雑誌の敵はワンセグ?


午後0時台が25%


ワンセグをいちばんよく見る時間帯である。お昼休みの方が、意外なことに夜のゴールデンタイムを上回った。

聞き取り調査では「ひとりランチのOLがワンセグを見ているとの声も多かった」という。
<中略>
視聴している場所は通勤通学時の電車・バスが多いが、4人に1人は「勤務先の自席」と回答。据え置き型テレビではできない、すき間時間を利用した自由な視聴スタイルが広がっているようだ(日経産業新聞2008年7月17日1面)。


なるほど。それじゃ雑誌が売れなくなるわけだ。お昼休みにお弁当食べながら雑誌を眺めるのが、これまでのOLさんたちの定番だったのに。でも雑誌を眺めるのとワンセグを眺めるのなら、どちらが楽で楽しいかといえば、そりゃワンセグだ。


雑誌は読まなければならない。すなわち能動的である。然るにワンセグなら眺めているだけで良い。受動的でオッケーである。しかも雑誌は文字と写真で構成されている。ワンセグなら動画と音声である。というのは、すでにテレビが登場して以来、本を読む人が少なくなったという話と構図的にはまったく同じ。


しかし、ワンセグはテレビとも違う。つまりワンセグが奪い取ったのは「すき間時間」である。ポイントは、ここだ。すき間時間にパラパラ眺める対象としては、雑誌がこれまで強力なポジションを占めていた。雑誌編集者も、特に女性向けファッション誌、情報誌などはすき間時間で完結して読める記事をたくさん用意することをつねに意識していたはずだ。


もちろん、特集はある。そこはきっちり読んでほしい。とはいえ、今や読者は「ひと息で読めるのは二百字」な方々である(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20071129/1196286902)。長文などはよほど面白くなければ読んではもらえない。ましてやお昼休みなどのすき間時間である。お弁当をほおばりながらでもサクッと読めることは絶対条件なのだ。


おそらくはそんな方針で編集されてきた雑誌が、もしかしたらワンセグで息の根を止められるのかもしれない。あくまでも感覚的な意見だけれども、視聴者の意識としてはワンセグとテレビはまったく違うのだ。


自宅のテレビは「ながら」視聴である方が多いのだろうけれど、意識としては一応「見る」ものだ。ところがワンセグは、他に有効な暇つぶしがないために(だって電車やバスの中で立っている時ってそうでしょう)何となく眺めるものだ。というのは、まさしく雑誌やもしかしたらマンガが担っていたポジションではないのか。


であるなら、より「楽な」ワンセグへとシフトする動きは不可逆的な流れなのではないだろうか。しかもこの4月からの放送法改正で、ワンセグでいろんな番組を放送できるようになった。今後、ますます雑誌は厳しいポジションに置かれること、間違いないと思う。


そうなると当然、広告メディアとしての価値も雑誌は下がり、ワンセグが上がるということになるのだろう。では、ワンセグの競合は何だろうか。同じような動画素材ということならYouTubeになるのだろうけれど、YouTubeは自分から探しに行かなければならないし、まだ無線LANがどこでもつながるわけでもないし、ケータイの通信機能ではちょっとつらい面もある。


ここ当分の間、すき間時間を巡る争いはワンセグとゲームの間で繰り広げられるのではないだろうか。



昨日のI/O

In:
『「力強い」地方づくりのためのあえて「力弱い」戦略論/樋渡啓祐』
『こんな日本でよかったね/内田樹
Out:
大和学園副校長・安田和彦氏インタビュー記事
りそな銀行・取材記事ラフ原稿


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□InsightNow最新エントリー
AmazonのOmotenashi」
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昨日の稽古:

・懸垂、拳立て、腹筋