ガソリン代高騰が生むチャンス


50リットルで満タンなら200円


1回の給油で1万円を超える時が近づいてきている。直近(2008年6月4日14:00ぐらい)のNY相場では、若干下がり気味らしいけれどガソリン価格がこの先、150円ぐらいまで下がる可能性など限りなくゼロに近いのではないだろうか。


仮に今年中といったスパンで考えてみよう。ガソリン代が今日時点の170円ぐらいから下がるのか、それとも上がるのか。ほぼ間違いなく上がるだろう。その根拠はと問われれば、二つぐらいの理由を挙げることができる。


一つには原油価格高騰によって暴利を得ている中東諸国やロシアの投機マネーが投資先を求めて動き回っているからというもの。以前にも書いたような記憶があるけれども、そもそも既存の油田については原油採掘コストは何も変わっていない。平均すれば7ドルぐらいから15ドルぐらいの間だと、少し前に専門家に聞いたことがある。


だから価格が上がれば、原油輸出国には上がった分だけのマネーが流れ込むことになる。そのマネーの行き先となっているのが原油であったり、食料であったりする。すでにマスコミで言われていることで、真偽については確かめようがない。ただ、専門家の先生がおっしゃっていた原油採掘コストの話は、おそらく確度の高い話だろう。


もう一つの理由は、直感的にわかる話で、中国やインドで自動車が爆発的に増えていることだ。自動車が増える=ガソリン消費が増える=原油消費が増える、というのは表面的な現象である。そこで考えるべきは、日本でもかつて同じような時代があったことであり、そのときに社会がどう変化したかだろう。


いわゆる3C、すなわち自動車(カー)、カラーテレビ、クーラーが急増した。その結果、個人生活は豊かになったが同時に電気を大量消費するようになった。今の中国でいえば上海、広州に代表されるいわゆる沿岸地域のライフスタイルが、この電気多消費型にシフトしてきている。電気をどうやって作っているかといえば主に火力発電に頼っており、その燃料は石炭と石油だ。


つまり、これから先は中国、インドを筆頭に(この二国だけでも総人口は25億人以上になる)ブラジル、ロシアなどのBRICs諸国からそれに続く国々までが、莫大な量の原油を消費するようになる。原油の需給バランスはすでに逼迫しており、この状況が解消される可能性は少ない。


だからガソリンを一回満タンにすれば、1万円以上取られる時代が目の前にやってきている。そうなれば、必要のない人はクルマを手離すだろうし、お金に余裕のない人はクルマを買うことをはなから諦めるだろう。そしてクルマが必要な人でも、できる限りクルマに乗らなくなる。自動車関連業界にとっては、とんでもない状況が現実化するかもしれない。


一方では、ここにわずかではあるけれども、ビジネスチャンスがないこともない。日本ではいま、都市部以外では買い物はクルマに頼っている人が多い。が、買い物に行くのにも高いガソリン代を払わなければならないとなると気が重くなる人は増えるだろう。そこに宅配サービスがあればどうか。


アメリカではすでに、ガソリン代が上がり始めた昨年末ぐらいからAmazonの売上が伸びているという話がある。Amazonにはほとんど何でも揃っている上に宅配料無料サービスもある。Amazonで買えるものはできるだけAmazonで買おうという流れができているのだ。


同じことが日本でも起こりつつある。スーパーの宅配サービスだ。イトーヨーカ堂は「ネットスーパー」事業に力を入れており、前期に50億円だったこの事業の売上高を、今期は120億円と2.4倍にまで伸ばす計画だ(日本経済新聞2008年6月4日付朝刊3面)。


ガソリンが上がれば、通販ビジネスが儲かる。ただし、儲けを出すためには運送コストを抑えることがカギになる。とはいえ運送コストはガソリン代高騰の影響をもろに受けるわけで、そこに何か工夫できる企業がおそらく短期的には勝ち組となるのだろう。カギはIT活用、ハイブリッドといったキーワードになるのではないだろうか。





昨日のI/O
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昨日の稽古:
・腹筋/腕立て/バランスボール