ストック減少時代


主要先進国では日本が初めて


といっても少子高齢化の話じゃない(厳密には関係があるけれど)。自動車の保有台数が3ヵ月連続で前年割れしたようだ。つまり日本を走っている自動車の総数が減ってきているということ。

全国の自動車保有台数は最新統計の二月末まで三ヵ月連続で前年同月比マイナスとなった。三ヵ月連続の前年割れは自動車普及が加速し始めた1960年代前半以降初めて(日本経済新聞2008年5月16日付け朝刊1面)。

だそうだ。


ちなみに欧米諸国はといえば、英、米、独、仏ともにまだ増え続けている。日本の場合も減っているとはいえ全国一律に、という状況ではないようだ。とはいえ、容易に想像がつくように公共交通が発達している大都市圏では減っている。


その理由として挙げられているのは、お決まりの人口減に加えてこのところのガソリン高による維持費高騰など。ということは、もし、このガソリン代値上がりが主な要因だとすれば、今後さらに保有台数は減っていくものと考えられる。なぜなら、これからもガソリン代はほぼ間違いなく上がり続けるだろうから。


ごくニュートラルな予測でさえ、原油価格は今年中に1バレル200ドルを超えるといわれているのが現状だ。つまり今年始めを基準とすれば、1年で2倍にまではね上がる計算になる。原油価格がこの調子で上がっていくとすれば、ガソリン代はどうなるだろうか。


仮に暫定税の30円をのぞいた価格がいわゆる市場価格だとすれば、ガソリン代は1リットル120円ぐらいが相場となる。そこで原油価格、すなわちガソリンの原価が2倍になれば、ガソリン代も単純計算なら2倍になる。すなわち1リットル240円である。そこに税金がかかれば(税率はさらにアップするという話もあるらしいが)1リットル300円の時代がやってきてもおかしくはない。そうなったときに、果たして今の自動車オーナーのどれぐらいの人がクルマを手離すだろうか。


3ヵ月前に書いたエントリー(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20080220)では、ガソリン代が200円を超えると約3割の人がクルマを手離すと答えていた。まあ、実際にはその半分だとしても相当な数である。一方で、万が一ガソリン代がリッター300円に迫ったりすれば、手離さざるを得なくなる人が急激に増えてくるのではないだろうか。


もちろんガソリン代がそこまで高騰すると、あらゆる物価が上がっているからかなりとんでもない状況になるはずだ。が、それはさておきである。


とりあえず、この先も自動車の保有台数が漸減傾向を保つとすれば、いろんなところに大打撃が起こる。何よりも激烈な打撃を受けるのが、国土交通省であり建築業の皆さん方だろう。なぜなら、道路特定財源を使って整備されるはずの道路は「車の交通量が2020年にピークを迎える」という前提に基づいているのだから。


今のままならピークを迎えるどころか、すでにピークアウトに入っていることは明らかである。早い話が交通量がこれから減っていくのだから、今以上に道路を造る必要などないわけだ。もちろん今でも必要な道路がすべて整備されているわけではないから、造る必要がまったくないとまではいわないけれど、いま計画されてる道路の少なく見積もっても6割ぐらいはいらなくなるだろう。


ここまでの話は、クルマの数と原油価格の関係がもたらす未来像についてである。じゃあ、たとえば人口と現在の住宅ストックと新築住宅の関係がもたらす住宅業界(さらには住宅関連業界)の未来像はどうなの、とか、家電製品はどうなるの、ということも、これからはかなり真剣に考えてビジネスモデルなり、マーケティングプランなりを考えていく必要があるなあ、と思った。


えらい時代になってきたものだ。



昨日のI/O

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昨日の稽古:

・審査のためなし