足元に歳が出る


一流のホテルマンは足元を見る、という


髪型や洋服、ひげや爪の手入れ具合など誰が見てもわかりやすいところには、たいていの人がそれなりに気を遣っている。もちろん、その時点でアウトな人もいるわけだが、それは論外ということなのだろう。そうした目につきやすい部分では見えないことを推し量るためにホテルマンは足元に注目する。そんな話をどこかで読んだ記憶がある。


昨日、とあるターミナル駅で朝、通勤や通学を急ぐ人たちを眺めていて、ふとみんながどんな靴を履いているのだろうかと注意してみると、はっきりとした違いがあることに気がついた。特に男性についての話である。


靴先トンガリ派と丸っこい派である。


基本的にこの両者をわける属性は年齢であるようだ。すなわち推定年齢35歳以下ぐらいの人たちは18歳未満の人たちをのぞいて靴先が長くトンがっている靴をはいていることが多い。一方でそれ以上の年齢層の男性で先のとんがった靴をはいている人はあまりいない。


といっても、まったくいないわけではない。たまにいる。それがどういう人たちかというと、サラリーマンっぽい人ではなく自由業系、ちょっとオシャレ系の人が多い。あるいはごく稀に年輩のサラリーマンではあるけれども、ヘアースタイルに明らかに気を配っている様子がうかがえたり、スーツもシルエットにこだわっていることがわかるようなものを着ている、要するにファッショナブルな人たちである。そういう年輩サラリーマンの方たちはきちんと(というべきなのかどうかは知らないが)先のとがった靴を履いている。


すなわち、ごく大雑把にまとめるなら、靴を見れば男性の場合、だいたいの年齢層が推定できるということになるのだろう。さらに付け加えるなら、実年齢に加えて気持ちの若さ、みたいなものも推測できるのだと思う。


私はつい先日48になったばかりだけれども、自由業に属する仕事をさせてもらっているおかげで、気だけは少々若いつもりでいた。といって別にファッショナブルな装いをしているわけではまったくない。ただネクタイを締めてスーツを着ることがないために、じゃあどんなカッコをすれば良いのかということについてほんの少しだけは気をつけてきたつもりだ。とりあえず仕事で外に出かける前には「これで変やないやろか?」と家人に尋ねるようにしているし。


ただ空手をやっているおかげでお腹は出ていないのだけれども、肩幅のサイズがLでは合わなくなっているために、たとえばジャケットなどは袖の長さ、着丈の長さと実際の体の長さが妙なバランスになっている。とはいえこれは仕方がないことだと諦めざるをえない。自分のアンバランスな体ときちんと均衡のとれた服となると、これはオーダーするしか選択肢がない。しかしオーダーするほど服にお金をかけるつもりもないので、基本的にすべてユニクロでまかなっている。


ただし靴だけは別である。


若い頃にディスカウントショップで5000円以下の靴を買っては、足が痛い思いをしたり、あるいはすぐにどこかがダメになってはけなくなった経験をしているので、最低でも1万5千円以上(それでもずいぶんと安いですけれども)の靴を買って、手入れをして(もらって)長くはくことにしている。


だから足元には自分なりに気を遣っているつもりではあったのだが、おお〜、何たることか。私の持っている靴はどれもこれも、みんな先っぽが丸っこいものばかりではないか。いつの間にか、私も足元だけは年相応の身なりをするようになっていたということなのかもしれない。


もちろん、たぶん3年ぐらい前から先のとんがった靴が流行っていることはちゃんと知っていたのである。でも、どうしてもあの手の靴を美しいとは思えなかったのだ。だから、すでにあれを美しいと受け入れられなかったことがすでに、今どきの感性から外れていたということなのかもしれない。これも歳をとるということなのだろう。



昨日のI/O

In:
『なぜ会社は変われないのか』柴田昌治
チャイナコンシェルジュ・大西正也社長インタビュー
Out:
メルマガ
ゼイヴェル社インタビューメモ


「メーカー横断型サービス」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
よろしければ、こちらも。
□InsightNow最新エントリー
「携帯メーカーは、何社生き残れるか?」
http://www.insightnow.jp/article/946

昨日の稽古: