動画で空手の通信教育
会員数4万人、合宿参加者200人
かつての『マス大山カラテスクール』には、これほど多くの会員がいた。極真空手の全盛期に開かれたこの空手の通信講座で技術部長を勤めていたのは、あの真樹日佐夫氏である(→ http://www.godhand-karate.com/)。今から30年前、滋賀の田舎に住み近くに極真の道場がなかった私は、これに入ろうかと一瞬考えたことがある。たぶん『少年マガジン』に広告が出ていたんじゃないだろうか。
とはいえ実際に入学したわけではないので、当時の空手通信教育がどのように行なわれていたのかは知らない。先のホームページによればテキストを読んで自分一人で稽古し、年に3回開かれたスクーリング強化合宿に参加して、その成果を見てもらうやり方だったようだ。
ただ、よく考えてみれば極真空手は実戦空手が売り物である。実戦空手では組手を何よりも重視する。通信教育では、その組手稽古をできないわけで、それでは強くなれないだろうなと思ったことは事実だ。同じように考えたからかどうかは不明だが、吉本新喜劇では一時、岡八郎が次のようなギャグを持ちネタにしていた。
「かかって来んかい。言うとくけど、こう見えても空手やっとったんやぞ。通信教育やけどな」
さて、なぜかは知らないが今朝の夢の中で、今なら空手の通信教育も昔よりは高いレベルでできるのではないかと思いついた。名付けてIT空手教育である。動画とPDFとスカイプを使う。あくまでも初心者用ではあるが。
まず基本的な立ち方、その注意点、さまざまな基本稽古をビデオに納める。できるだけ詳しく、ポイントはスローで見せるなどの工夫もしたい。場合によってはよりイメージを刺激するよう真俯瞰から撮影したりできればベストだ。
このビデオ画像をYouTubeなどの動画サイトにアップする。最近ではYouTubeでも高画質動画をアップできるようになっている。そして1本10分ぐらいが、一つの動作をきっちりと説明するのにはちょうどいいぐらいの長さだろう。
この動画にテキストで補足説明をつける。テキストには必要に応じて写真を掲載しても良い。これはPDFファイルで十分だろう。動画を見て、テキストを読み、その上で稽古をする。ポイントはビデオで見る動きを徹底的に「真似ぶ」ことである。注意すべき点をテキストで補足してもらえれば、最低限の基本稽古で間違った自分勝手な動きを身につけてしまうリスクはないはずだ。
最初の稽古で何より大切なことは、この間違った稽古をやらないことである。というか、最近塾長によくいわれるのが、間違った動きをしないこと、である。放っておくと人は自分の体のクセにあわせて、必ず偏った動きをしてしまう。まず利き腕、利き足とそうでない手足では同じ突き蹴りの稽古をしても、必ずバランスが狂っている。おそらくは三戦立ちでの正拳中段突きをやってみて、左右が完全に同じように突ける人は滅多にいないだろう。
利き手、利き足の問題だけではない。ほかにも人はいろんなクセを知らない間に身に付けている。そうしたクセを取り除き、いかに『素』の状態での体の使い方に戻すかが、基本稽古の大きな意味だ。その意味で動画で正しい動きをイメージとして定着させることができれば効果的だと思う。
とはいえ自分一人で稽古していては、どうしてもどこかにバランスの崩れたところが出てしまうだろう。それをスカイプテレビ電話を使って、リアルタイムで先生にチェックしてもらう。『マス大山カラテスクール』では先生に実際にチェックしてもらう機会は、年に3回しかなかった。これをスカイプを使うことで、最低でも2週間に一回、できれば稽古を5回こなすごとに一回ぐらいの割合で見てもらえば間違った動きを身につけてしまうリスクはかなり低くなる。
ただし残念ながら組手ばかりは、通信教育では無理である。これだけは、どうしても生身の相手なしには稽古することはできない。が、学ぶもののレベルに応じて、こうした通信教育を実施できる可能性はあるんじゃないだろうか。
もちろんビデオの撮影にはコストがかかる。が、以前のように豪華なテキストを印刷するコストに比べれば、ビデオ制作コストなど知れている。道場生にちょっと絵心のある人がいて、ビデオ撮影の得意な人がいれば簡単にできてしまう。テキストだってPDFでネットにアップするならコストはゼロみたいなものだ。
そして、このIT通信教育なら空手以外にもいろいろ応用が利く。おそらく楽器演奏なんかにはうってつけじゃないだろうか。
昨日のI/O
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昨日の稽古:
・懸垂、カーツトレーニング