原油価格が200ドルになるとき


1バレル117ドル


21日、ニューヨークでの原油先物相場での取引価格である。今年初めに1バレル100ドル突破がニュースになったが、価格はその後も着実に上がり続けている。これが1年前にどうだったか。


4/10の日経の記事では1バレル61ドルぐらいだ(→ http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt61/20070410AS2M1000B10042007.html)。1年でざっと倍に値上がりしていることになる。ちなみに2004年時点での中東産ドバイ原油は1バレル25ドルだった(日経産業新聞4月22日21面)。


税金の加減でガソリンの値段が上がったり下がったりして一喜一憂しているけれども、本質的にガソリン価格は上がっている。原油価格が4年前の4倍になっているのだから値上がりして当然なわけだ。もちろん高止まりしているからこそ、たとえ税金分が20円ちょっととはいえ値段が下がるとうれしくなるだけの話であって、そんなことで本筋を見誤るべきではない。


では、この1年での価格上昇率があと1年続けばどうなるのか。そんなことを視野に入れて中期経営計画を考える企業がでてきた。

クラレ伊藤文大社長は原油価格が1バレル200ドルの水準に上昇することを前提に2009年度からの中期経営計画を策定し、「その状況では採算改善が見込めない事業からは撤退する」と述べた(前掲紙)


2009年度からの計画ということは、来年からの計画ということだ。200ドル時代の到来を同社では3年後と予測しているが、これは決して非現実的な見通しとはいえないのではないか。むしろ最悪・中間・最良といったシナリオを想定するなら、3年後は中間から最良に入る見通しだと思う。最悪のシナリオなら来年ぐらいからの200ドル入りがあったとしても、決しておかしくはない。


仮に1バレル200ドルの時代が来たら、何がどう変わるのか。これだけは規模の大小を問わず企業経営者なら絶対に考えておかなければならない未来予測図だろう。あまりにもいろいろな要因が複合的に絡んでくるために、そうは簡単に予測することはできないけれども、とりあえず自社が組み込まれているサプライチェーン内での動きがどうなるか、ぐらいから考えていけばよいのではないだろうか。


あるいはもう30年以上前のことになるけれども、むかし日本が石油ショックに襲われたときに何が、どんな理由で、どう動いたかを確認しておくことも参考になるはずだ。日本のように原油を100%輸入に頼っている国ではおそらく、あらゆるものの物価が上がるだろう。そうした動きはたぶん全体的にみれば景気に悪い影響を与えることになる。一方で、そうやって全体が一方向に動き始めるときには必ず何かビジネスチャンスが生まれもする。そこを見極めることができるかどうか。


ただし原油価格高騰について30年前と決定的に異なる要因が一つあることも覚えておく必要がある。それはすなわち、この数年で原油価格は4倍以上に上がっているが、原油採掘コストはほとんど変わっていないことだ。これが何を意味するかといえば、産油国が巨大な利益を、まさにぬれ手に粟状態で手にしていることを意味する。


そこでだぶついたお金が投機に向かっていること、その結果としてここ最近いわれ始めている食料価格高騰や特定地域での一種の食糧危機が起こっていること。巨額の資金を抱えているのが中東とロシアであることなどを頭に入れておく必要があると思う。







昨日のI/O

In:
『利益の方程式/勝間和代
Out:
アイスタイル・吉松社長インタビューメモ
メルマガ
くらたまなぶ氏インタビューアウトラインメモ



メルマガ最新号よりのマーケティングヒント

「進化するUSB」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
よろしければ、こちらも。
□InsightNow最新エントリー
「アマゾンが秘かに進める革命」
http://www.insightnow.jp/article/1234


昨日の稽古:富雄中学校武道場

・縄跳び
・基本稽古
・移動稽古
・ミット稽古
・組手稽古