石油がなくなるとき


あと22年


「2030年ごろには石油は枯渇するだろう」と述べたのは、トヨタ自動車で技術開発担当副社長を務める滝本正民氏である(日経産業新聞2008年6月19日付24面)。あのトヨタの副社長が、これほどまでにクールでシビアな言葉を公の場で出す。その意味を考える必要がある。

いま足元で石油の高騰が問題になっているが、それでもカネを出せば買える。だが、いずれ絶対量が不足し、カネを出しても調達できない時代がもうすぐに来る、という趣旨の発言だ(前掲紙)


だからといって、未来はないというネガティブなニュアンスでは決してない。そもそも、いずれ石油がなくなるだろうことは、今から40年ぐらい前にすでにローマクラブでいわれていたことだ。石油資源が有限である一方で、石油消費は爆発的に増えているのだから、遅かれ早かれ石油がなくなることは間違いない。


EUでも

原油価格高騰は「一時的な現象ではなく構造的な変化」と指摘(日経産業新聞2008年6月13日付4面)

している。原油高であり余るカネを手にした人たちが、投機マネーを注ぎ込んでいることは確かだろうけれど、構造的に石油がやがてなくなることは、ほぼ確定した未来だろう。


そこで石油代替品が注目を集めているわけだ。代表的なのがバイオエタノールオイルシェールとかタールサンドなど。とりあえずガソリンがないと生活できないアメリカが、バイオエタノールに力を注ぐのはわからない話ではない。あの広大な面積を持ち、しかもこれまでの間ずっとクルマを前提としたインフラ整備がなされてきた国に、いきなり自動車に頼らない暮らしをせよ、といっても、それは無理である。


では、ヨーロッパはどうか。アメリカとはまた事情がまったく違う。確かにクルマ社会ではあるが、クルマがなければ生きていけないかというと決してそんなことはない。だからというわけでもないのだろうが化石燃料から再生可能エネルギーへの転換でイニシアティブを取ろうという姿勢が強い。


では、日本はどうなのだろうか。


国土の環境やインフラの整備具合でみてアメリカ型かヨーロッパ型かといえば、日本は明らかにヨーロッパ型だろう。とはいえクルマを使えなくなれば困ることに変わりはない。だから電気自動車という選択肢に向けて自動車メーカーは動いている。トヨタも新型の電池開発に全力を注いでいるという。


新型車の開発と言えば時間がかかるのが相場だったが、あとたった20年ちょっとしかガソリン車に残された時間がないのだとしたら、開発にも強烈なドライブがかかることだろう。そして日本にとって大きいのは、すそ野が恐ろしく広い自動車産業がこれからさきも国内で存続し続けることで、日本が維持できるであろう外貨獲得力だ。


それがある限り、外国からモノを買い入れ続けることができる。ということは、21世紀も日本は自動車に頼っていかなければならないということなのかもしれない。まあ、電気自動車に使われる基礎技術はたぶんロボット開発にも流用できるだろうから、産業面でも日本が世界の先端にポジションし続けることもできるのかもしれない。


というか、ぜひ、そうなってほしい。



昨日のI/O

In:
『インタビュー術/永江朗
Out:
夢の街創造委員会中村社長インタビューメモ
アシックス三村氏取材原稿

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