40代からのスキンケア


2007年の販売額は145億円、5年前から2割増加


男性向けフェースケア用品のマーケットである。まだまだ小さなマーケットではある。ところがどちらかといえば若い世代がメインターゲットだったこのマーケットに最近、オヤジが侵入して来ているという。


たとえばホテルのエステである。東京のロイヤルパークホテルでは「メンズトリートメント」なるメニューがある。45分かけて目元と唇(!)にうるおいを与えるというクリームを塗ってもらって、1万3千円弱なり。このホテルがメンズエステを始めたのは2005年かららしいが、今では顧客の6割ぐらいが40〜50代の男性だという(日本経済新聞2008年3月29日付夕刊3面)。


あるいはANAインターコンチネンタル東京では「大人休み・振り返るとき」という宿泊型プランがある。こちらは50分のフェイシャルエステに肌の状態をカウンセリングするサービスを含めて一泊7万5千円ぐらいだ。まあ利用者がいるから、こうしたサービスが続けられているわけで、世の中にはフェイシャルエステに7万円もポンと出せるお大尽がいらっしゃるということなのだろう。


オヤジの肌にうるおいがなくなることは、確かに実感として感じる。ごくごく些細なことではあるけれども、たとえば紙をめくるときなどがそうだ。なぜか、指で、紙をうまくめくることができない。これをみて家人が「指がかさかさなんと違う」と鋭く指摘してくれた。決して、かさかさといわれるほど乾燥してはいないが、かといってみずみずしいという表現はまったく似つかわしくない指であることは間違いない。


こうした指先不如意状態を意識するようになったのは、40も半ばを過ぎてからのことだから、やはりそれなりに老化が進んでいるということなのだろう。老化といえば、顔の肌だってきっちりと年齢分はくたびれてきている。人に不健康な印象を与えるほどではないと自分では思っているけれども、若い人のつるんとしたきれいな肌とは比べるべくもないことは認めざるを得ない。これも老化である。


まあ、それもこれもみんな歳をとるということだから仕方がないとは思う。ただ「男の顔は履歴書」という言葉もあるわけで、では、自分の顔は一体どういう履歴を人さまに示しているのだろうかと考えると、どうにも悩んでしまうことになる。


新聞記事(前掲紙)によれば

「男性も顔の印象は肌の状態がコミュニケーションの上で重要と感じている」(資生堂)ようだ。
資生堂の調査では、「男の自信は顔に表れると思うか」との問いに85%の男性が「そう思う」と答えた。女性も「男性がスキンケア用品を購入するのは恥ずかしいことか」の問いに「思わない」が9割を占めた。


ということなので、男性のスキンケアマーケットは現時点ではまだ顕在化していない部分がかなりあるということなのかもしれない。


では、このマーケットに届くメッセージはどんなものだろうか。自分をターゲットとして考えてみるに「少しだけ若く見える」とか「年齢以上に老けて見えない」といった言葉が効くと思う。オジサンはシャイなのである。わざとらしいのは嫌いなのだ。だから「明らかに、なんかやってる」っぽいのは好まない。


あくまでもさりげなくである。ただし、よく見てちょっと考えてみると「この人、歳の割にはお肌とかきれいな方かもしれない」ぐらいには思われたい。この微妙な心理をついたオヤジ用スキンケア用品が、ひっそりと売り出されれば意外に買う人は多いんじゃないだろうか。


もちろん、店頭で買うのは恥ずかしいので販売チャネルとしてはネット通販がよいと思う。ということはもしかしたら、最近ちらほら立ち上げられている団塊世代向けのSNSなどではすでに、こうした通販が始まっているのかもしれないな。




昨日のI/O

In:
筑波大学・内山洋司教授インタビュー
Out:
姫路獨協大学・福井/田中教授インタビュー記事


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昨日の稽古:

・カーツトレーニン