四十歳からの空手5・足ボロボロ

atutake2008-06-29



「きったない、足やなあ。人に見られたら恥ずかしいから、そんなんで短パンはいて、外出たりしんといてや」


稽古を始めて、一ヶ月後ぐらいからぼちぼち組手稽古に参加するようになった。そして、家人からいわれたのが冒頭のいささか辛辣セリフである。ちょっと組手をしただけで、足が見事なまでもぼろぼろになった。とはいえあくまで誤解のないように説明しておくと、いくら組手稽古を始めたとはいえ、初心者にはきっちり配慮していただいて上でのことである。突きや蹴りを実際に当てるとはいえ安全にはきめ細かな対策がきちんとなされている。


まず、必ずサポーターを着ける。拳をスポンジやクッションがしっかりカバーする拳サポーター、そして足のすねから爪先までをきっちりと覆うレッグサポーターである。これで衝撃はかなりやわらげられることになる。


さらに先輩から後輩に対する思いやりサポーター、早い話が手加減もたっぷり加えられる。黒帯、茶帯の先輩たちは、他流派で一度黒帯をとった方達ばかりである。しかも空手歴にして10年以上の方がほとんどだ。初心者との組手などは、本気になれば赤子の手をひねるようなものである。


技を使えば相手が受けられないことはわかっているし、力を入れれば相手がケガをする可能性があることもご存知である。


しかも私が入門した空研塾は、初心者にはとても気配りをしてくれる団体だった。たまたま入門時には女性が数名いたこともソフトムードを創りだすのに貢献してくれていたのかもしれない。もっとも数名いた女性というのが、実は剣道の高段者だったり、ものすごく闘争心のある女の子だったり、身体能力抜群だったりして、後々結構ひどい目にあうのだけれど。


ともかくケガをしないようにと配慮された組手稽古ではあるのだが、そもそもこちらの体がまったく空手に慣れていないのだ。空手に体が慣れるためには、いくつかの条件をクリアしなければならないように思う。


柔軟性、若干のスタミナ、皮膚の強度である。技がどうとか、あるいは基本のマスターも、まずこの基礎の基礎ができてからの話ではないだろうか。


さて、まず柔軟性である。ケガをしないためにも、体は硬いよりやわらかい方が絶対に良い。両足を広げて(可能な限り180度に近く)、そこから体を前に倒していって、お腹がぴったりと着くぐらいが理想だ。とはいえもちろん、そんなの完璧に無理である。そもそもまず足そのものが開かない。せいぜい90度も開けば良いところだろう。当然、体が前に倒れることもない。手のひらさえ床に着かない。そこからのスタートである。


が、しかし。柔軟体操は持続が大切。続けていれば必ず、ある程度まではやわらかくなりますと教えてもらった。やれば必ずできること、それも毎日そんなに苦労せずにできて、ただ続けるのだけが面倒といったことをやり続けるのは比較的得意な方である。やっていると、本当にやわらかくなった。調子のいいときにはあごが着くくらいまでは体が曲がるようになった。


次はスタミナである。組手稽古は1セットが、1分から長くても1分半ぐらい。だから、1セットやるだけなら、そんなにスタミナなど要らないと思ったら、大違いである。強い人を相手にしているという精神的プレッシャーの下で過ごす時間は、心安らかな状態での時の流れとはまったく違う意味を持つ。強いストレス下での時間は心臓にダメージを与えるのだ。


これに耐えるためには、心のスタミナをつけることがまず一つ重要な課題となる。「心が武器になる」が空研塾の理念である所以である。さらには肉体的なスタミナも当然必要である。組手稽古はだいたい10セットぐらい続くから、その間ぐらいは体を自分の思うままに動かし続けられるぐらいの持久力はあった方がよい。それはわかっているが、このあたりは40歳から始める身には、結構しんどいものがあった。


そして皮膚の強度である。黒帯の先輩と組手をすると相手は、こちらが超・ど素人ゆえに攻めに困られるのである。上段はがら空き、とはいえ頭を蹴ったりするとメガネを壊してしまいそう(最初の頃は無謀にもメガネをかけて組手をしていたのだ)。中段とか下手に蹴りが入るとあばらとか壊してしまいそう(実際に、しばらくしてあばらにひびが入った)。と攻めるところがないため、じゃあ軽く下段(主に太ももですね)でも蹴っておくかとなる。


これがほんとに軽〜くなでてくださっているだけなのに、効くのだ。何しろ、足を蹴られたことなどこれまでの人生で一度もなかったわけだから、足の方だってびっくりである。足の皮膚は過剰に反応するし(故にその抗議の姿勢を示すためにあちらこちらに痣を作る)、足の筋肉はへこむし(故にその抗議の姿勢を示すために意志に反してまともに歩くことを拒む)。といった案配で、人目にはとてもお見せできないような醜い足となってしまったのだ。


きたない足は、この後半年以上続くことになる。


昨日のI/O

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静岡大学・三村教授インタビューメモ

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見える化の威力」
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「経営陣が若いほど高収益って本当?」
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昨日の稽古:西部生涯スポーツセンター1Fダンススタジオ

<少年部>
・基本稽古
・移動稽古
・ミット稽古
<一般部>
・顔面を想定した組手
首相撲
・基本稽古
・顔面を想定した組手

とにかく手を前に出すこと。特に蹴りのときがいちばん顔面を狙われるので、しっかり手を出すこと。
首相撲は相手のリアクションを感触で掴みながらコントロールすること。首だけではなくて、頭を押さえることで相手のバランスを崩し易いこと。決して力で対抗しないこと。理に適った体の使い方をすれば、ムダな力を消耗せずに、脱出できること。
またまた発見の連続でした。ありがとうございます、愛甲先輩、渡邉塾長。とはいえ、普段使わない背中から肩、首まわりの筋肉が悲鳴を上げており、首がまわらなくなっております。とほほ。