ペットがマンションの決めて


52,578戸


首都圏でペットを飼うことができるマンションの数である(2007年)。

ペットを飼えるマンション数は年々増加している。不動産経済研究所(東京・新宿)によると、07年の首都圏でのペット飼育可能マンション数は52,578戸と調査開始以来初めて全供給戸数の八割を突破。同研究所は「実際には100%に近いのでは」とみており、全国的にも件数は広がっている(日経産業新聞2008年5月20日付5面)。


前回のエントリーで「犬の保育園」を取り上げたけれど、ペットを飼う人(飼いたい人)が大都市圏で増えていることは間違いなさそうだ(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20080510/1210405856)。実際、我が家にも一匹、柴犬がいるぐらいだし。


とはいえマンションでペットを飼えることが、ほぼ当たり前になっているとまでは思わなかった。それどころかペットを飼えるのは、すでに言うまでもない前提条件であり、ペットの住み心地で差別化を競い合っているのが現状のようだ。


だからペット専用の出入り口があるのはもはや常識であり、さらには

加えてペットの足を洗って専用エントランスを入ると、右側に広さ15平方メートル程度の部屋が広がる。ペットの毛繕いをするグルーミング室で、ペットを載せる台やドライヤーはもちろんのこと、水回りから掃除機まで完備している(前掲紙)


当然、こうした設備を作るためのコストは、はペット禁止マンションを建てることを考えれば追加コストとして販売価格に上乗せされることになるはずだ。であるならば、この手のペット飼育可能&ペット専用ゴージャス設備付きマンションに、ペットを飼わない人が入居するのは明らかに「損」ということになる。


そんなことは人からいわれるまでもなくデベロッパーサイドではご承知なわけだ。そうしたネガティブ要因までをトータルで判断して、それでもペット専用設備を付けた方が差別化になると踏んだからこそ、ペット仕様マンションが建てられているのだろう。


この判断の背景には、ペットを飼う人=団塊世代を筆頭とする高齢者(=お金持ち)、あるいは子どものいない団塊ジュニア夫婦(=まあまあお金持ち)、だからペット飼育可のハイグレードマンションは売れる、という読みがあるんじゃないだろうか。


自分自身が犬を飼っていながら、ペットユーザー批判をするのは自縄自縛に陥るリスクがあるが、敢えていうなら室内だけで犬を飼うのは、犬にとっても人間にとってもあまり幸せなことではないのではないだろうか。だからといってマンションで犬を飼っちゃいけないなんてことをいうつもりは毛頭ないけれども、犬はやっぱり庭で好きに走り回っている方がうれしいんじゃないかと思う。


もっとも室内で飼うことを前提に開発(という表現が正しいのかどうかはわからないけれど)された犬もいるようだから、一概にはいえないのだろう。確かに都会では外にいる方が、犬的にはつらい環境の場合もある。このあたりの判断は難しいところだ。


ただ一つだけ確実に言えるのは、そうしたペットを飼えることをセールスポイントとしているマンションは、確実にある特定層の顧客を取り逃がしていること。ペットが嫌いな人は言うまでもなく、犬や猫に対するアレルギーを持っている人もアウトである。


戦後の食生活の変化を原因としてアレルギーに苦しむ人が増えていることを考えれば、この点は意外に盲点となっていたりはしないのだろうか。ほんと、結構いますから、犬アレルギーや猫アレルギーの人って。


とりあえず我が家の場合は、ペットを飼うことでいろいろおもしろい経験をさせてもらっているし、言うことをあまり聞いてくれないうちの犬もそれなりにかわいいことは間違いないのだが、次の引っ越し先が著しく限定されてしまったことは確かだ。


また想像以上にペットを飼うのは手間のかかることでもある。これも飼ってみないとわからないことである。だからといって、いったん飼ってしまったら、思っていたのと違うからといって返品することはできない。たいそうな覚悟を決める必要はないけれど、生き物を飼って一緒に暮らすんだという決意ぐらいは持っているペットオーナーが増えるのなら、それはいいことかもしれないとも思う。



昨日のI/O

In:
『知に働けば蔵が建つ/内田樹
Out:
O社アニュアルレポート原稿


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「利はリユースにあり」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
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「御社の会議、面積効率はどれぐらい」
http://www.insightnow.jp/article/1391

昨日の稽古:

・懸垂、カーツトレーニン