GREEの変化と成功


総加入者がまもなく400万人を突破


GREEである。SNSといえば日本ではmixiがダントツだが、実はサービス開始はGREEの方が早い。招待された人だけが参加できるサービスとして、そのスタート時にはそれなりに人気を集めていた。なんかそういうカッコいいサービスが始まったらしいことは知っていたけれども、誰も誘ってくれないから入れなかった。


どちらかといえばハイブロウ(といういい方は微妙だけれど)な人たちが、当初のGREEには集まっていた、そんな話をどこかで聞いた記憶がある。それからしばらくしてmixiが登場する。mixiも紹介者がいなければ入ることができないのは同じ。今では簡単に入ることができるのかもしれないが、流行り出した頃にはmixiのトップページにアクセスしては「紹介がなければログインできません」といったメッセージを表示され、そのたびに「けっ、むかつく」と悪態をついていたことを思い出す。


その後の結果はご存知の通り。mixiが爆発的に会員を増やし一気に上場まで突っ走ったのに対してGREEはまったくの鳴かず飛ばず。加入者数も40万ほどで伸び悩んでいたらしい(日経MJ新聞2008年2月25日付4面)。


個人的には幸いにして、両SNSともにお誘いを受けることができ、どちらにも登録している。しかしGREEは登録こそしたもののブックマークさえしていない。律儀に毎日新着メールを送ってきてくださるが、読むこともなく消去している(Gmailならshift+3である)。


そのGREEがどうやら息を吹き返したらしい。キッカケはauとの提携で「EZ GREE」なるサービスを開始したことにあるようだ。サービス開始からそれまでのGREEには前述した通り、硬派なイメージがあった。サイトデザインもmixiの暖色系あったかイメージに対して、GREEは寒色系スマートイメージと好対照である。デザインもmixiには曲線をモチーフとした柔らかな印象があり、GREEは直線基調のクールな印象となっていた。


そこから想定されるターゲット像は、mixiが万人受けを狙っているのに対してGREEは男性、それも知的ゾーンに類する人たちだったはずだ。だからということでもないがケータイとの連携を聞いたときも、GREEに対する関心はまったく変わらなかった。PCからケータイになったといってもどうせGREEでしょ、みたいな先入観があったからだ。そのためauユーザーでありかつGREEメンバーでもあるが、「EZ GREE」にアクセスしたことは一度もない。正確にいうならアクセスの仕方そのものがわからない。


もしかしたら比較的初期にGREEに登録してはみたものの、どうもピンと来ないなと感じていた男性に共通するパターンかもしれない。ところが知らない間に少なくともケータイ版のGREEは以前とはまったく異なるテイストを帯びていたようだ。

携帯電話中心に変えたことで、ターゲットは男性中心から女性に移り、招待制から登録制に変更した。その結果、昨年秋から大幅に加入者を増やすようになったのだ(前掲紙)


なるほど。


現代マーケティングで手っ取り早く成功したければ、とりあえずターゲットはF1に絞れ。この鉄則は生きているようだ(ゼイヴェル関連で何回も書いてきたことなので詳しくはこちらをご参照ください。→ http://www.insightnow.jp/article/995)。


ただケータイでSNSでゲームも揃えている、となるとGREEに先行するサービスがいくつかあるように思える。ケータイでF1フォーカスといえば元祖はゼイヴェル『girlswalker』がある。ケータイでゲーム&SNSなら『モバゲー(こちらはF1フォーカスではないけれど)』である。


と書いてみてわかるのが、GREEは微妙に先行2サイトと違うこと。まず『モバゲー』とはケータイ&ゲーム&SNSは被っているけれども、ターゲットが違う。『girlswalker』ともケータイ&F1&SNSは被っているけれど、ゲームで差別化できている。


この差異点をつくことがGREEの戦略だったとしたら、なかなか見事ではないか。「このところ一日一万人以上のペースで加入者数が増え(前掲紙)」ているといわれるGREEがこの先、どこまで伸びるのか。GREEの成長はmixiにどのような影響を与えるのか。マーケティング的には生きたケーススタディになると思う。




昨日のI/O

In:
関西福祉科学大学インタビュー
Out:
関西福祉科学大学取材原稿
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