お一人様のお食事問題


お一人様は出張するときも一人である


だからこそ移動中にもばりばりと原稿を書いたり、書くのにつかれたら居眠りしたり、録りためた「中川家」の漫才を見たりと好き勝手にふるまうことができる。とても気楽である。仮に取材が朝早くからなので前泊する場合も、自分で好きな宿を選ぶことができる(といっても、お江戸の宿は学士会館に決まってしまったけれど)。


前泊するとなると、これまた誰に気兼ねすることなく、一人の時間を過ごすことができる。基本的にお一人様で仕事をしているので、普段でも人が傍らにいたりすることはない。ただ仕事場を自宅に置いているので、家族がいる。子どもが学校から帰ってくれば、いそいそと出迎えに行ったりもする。もっとも彼はすぐに塾に出かけてしまうので、あんまり相手をしてくれないのだが。


ということで、仕事こそ一人でしているものの、一人っきりになることはまずない。これがたまの出張となれば、夜も独りである。実は結構淋しかったりするのだが、そのわびしさみたいなものもたまにはよい。


が困ることが一つある。食事である。


一人で出張に行ったからといって、とくにお金をかけておいしいものを食べてやろうなどと望むわけではない。とはいえ、牛丼やラーメンだけでちゃちゃっと済ませてしまうのは、それはそれで味気ない。ちょっと呑みたいのである。飲むとなるとたくさんはいらないのだが、おつまみがあれこれ欲しいのである。さらにいうなら一人だからといって、慌てて食べて飲んですぐに出て行ったりするのは嫌なのである。わがままである。


ところが、そういうニーズに応えてくれるお店がなかなかない。探せばあるのだろうけれど、簡単には見つからない。ましてや初めて行く土地ともなれば、皆目検討が付かない。そこで、どうするか。


チェーンの居酒屋なんて絶対に行きたくない。ファミレスも論外である。小料理屋はどうか。常連さんが多そうなところだと、敷居が高い、肩身が狭い。知らない街の寿司屋に何も気にせずに入れるほど、懐にゆとりがあるはずもない。イタめし、フレンチなんて論外である。そんな店にオッサンが一人で行ってどうするのだぁ(お店の方だって扱いに困るだろう)。


とネガティブに考えていけば行くほど、どんどん選択肢が限られてしまい、結局は中華料理屋に入って餃子と生ビール、それから生ビールお代わりと焼きそば、みたいな感じで済ませることになる。そりゃあ、とにかくお腹だけはふくれるけれど、あまり幸せじゃない。


ほんとは生ビールを2杯飲むより、もうちょっと強いめのお酒かワインでもいただきたいところだ。食べるものにしても餃子は一人前で良いとして、プラス焼きそばを丸々一人前となるとねえ。それぐらい食べることはできるけれども、もうちょっと違うものも味わいたいではないか。大好きなムーシーロー(キクラゲと卵炒めですね)とか麻婆茄子とか。しかし、極めて遺憾なことに中華料理屋さんにお一人様専用メニューは、まずない。


しかも流行っている中華料理屋さんに行くと(初見で店を選ぶ時の第一ポイントは、お客さんが入っているかどうかである)、たいていお一人様はカウンター席に座らされる。カウンター席というのは、予備席みたいなものである。目の前では料理人さんが中華鍋を振り回して、次から次へと料理を作っているわけだ。これが寒い季節ならあったかくてよいけれども、暑い季節だと見てるだけでもアヂ〜のに、熱気ムンムンで汗じっとりになるのである。


とまあ、このような案配なので、お一人様がゆったりと心地よく食事を楽しむのは、なかなか難しいのだ。もちろんお金を出せば、それなりにもてなしてくれるお店があることぐらいは知っている。でも、そんな身分じゃないわけで。


だからですね、たとえば誰かと二人連れで行ったときのことを思い浮かべてください。それなら一人あたり3000円から4000円ぐらいまでで、そこそこお腹がふくれて、いろんなモノを食べることができて、しかもわりときっちり飲んだりもできるわけでしょう。然るにそれをなぜ独りだとできないのだあ〜、と怒っているのです。そういうお店ができれば、きっと流行ると思うのだけれど。


ましてやこれからはシングルシルバーが間違いなく増えてくるのだ。お一人様のためのお食事店、受けると思いますよ。


お一人様仕事術、その拾壱
『お一人様は、メシ屋に敏感であれ』



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