ブログでマーケティング


総数4億6千万本超、毎日60万本以上の更新


これが日本のブログ状況らしい(日経産業新聞3月19日付け1面)。日本人がブログ好きな理由は、以前のエントリーで書いた通り(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20070715/1184473857)。依然としてブログ人気は衰えることがないようだ。そのブログをマーケティングに使う試みがある。


といえばすぐ思い浮かぶのがアフィリエイト型のブログだろう。要は何らかの報酬と引き換えに自社商品・サービスのことをブログに書いてもらいPRを図り、購買サイトへ誘導する。ブログをネット時代の一つのプロモーション・流通チャネルとして活用する考え方だ。書き手にとってはブログを書くことがいさかかでも収益につながるのだから、趣味と実益を兼ねることになる。なかには毎月百万ぐらい稼ぐ強者もいると何かで読んだ記憶がある。


サンプルをブロガーに配布して、その使用感などを書いてもらうやり方もある。商品を実際に使ってみての感想となれば、良いことばかりを書いてもらえるわけではないだろうが、仮に欠点が指摘されればそれはそれでユーザーの生の声、貴重なマーケティングデータとして活用することができる。これもマーケティング4Pのプロモーションにあたる使い方といえる。


ただ、こうしたいわゆるひも付きブログとなると、どうしても本音が出にくくなる懸念が残る。何らかの見返りをもらっているのに、欠点をあげつらうことにはためらいを覚えるブロガーが多いのではないかというのももっともな意見だ。ということでごくごく普通のブログを対象とし、そこで特定企業や商品がどのように評価されているのかを分析するサービスが登場している。


ニフティが提供している「バズパズル」だ。

バズパズルは約4億5千万本のブログ記事に書かれた文章の構文を把握し、意味を読み取る。専用サイトで商品名を入力すると、商品に対する好評・不評の割合などを瞬時に表示。商品名が含まれる記事数の推移も時系列で表示できる(前掲紙)。


なるほど。日経産業の記事ではこのバズパズルの活用事例として、松下電気産業の「ひげ剃り」のケースが紹介されている。アフィリエイト型ブログとは異なり、このシステムを使えばユーザーの本音にかなり近い話を引き出すことができそうだ。


ただマーケッターとしてこのサービスを評価するなら、最低でも次のような分析結果を提供してもらいたい。まずこちらが指定したキーワードが含まれているブログの一覧は当然として、各ブログのネガティブ/ポジティブ評価リストは欲しい。自社商品がブログでプラス評価されているのかどうかは絶対に知りたいところ。上記の説明を見る限り、この条件はクリアされているようだ。


加えてできるならばプラス・マイナスそれぞれに評点をつけてもらいたい(ただし評点をつける基準は明示してもらいたい)。その上で評価対象となった各ブログのサマリーがあれば(現実問題として現時点では不可能だと思うけれど)ベスト。こちらとしてはサマリーを読んで気になるブログを自分で読みにいけばいいわけだ。


もしこれぐらいのサービスを提供してもらえるなら、これはかなり使えるのではないか。逆にこのレベルのサービスともなればおそらくは、個人のプランナーが利用できるような価格設定ではないだろう。


仮に何らかのプロジェクトでこのサービスを使えるのなら、ぜひともチェックしたいのは異常値だ。それもネガティブサイドで際立った意見が書かれているブログはしっかり見ておきたい。なぜなら、そこには次の製品改良もしくは新製品開発のネタが転がっている可能性が高いから。潜在ニーズを引っ張り出してこそマーケッターだと思っている。そして潜在ニーズは基本的に顧客の著しい『不』を探る中で見つかると思う。


とりあえずブログこそは、これまでのところでネットが引き起こした最大のパラダイムシフトだと思う。「選択可能情報量」という尺度がある。これは

全国のテレビに流された全放送番組や映画館で上映された映画、市場に出回った出版物やCDなどの情報量の総和を表す(前掲紙3面)

らしい。


この「選択可能情報量」が現時点で95年の410倍に達しているという。「選択可能情報量」は95年から2000年ぐらいまでは微増できているのに、2000年以降は爆発的に増えている。この年でネットの占める割合が50%、05年度には同じくネットが99%に達している。早い話が95年から増えたのはほとんどがネットというわけだ。そしてネットの情報量をけん引しているのがブログやSNSをはじめとするCGMである。なかでも影響力が強く、未だに増え続けているのがブログだ。


ブログの使いこなし方がこれからは、企業のマーケティングを大きく左右する時代になるのかもしれない。



昨日のI/O

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『逆立ち日本論/養老孟司内田樹
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昨日の稽古:

・懸垂