冷凍食品がなくなる日


1トンあたり672ドルが827ドルへ


一週間で20%と米の価格が急騰している。しかも年初からみれば3ヶ月で2倍にまで高まっている。といっても日本ではなくタイの話である。タイは世界最大の米の輸出国であり、価格高騰の影響をモロに受けているのがアジアではインドネシア、フィリピンの両国だ。


なぜタイ米の輸出価格が急激に上がったかといえば、タイに次ぐ米輸出国だったベトナムとインドが輸出規制を行なったから。両国ともに経済成長や人口増で国内需要が増え、自国への供給を優先するために輸出を抑えにかかった(日本経済新聞2008年4月7日付け朝刊6面)。ちょっと嫌な話である。


日本の食糧自給率はカロリーベースで40%程度、米だけは余るほどあるがその他の食材はとなると極めて心もとない限りだ。折しもこの4月にはいろいろな食料品の価格がいっせいに上がった。なかにはアメリカでガソリンを作るために日本が手に入れることが難しくなった食材もある。トウモロコシである。


また日本が一方的に輸入を見合わせている食材もある。中国産である。農薬事件で中国産冷凍食品の輸入は急激に減っている。もちろん日本サイドが輸入を控えているのは一時的な現象に過ぎない。のど元過ぎれば熱さを忘れるのたとえが示すように、いずれ輸入復活の動きが出るはずだ。しかし、そのとき果たして中国が以前のような安価で貴重な食料品を提供してくれるのだろうか。


食料とエネルギーはこれから先、国の安全保障に直結する問題となる。特に日本のようにエネルギー自給率はわずかに4%、食料も40%しかないような国は、海外からの輸入がまさに生命線である。その食料については中国依存度が高い。ある意味では中国に生殺与奪の権を握られているといっても決して過言ではないのだ。エネルギーにしても特に石油などはこれから先、中国との取り合いになる可能性が高い。そのとき、どうするのか。


今はまだ中国の人が日本ほど冷凍食品を食べないから、中国で作られた冷凍食品が大量に日本に輸出されている。しかし、中国の食生活が何年か前の日本の食生活であり、今後日本がたどって来たのと同じような変化を遂げるとしたらどうなるだろうか。


日本人の食卓にもはや冷凍食品は欠かせない食材となっている。逆にいえば、たとえば天ぷらやフライものを素材から自分で調理し、衣も作り、油で揚げているような主婦がいまどれぐらいいるのだろうか。ことは冷凍食品だけに限った話では決してない。総菜も同じだ。スーパーに行けばさまざまな総菜が並んでいるけれども、こうした総菜を一から手作りできる主婦はまだいるのだろうか。


もちろん今どきの主婦が怠慢だ、などと非難しているわけではまったくない。主婦の時間の使い方が以前とはまったく変わっているために、調理に時間をかけられなくなっていることがこうした変化の背景にある。主婦が調理に時間をとられずに済むようになった結果、私たちは全体的に豊かな暮らしを手に入れていることは間違いがない事実だろう。


ポイントは今後、中国でもインドでもロシアでもブラジルでも人々の暮らし向きが豊かになってくれば、食生活が同じように変化してくるのではないかということだ。特に日本にとっては中国の人たちの食生活の変化が、決定的に重要である。中国製の冷凍食品なんて「いらない」といえる間は良い。今後、もし求めても「得られない」状況になったときにどうするのか。


フィリピンや香港で起こっている『コメ騒動」は決して対岸の火事ではない。フィリピンでは

外食大手のジョリビー・フーズは「ライス半分なら割引」サービスを導入し、消費抑制に動いている(前掲紙)

という。そんなサービスが日本で登場しないことを祈る(しかないのだろうか)。




昨日のI/O

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昨日の稽古:富雄中学校武道場

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