切り口はキレイな歯


虫歯より気になる人が65%


日経WOMANが実施したアンケート結果である。女性たちが虫歯よりも歯について気にしているのは何か? おわかりになりますか。


歯の色だそうだ。

歯の気になるところは何かという問いには「虫歯」の57.4%を抑えて「歯の色」が65%でトップ。これらに「歯並び」(42.2%)、「口臭」(41.1%)が続く(日経MJ新聞2008年7月21日付4面)。


これが仮に私たちオヤジ世代を対象としたアンケートなら、口臭が一位になったんじゃないだろうか。という具合に、オーラルケアに対する関心が全般的に高まっているようだ。おかげで関連グッズのマーケットは、確実に成長している模様で、たとえば

2007年の歯磨き類出荷実績をみると、前年比約5%増の4億3850万個、金額も875億円と約6%も増えた(前掲紙)

とある。歯磨きが年間4億本も売れているということは、一人当たり一年にざっと4本も買っている計算になる。本当かなと思うが、朝昼晩と几帳面に歯磨きに励む人は、一ヶ月に一本ぐらいの割合で買っているのかもしれない。


確かにテレビに出てくるタレントたちは、たいていみんな異常に歯が白い。タバコを吸っていることが明らかなタレント、たとえば明石家さんまなんかもあの大きな歯が真っ白である。変である。一昔前ならザクトライオンとかいう名前のヤニ取り専用歯磨き粉があったけれども、あれを一日三回使ったとしても、あんなに輝く白さとはならないはずだ。


あれはホワイトニングを施しているのだろう。そういう施術を専門にしている審美歯科という歯医者さんがあるのだ。文字通り歯を白くしてくれたり、歯並びを治してくれたりもする。歯並び治しを専門とする歯科は矯正歯科ともいう。最近子どもに増えているのが、この歯列矯正を受けるケースで、口を開くと歯にワイヤーをしている子どもを時々見かける。


私が子どもの頃には、歯列矯正をしている友だちなど一人もいなかった。そもそも歯並びが良いとか悪いとかを考えたこともなかった。それが今や、数十万円から百万円ぐらいかけて治す時代となっているのだ。


歯並びの善し悪しなど誰も気にしませんから、というのが一般的な考え方であれば、そんな大金をはたいて矯正する人は少数派となる。当たり前の話である。しかし、今や「歯並びで差別されることもあります」なんてことが真しやかにささやかれたりするご時世である。そんなことを言われたら、特に女の子をもつ親なら、せめて歯並びぐらい治してあげたいと思うのは自然な心の動きというもの。これはきっとどこかに仕掛け人がいるのだろう。


「歯の色、気になりませんか」とか「歯並びで第一印象が変わります」といったメッセージを聞いたら、まずは誰がどんな目的で発しているのかを考えたほうがいい。こうしたメッセージをあまりストレートに受けとらないことは、余計なお金を使わないための自衛策である。


といいつつもマーケティングに関わる者としては、じゃあ、次は若い男性のオーラルケアにビジネスチャンスがあるはずだとも考える。では、どんなチャンスがあるだろうか。


狙い目は、やはり単価の高い歯列矯正だろう。そう考えたとき若い男性の歯列矯正をどうしかけるか。ここは地道に雑誌のタイアップ記事、あるいは本の出版などで仕掛けていくのがいいだろう。あるいは有名タレントを使って「私も、実はやっていました」なんてカミングアウト系で仕掛ける手もある。


ただし、マーケットは確実にあるとは思うけれど、その規模は女性向けマーケットほどには大きくないだろう。それに同じ20代男女の可処分所得を考えれば、男性の方が少ないとも考えられる。となれば、男性向けプチ矯正みたいな商品がフィットするのかもしれない。


幸いにして今のところ歯だけは大丈夫である。一日二回、朝晩の食事の後にしっかり磨いている。個人的には、それで虫歯になったり親知らずが痛んだりしないことをひたすら祈るばかりだ。






昨日のI/O

In:
『こんな日本でよかったね/内田樹
Out:
メルマガ
高野町長さんインタビューメモ


メルマガ最新号よりのマーケティングヒント

「確定した未来への対応」
http://blog.mag2.com/m/log/0000190025/
よろしければ、こちらも。

□InsightNow最新エントリー
大和ハウスが家を売らなくなる未来」
http://www.insightnow.jp/article/1731

昨日の稽古: