弘法さんが選んだ場所
標高約1000メートル
奥深い紀州山地の入り口に高野山がある。もっとも実際には「高野山」という名前の山はない。地図に記された山の名前で言えば摩尼山、転軸山などがいわゆる高野山を形成する。つまり高野山というのは、このエリア一帯を示すことばだ。
この真言密教の聖地へは、まず南海難波駅から特急に乗り約1時間半で極楽橋駅までたどり着く。ここからケーブルカーに乗ること5分で高野山駅まで上る。ものすごい急なケーブルだ。窓から見える緑がとても濃い。
山上でケーブルを降りると明らかに空気が違う。すずしく、軽い。難波駅を出るときに感じた肌にねばりつくようなねちっこさはみじんもない。温度だけでなく肌で感じる質感もどこか、何か違う。
今日、遠く高野山にまでやって来たのは取材のためだ。町長さんへのインタビューを終えて、次は金剛峰寺に撮影に向かった。やはり空気が良い。というか、どんどん空気の質が快いものとなる。そうした空気に包み込まれている場の雰囲気はとてもやわらかく、そのために取材中であるにもかかわらず、いつの間にかなぜかとてもリラックスしている自分を感じる。
これが聖地というものか。
関西で高野山に並ぶ聖地といえば比叡山がある。高野山が弘法大師さんなら、比叡山は最澄さんである。生まれが滋賀県であり、一時比叡山のお膝元一乗寺に住んでいたこともあるゆえ、比叡山には何度も行っている。しかし、比叡山と高野山は明らかに空気の質が違うと思った。
何がどう違うのかはわからない。
ただ、弘法大師さんが真言密教の修業の場として高野山を選んだのは事実。それは今から1200年も前のことである。その頃はおそらく、この山に登るための道らしい道さえなかっただろう。にもかかわらず弘法さんは、森の中をよじ上り、この場所を嗅ぎ当てた。そして道場を開いた。
弘法大師に続く人たちが、ここにさらに修業のための設備を作り増やして行った。以来、この地ではひたすら仏法修業に勤しむ人たちが集まり暮らし、独特の空気を醸し出してきた。道ばたにさく紫陽花の花の色にまで何かしら品を感じるといえば、言い過ぎになるだろうか。
何か、不思議な空間体験をした一日となった。
昨日のI/O
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昨日の稽古:
・懸垂