キーボード問題


スピード1.7倍、打鍵数4割減


親指シフトのメリットらしい。

親指シフトはローマ字に比べると、スピードにして1.7倍、約60%の打鍵数で入力できるようになります(勝間和代『効率が10倍アップする 新・知的生産術』ダイヤモンド社、2008年、124ページ)。


本を読んだときは、ふ〜んそんなもんか、といった程度の感想しか持たなかった。ほぼ一日中キーボードを叩いて仕事をしている我が身を考えれば、もっと敏感に反応してもよかったのかもしれない。しかし、キーボードを打つことにかけてはすでに十二分に速いと思っているので、これ以上の速さにはそれほど魅力を感じなかったのだ。せっかくほぼ完璧にタッチタイプできるようになったのに、今からわざわざ親指シフトを覚えるのも面倒なこと。さらにMacではそもそも親指シフトができない。


一応、今のキーボードに問題があることは知識として知ってはいる。いわゆるQWERTY配列問題である。左手がカバーするポジションで数字キーの下に並んでいるキーには、これらの文字が割り当てられている。これをもって世の中の大半のキーボードをQWERTY配列と呼ぶ。


この文字配列、有名な話だが打鍵効率に基づいて設定されたものではまったくない。真相はその逆である。タイプライターを発明したのはChristopher Sholes氏らしいが、彼が最初に考えたキーの配列は今とはまったく異なっていたという。当初考えられた配列は、効率性や打ちやすさにきちんと配慮されたものだったのだ。ところが、これで機械式のタイプライターをぱたぱたやるとたちまち問題が起こった。打ちやすいからキーを速く打つ、すると機械の反応速度が付いていかないのだ。その結果、よく使われる文字のキーが絡まってしまう。こうしたトラブルを防ぐために、すなわちあえて打ちにくくして打鍵スピードを下げるために開発されたのがQWERTY配列である。


だから打ちにくくて当たり前なのだ。


もちろん英米人が英語を入力するのと、日本人が日本語をローマ字で入力する場合では、使用するキーの頻度は異なってくるだろう。だからQWERTY配列が日本人にとっても、あえて打ちにくい配列となっているのかどうかは知らない。親指シフト入力派の方たちがアピールするように、そもそも一つの文字を入力するのに母音以外では二回キーを打つこと自体が効率性を無視しているともいえる。日本語入力の場合、さらには漢字変換の手間もある。そもそもが面倒な作業なのだ。


だから、これらは所与の条件として我慢するしかないと考えていた。ところが、ここでお一人様問題が発生する。


人の話を聞いて、それを原稿にまとめる仕事が企画やコンサル仕事同様メインであるために、テープ起こしをすることが非常に多い。これがキーボードを早く打つ訓練ともなったわけだが、この作業が実に疲れるのだ。一時間の取材テープをテキストに起こしていくと、その文字数はだいたい1万字前後になる。原稿用紙にして25枚ぐらいだ。


「ごめん、ちょっとテープ起こしやっておいてくれる」などと頼める相手は、お一人様にはいない。皆無ではないけれども、頼むとなると外注発注ということになる。安いギャラで受けている仕事のテープ起こしを外注してしまうと、採算性がただちに悪化する。一人でやるしかないのである。


初めに書いたようにスピードに関しては、そこそこのレベルにある。だからテープを聞きながらメモを取っていくのはかなり速い。一時間のテープを起こすのにかかる時間は、相手の話す速さが普通なら3時間もあれば十分だ。だからキーボードを打つ速さに関しては、QWERTY配列でもほとんど問題はない。


速さについてはノープロブレムなのだが、肩が悲鳴を上げ始めているのである。これをもって五十肩というのかもしれないし、たぶん姿勢の悪さも相まってのことだとは思うが、とにかく肩がしびれる。肩こりの強烈な奴、頑固な奴、強情な奴。とにかくこいつが肩に居座って離れてくれない。稽古をすればずいぶんと楽になるし、自分流マッサージでかなり改善されてはきたが、なかなか全快とは行かないのだ。


そこで、これはキーボードメーカーさんへのお願いである。あるいは、どうしてここにビジネスチャンスがあるのに、どのメーカーも開発してくれないのかという不満訴求でもある。


『日本人の入力作業に最適化されたキー配列(ローマ字式と親指シフト式が選択できればベスト)を持つキーボードを開発してくだされ。心よりお願いします』


こうした画期的なキーボードが発売された暁には、必ずやその配列で再びブラインドタッチができるよう自己鍛錬に励み、さらにはそのキーボードの素晴らしさを周囲に熱心に伝えるエバジェリストとなりますから。どうか、一つ、よろしくお願いします。


お一人様仕事術、その参
『お一人様は、ブラインドタッチをマスターすべし』

昨日のI/O

In:
関西福祉科学大学学部長インタビュー
Out:
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