グローバル・スタンダードとは?


「グローバルスタンダードって何なのさ」


先日、こんなタイトルの記事を書いた(→ http://www.insightnow.jp/article/1166)。キッカケはサウナで見ていたテレビである。その番組では、松下が「パナソニック」と社名を変えてまでグローバル・スタンダードに合う企業への変身を目指している姿を紹介していた。


たとえば新卒の外国人を30人程度入れたとか(これは松下にかなり異例で積極的な外国人採用らしい)、あるいは優秀な外国人採用者を長く引き止めるために彼らの要望を人事担当が居酒屋でていねいに聞いてみたりといった内容である。


そりゃ松下だってもはや日本国内だけではやっていけないわけで、同社は「グローバルエクセレンス(何だかわかったようなわからないような標語だ)」をめざしていて、その指標は売上高10兆円以上で、うち60%は海外であることだったり、グローバルシェア(世界シェアってことかな?)No.1の商品比率が30%以上となっている。


グローバルついでに紹介しておくと、同社のサイトには次のように書かれてもいる。

[3] 「GP3(ジー・ピー・スリー)計画」の概要

松下グループがめざすグローバルエクセレンスへの挑戦権を獲得するため、本格的な成長に向けてフェーズチェンジを行う新たな中期計画として、2007年度から2009年度を位置づけ、これを「GP3計画」とする。

「GP3計画」とは、グローバルに増販を達成しながら、会社として進化していく「グローバル・プログレス(Global Progress)」、グローバルで高収益を上げる「グローバル・プロフィット(Global Profit)」、世界中で信頼されるブランド「グローバル・パナソニック(Global Panasonic)」の「3つのGP」の達成をめざす計画である。
http://ir-site.panasonic.com/jp/vision/management.html


まさにグローバルだらけだ。別に松下を揶揄するつもりはないのだが、ここではやはり「グローバル」って何なのかを考えておいた方が良いのではないだろうか。


たとえば中西輝政氏は『本質を見抜く「考え方」』で次のように書いている。

じつはグローバル化によって世界は一つになるのではなく、国ごとの行き違いが露になってくるのが、グローバル化の真の姿です(サンマーク出版『本質を見抜く「考え方」』中西輝政、2008年、78ページ)。


あるいは今朝の日経では「グローバル化」は次のような使われ方をしていた。

米国の金融不安を受けたマネーの動揺が他の地域に伝染し、経済に下押し圧力をかける。グローバル化が深まるほど米欧とアジア、新興国の間で金融市場の連動化は進む。けん引役だった米経済の負ったダメージをドル安を通じて世界で分かち合う過程といえ、日本もその構図から逃れられない(日本経済新聞2008年4月4日付朝刊1面)。


ここで使われているグローバル化とは、アメリカを中心とした金融経済の一体化ぐらいの意味ではないだろうか。どうもグローバル・スタンダードという言葉に引っ掛かりを感じる。構造改革もIT革命も確か、グローバル・スタンダードといわれていたはずである。あるいは時価総額経営とかもそうじゃなかったか。


「グローバル」なんて耳ざわりの良い言葉が頭についているせいで、何となく「グローバルは基本的に良いことだ」という刷り込みがなされてはいないだろうか。そもそもグローバル・スタンダードという考え方自体が、どこかの誰かのポジショントークである可能性はないのだろうか。もし、そうだとしたらいわゆる「グローバル・スタンダード」が進むことによって、とりあえず誰が得をし同時に損をするのは誰なのか。そのあたりのことをきちんと考えておく必要はあるのではないだろうか。


また不勉強故に知らないのだけれど、中国やインド、ロシアなどでもみんな「グローバル・スタンダード」をめざして動いているんだろうか。ヨーロッパ、特にフランス、ドイツ、イギリスあたりでは「グローバル・スタンダード」はどう受け止められているのだろう。ご存知の方がおられれば教えていただければと思います。






昨日のI/O

In:
『本質を見抜く「考え方」/中西輝政
Out:
姫路獨協大学・福田教授、田中教授インタビュー原稿
メルマガ
筑波大学・内山教授インタビューアウトラインメモ


メルマガ最新号よりのマーケティングヒント

「代替品を探せ」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
よろしければ、こちらも。

□InsightNow最新エントリー
「グローバルスタンダードって何なのさ」
http://www.insightnow.jp/article/1166

昨日の稽古:富雄中学校武道場

・基本稽古
・移動稽古
・ミット稽古