や東急百貨店では受注金額は前年比で約30%増。他の大手百貨店でも店頭販売はほぼ横ばいだが、ネット経由は軒並み上昇している(日経MJ新聞2007年12月21日)。


考えてみればお歳暮などもネット好適品だろう。わざわざ混雑している年末の百貨店に出向く必要はなく、贈りたい品をサクッと検索して注文できる。ちょっとネットに慣れた人なら難しいことは何もない。送り先の住所を入力して、クレジット決済(ここは慣れていない人にはちょっとしたハードルになるかもしれないけれど)すればOKである。


まごころ込めて贈りたいから、品物はちゃんと現物を見て確かめなきゃって方でも、やはりネットで十分ではないか。写真はたいてい大きくして見ることができるし、説明などはネットの方がよほど充実している。そりゃ「やっぱりお歳暮ぐらいは店頭でいろいろ相談しながら選びたいの」って方はおられるのだろうが、それでも店頭で待機している店員さんの知識とネットで得られる情報を比べれば、ネットの方に軍配が上がるのではないだろうか。


ネット会員には会員限定キャンペーンが開催されたり、お中元・お歳暮などの送料無料サービス、届け先を登録・保存できるアドレス帳サービスなども用意されている。ギフトセンターへ出かけていって何分も待たされることを思えば、やはりネットの利便性は明らかだ。


ここでユーザーサイドに立ってみると、残された問題は商品選びだと思う。たとえば予算5000円ぐらいでスポーツの好きな方に何かふさわしいものを贈りたいと考える。これがリアルな店舗でベテラン販売員が相談に乗ってくれた場合は、天然ジュースやヘルシー系フード、あるいは汗の吸収率がとても優れたタオルに最新のトレーニングギアぐらいまでの選択肢を教えてくれる可能性はある。


もちろん、こうした対応をできる店員さんというのは限られているはずだ。商品知識もなくさまざまな経験知も乏しい若い店員さんが相手だったりすると、相談するだけ時間の無駄というケースもある。


これがネットでとなると、まず自分自身でいろいろ想像力を働かせながらギフトアイテムをあれこれ見ていかなければならない。ここでもしかしたらAmazonの備えているレコメンド機能のようなものがカスタマイズされてくるとよいのかもしれない。以前からいわれているコンシェルジュ機能だろう。そうした機能に頼ることを良しとしない人も当然出てくるだろう。が、オプションとしてコンシェルジュ機能があれば便利であることは間違いない。


一方の百貨店サイドとすれば、ネットでお客様が自ら注文してくれればリアルな店頭での受注よりよほどなコストダウンになる。まず大きいのが人件費であり、細かく言えば発注用紙代から店頭でのディスプレイまで不要になるわけだ。浮いたコストをシステム投資に回して、レコメンド機能を充実させれば使いやすいものが案外早くできるかもしれない。


百貨店のギフト販売に限らずネット通販全般に、今後の差別化キーワードの一つとしてレコメンド/コンシェルジェ機能は間違いないと思う。



昨日のI/O

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