ケータイサイト活用元年


92% vs 15%


PC向けサイトを開設している企業とケータイ向けサイトを開設している企業の割合である。日経パソコンが去年、全上場企業を含む8238社に対して行なった調査結果による(回答社数は1917社・日経MJ新聞2008年1月9日4面)。


さすがに、今どきの企業でホームページのないところは少ない(8%もホームページのない企業が残っていることは少し驚きだけれど)。しかしケータイサイトまで開設している企業はまだまだ少数派ということだ。とはいえ今年は企業のケータイサイトが増えるのではないか、というのが日経MJ新聞の見立てである。


そもそも企業がなぜケータイサイトを開設しなかったのか。おそらくは次の三つが大きなハードルとなっていたのではないだろうか。


まず第一にこれまでのケータイは通信速度が遅く、画面も小さかった。だから企業がまともに情報を提供するメディアとしては、まだまだ機能的に不十分だったのだ。


第二にはケータイ独特のシステム「公式サイト」がハードルとなった。ケータイサイトにはキャリアが用意する公式サイトと勝手サイトの二種類がある。勝手サイトにはこれまで有効な集客手段がなかったために、せっかく作っても見に来てもらえる率は高くない。かといって公式サイトを立ち上げるためには、いろいろ手続きが必要でコストも手間もかかる。コストパフォーマンスを勘案すれば、あえてケータイサイトを開設するメリットはまだなかった。


そして第三にはケータイサイト独自の有効な使い道を企業サイドがまだ見出せていなかったこと。実際のところ苦労してサイトを作っても、表示は遅いし画面は小さいしではどう使えば良いというのか。


といった問題がそろそろ揃って解消されてきたのが、去年から今年にかけて。だから今年は「企業の携帯サイト活用元年(前掲紙)」になるというわけだ。


ケータイの高速化はすでに現実のものとなり、今後もさらにスピードアップしていくことはほぼ確定している。さらにモニターサイズに関しては、ごくノーマルなケータイでさえも、以前と比べればはるかに大きく見やすくなっている。これもまだまだ大きく見やすくなっていくことだろう。


そしてキャリア公式サイトでなくとも、自社サイトまでの導線をきっちり確保できるようになった。検索システムが充実してきたのだ。これは通信速度の高速化と密接に関係している。以前も検索システム自体はあったが、検索結果の表示に時間がかかるために現実的には使えないシステムだった。これが高速化によりサクサク表示されるようになり、しかも大画面で見やすくもなった。


といった案配でケータイのユーザビリティが高まってくると、いろんな使い道が考えられる。


何よりケータイは『24・365・30(24時間365日30センチ以内にある)』メディアである。私のように指先不如意なオッサン連中はともかくとして、若い人たちから奥さま(いわゆるF2層の方々ですね)方ぐらいまでは、みなさんとても巧みに使いこなしておられる。ということは、こうした人たちに対して何らかのインフォメーションを届ける最適メディアの一つがケータイということだ。


たとえば、以前から書いているように(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20061019/1161207540)、ケータイネットチラシなんてものが実用段階に入ってくれば、これは計り知れない力を持つマーケティングツールとなるだろう。


何しろ

チラシをケータイに配信できるようになれば、クライアントはいずれ紙チラシをやめることになるだろう。それぐらいケータイチラシのメリットは大きい。そのメリットとは
・前夜のうちに主婦が見た商品(クリックデータでわかる)の仕入を厚くしておき、店頭で大陳する
・関心を持ってもらえなかった商品の価格を意図的に下げて、再配信する
・時間ごとにチラシ内容を変える
・最終的には、主婦に事前登録してもらったデータに基づいてカスタマイズされたチラシを配信する
等々が考えられる。

わけだ。
ということはチラシに類似した販促ツールは、すべてケータイに置き換えることが可能ということになる。


またケータイは個人IDを持つ決済手段でもある。つまり気に入ったものをその場でお買い上げ可能なメディア兼クレジットカードでもある。この機能についてはすでにゼイヴェルが『東京ガールズコレクション』で実にうまく使っている。同社はショーを見て気に入った服があれば、客席から速攻買えるシステムを導入した。これの売上が一夜で4000万弱に上ったという。


今年は本当に恐るべし「ケータイフル活用」元年になるのかもしれない。だってケータイで「あんなこと」や「こんなこと」ができたら便利やろうなあってことはいくらでも思いつくわけで、それが実現されたら、一体どうなるんだろう? と考えれば企業はセカンドライフにお金をかけるより、ケータイを使った仕掛けにこそ資金も人もかけるべきなんじゃないだろうか。



昨日のI/O

In:
ノッポさんがしゃべった日』高見映
Out:
メルマガ
K女子短期大学情報誌企画書


メルマガ最新号よりのマーケティングヒント

「誰から対価を得るのか」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
よろしければ、こちらも。

□InsightNow最新エントリー
Wiiは何が違うのか」
http://www.insightnow.jp/article/884

昨日の稽古:

・基本稽古
・ジョギング