四十歳からの空手1・始まりは仮面ライダー

atutake2008-06-13



「お父さん、ぼくな、千の技を使えるようになりたいねん」


8年前、幼稚園の年中組だった息子のひと言が、空手を始めるキッカケとなった。千の技を使っていたのは、仮面ライダークウガだ。オダギリジョー演じるクウガは確かにカッコよかった。ついでにいえばあの頃の村田和美ちゃんもすごくよかった。


クウガみたいに千の技を出せるようになるためには、どうしたらええの?」
「そやなあ。空手でも習わんとあかんやろなあ」
「ほんなら、ぼくカラテをならうから、お父さん連れてって」
「そうかあ? ほんまに空手、できるかあ?」
といった話の流れが、まずあった。息子は当時、イトマンスイミングスクールで水泳を習い始めたばかりで、休みの日にはよく、近くの(奈良市西部生涯スポーツセンター)プールに遊びに行く。そこで、思い立って体育館の人にたずねてみたわけだ。


「ここで、空手の稽古をされてる団体とかはありませんか」
「たしか木曜日の夜にやったはりますわ」
「どんな団体なんでしょうか」
「さあ。こちらでは、各団体の活動内容までは把握してませんねん。一回、直接たずねてみやはったらどうです」


こんないきさつがあって、ある木曜日の夜、息子と体育館の2階をのぞきに来たわけだ。時間は7時からと聞いていたので、少し早い目に見に来たのだが、はっきりいってちょっと引いた。薄暗い廊下の奥で男性が3人、それもいかにもいかつい(ついでにいえば人相もちょっと悪そうな)人たちが、思い思いに体を動かしている。まぎれもなく空手である。


直感的に自分とは違う世界の人たちだと思った。とはいえ息子を連れてきている手前、びびって回れ右をするわけにもいかない。意を決して声をかけてみた。もちろん3人の中でも、まだいちばん温厚そうな方を選んだことは言うまでもない。


「こちらで、空手をされていると聞いたのですが・・・」
「ああ、やってますよ」
「この子が空手を習いたいと言うんですけど、教えてもらえますやろか」
「それは、ちょっとなあ。どうやろう」
「むずかしいですか」
「いや、子どもは一人もおらんのです。というかこれまでにも教えたことがないし」
「なるほど」
「しかも、我々はほとんど同好会というか、いろんな流派の経験者が集まって一緒に稽古しているという感じですからね」
「それやったら、ちょっと無理ですね」
「まあ、一度責任者に聞いておきますよ。とりあえず連絡先を教えてください」
ということで、こちらの電話番号を告げて、その夜は帰った。すると数日後に電話がかかってきたのだ。これが実に運命の電話となる。


「空研塾の中西といいます。この間、体育館でお問合せをいただいたそうで」
「どうも、ごていねいに」
「子どもさんに空手を習わせたいということですね」
「そうなんです」
「正直なところ子どもは、これまでに教えたことがないんですよ」
「そう伺いました。そりゃだめですよね」
「そうなんですが、どうです、お父さんも一緒にされませんか。それだったら、やらせてもらおうかと」
「は?」
「だからお父さんと一緒なら、お父さんから子どもさんにいろいろと説明してもらえるやろうし、子どもさんも心強いでしょう」
「私も、空手をやるのですか・・・」
「そうです。いかがでしょう。いい運動になりますよ」
「ちょっと考えさせてください」


息子に相談した。子どもを教えるのは初めてだということ、お父さんも一緒にやらないとダメだということ。どちらかといえばお父さんは、もう歳だから、今さら空手などはあんまりやりたいとは思わないんだけど的雰囲気を目一杯漂わせながら。しかし、幼稚園の子どもにそんな空気を読めという方が無理である。


返ってきたのは
「それ、ええやん、一緒にやってえや。ぼく、ぜったいに千の技をやりたいねん。お父さんだって強くなれるかもしれへんやん。やろ、やろ」


まさか四十歳にして空手をやることになるとは思いもよらなかった(たぶん続く)。



昨日のI/O

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