カフェでお仕事


お一人様に就業規則はない


正確(あるいは、かつて憧れたマイク・ハマーbyミッキー・スピレーン風に)にいうなら「俺が掟だ(I, The Jury)」。すなわち、いつ、どこで、どんな風に仕事をしてもよい。ただし、そのアウトプットのクォリティによって得られる対価が決まり、さらにはそのクライアントとの関係が維持されるかどうかが決まる。シビアな自己責任である。


ここが誤解されやすいところで、自由に仕事ができる(だから自由業というのだろうけれど)なんてうらやましいですなあ、などといわれたりする。確かに自由であることはまちがいないけれども、自由の代償として自己規律が必要であることは忘れられがちだ。ごく一部のものすごくタレンティッドな人たちなら、本当に好きなようにやっていてもそれが評価される。そういう人たちはほんとうにうらやましく思うけれど、ノンタレンティッドなのだか仕方がない。


ということで就業規則を自分で決めるのだから、どこで仕事をしても良いわけだ。そこで、すでにいろんな人がいっているけれどもオススメはカフェである。その理由は三つある。


その一。かつてユーミン(といっても、もしかしたら知らない人の方がすでに多いのかもしれないけれど)は、作詞に行き詰まるとファミレスに行き、そこでじっとまわりの人たちの会話に耳を澄ませたという。交わされる話の中に、詩を作るアイデアが転がっているわけだ。これほど直接的ではなくとも、人がたくさんいてざわざわしている場所で仕事をすることにはメリットがある。それは脳のどこかが間違いなく刺激されることだ。


そんなうるさいところでは、真剣に集中してモノごとを考えることなどできないのではないか、という反論があることは承知している。個人差があることも理解する。しかし、少なくとも個人的にはそういう場所にいると、いろんなアイデアが浮かんでくる。これは以前のエントリーにも書いたように(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20070705/1183644298)無意識下でインプットされる情報量が関係しているのだと思う。カフェにはそうした情報がたくさんあって、脳が活性化される。これがカフェをオススメする理由その一だ。


理由その二は、強制的に短期集中できることである。最近はコンセントを備えていて、自由に使わせてくれるカフェも出てきているようだけれど、基本的にカフェには電源がない。ということはノートパソコンのバッテリーが持つ時間内で決着をつけなければならない。ボーッとしていてはダメなのだ。


もっとも最近のノートパソコンのバッテリーは結構長時間持つようになってきている。そういう時はパソコンの設定をパフォーマンス優先にすれば良い。これなら常にハードディスクがフル稼動しているからバッテリーの減りも早い。


わざわざそこまでする理由は、たった一つ。アウトプットまでの時間を切ることによって集中力を高めることにある。もちろんクォリティも伴うのがベストだが、ともかくいったんアウトプットしてしまうことの方が大切だ。そこから先は、また推敲を重ねていけば良いのだ。これが頭の中だけでひねくり回していると、結局いつまで経っても形にならない。だから自分に強制的な締切を設定するためにカフェは絶好の場所となる。


理由、その三は当たり前のことだけれど、カフェなら美味しいコーヒーがついてくる。場所代として300円ぐらいを払えば、いまどきのカフェならどこでもなかなかうまいコーヒーを出してくれる。おそらく街中の普通の(あまりやる気のない)喫茶店より、カフェで出してくれる180円ぐらいのコーヒーの方が美味しい。やる気のない喫茶店のコーヒーは冷めたら煮立てていることが多い。ところがチェーンのカフェならマシーンで作っている。だからおいしいのだと思う。


しかもカフェは禁煙のところが多く、最悪でも分煙にはなっている。ガチガチの嫌煙論者ではないけれども、吸いたくない煙を無理矢理吸わされるのはやはり苦痛だ。ということで、お一人様ならお気に入りのカフェを、自分の行動範囲の中にいくつかキープしておくと生産性が高まると思う。


お一人様仕事術、その弐
『お一人様は、カフェで仕事をすべし』


昨日のI/O

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