YouTube17

*[マーケティング的]勝手CMとコピー復権と広告の先祖帰り



とりあえず40秒、下記をご覧ください




http://jp.youtube.com/watch?v=_X6ywvOGs0s


下記は聴き取ったナレーション、つまりコピーである。

学校では、東大、余裕で受かんじゃねー、ていわれたから、
とりあえずZ会入ってみたんだけどぉ。
なんかとりあえず問題の意味もわかんないしぃ、
絶対、東大よりむずいから。
ありえねくね。
私がそうなるってことは、ちょっとむず過ぎなんじゃないの。
もっとぉ基礎とかなくてもぉ、
東大合格できるような仕組み作ってほしいぃです。
<難しくて、何が悪い。>
東大よりむずいんだから、東大受かるのあたりまえじゃね。逆に。


YouTubeにアップされているZ会のコマーシャルである。これ、すごいと思いませんか。何がすごいって凄い点は三つある。まず第一には、これはZ会が発注した広告ではないこと。勝手広告と呼ばれ、文字通りスポンサーの依頼などまったく受けずに勝手に作られた広告である。最近はやりつつあるらしい。


次にすごいのは、こうした勝手広告をTV番組で放映することをZ会が許諾したこと。しかも、その訴求内容、クォリティその他については一切関与していない。これは英断というか、よくそこまで思いきった判断ができたなと思う。


ちなみに放映されるのは、下記の番組にて。
TV東京系番組「うぇぶたま3」
http://www.tv-tokyo.co.jp/webtama3/
6月30日(月)※暦上は7月1日(火)
深夜1時30分〜2時


さらに本質的かつ決定的にすごいと思うのは、この勝手広告はもしかしたら広告を先祖帰りさせるマイルストーンになるのではないかということ。ご面倒かもしれないが、もう一度YouTubeのビデオを見ていただきたい。いや、正確には聴いていただきたい。


このCMには、何のビジュアルギミックもない。絵は、ほとんど静止画像と言って良い。あくまでもナレーションを聞き続けてもらうためだけの「絵」である。その意味では女子高生らしい人物が登場していること、加えてスカートの裾付近を中心に狙ったカメラアングルは、よく計算されていてうまいなと思う。


もちろん、ナレーションの声の質もしっかりと考えられている(と思う)。いかにも、今どきの女子高生風でありながら、言葉はとてもはっきりと発話されている。一回聴けば、内容は誰にでもスッとわかるようなていねいな話しぶりだ。言葉遣い自体も、いかにもそれっぽく仕立て上げられているが、きちんとしたメッセージが組み立てられている。


そう、何よりすごいのは、このメッセージの明確さである。


つまり、このCMはあくまでもメッセージオリエンティッドな中身となっているのだ。そして、ここに勝手広告の可能性を感じるのである。ビジュアルに凝ることは、予算に限りのある個人には難しい。しかし、ほんの少しひとひねりしたビジュアルに、きちんとしたメッセージを載せるだけで、本来の広告は成立する。


そもそも広告とは「広く・告げる」と書くのだ。では、何を告げるのか。メッセージである。ところが、今のテレビCMを思い起こしていただきたいのだが、メッセージがはっきりと伝わってくるCMは一体どれぐらいあるだろうか。


タレントの顔が思い浮かぶもの、ユニークな映像が焼き付いているもの、あるいは印象的なBGMが耳に残っているCMはいくつもある。が、その広告のメッセージがしっかりと心に刻み込まれているCMは、どれぐらいあるだろうか。ということを、スポンサーはよく考えられたがいいと思う。


タレントを使って、トリッキーに画像技術を駆使する。そうしたCMのすべてを否定するつもりはないが、その多くが広告代理店の手数料(総額に対するパーセンテージで決まる)をつり上げる手段となってきたことも事実だ。


しっかりしたメッセージと、それを伝えるための最小限のシンプルな絵。そしてメディアとしてはYouTubeがあれば、これだけの影響力のあるCMを作って展開することができる。ネットで話題になれば、相当に広がりもする。これは、広告代理店やテレビ局にとっては、実は驚天動地(表現が古くさいけれど、これしか思いつかなかった)の出来事になりはしないか。




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