四十歳からの空手12・雑誌で強くなる


筋トレは確実に効果があった


フィットネスクラブでせっせとウエイトトレーニングとエアロビクス系のトレーニングに励んだ結果は、思っていたより早く出た。考えてみれば当たり前の話で、もともと筋力がなかった人ほどちょっとしたトレーニングでも効果抜群となるわけだ。シグマ6と同じ原理である。


すなわち最初0点だった人が50点、60点を取るのは比較的簡単なのだ。ちょっと一生懸命にやれば、それぐらいのレベルまではすぐに到達できる。ところが点数が上がってくるに従って、難易度は等比級数的に高まって行く。仮に現時点で95点の人が、そこからさらに1点、2点を積み上げようと思えば、それは地獄の苦しみを突破しなければならない。そういうものである。


だから筋トレも実は結構楽しかった。エアロバイクはすぐにかなり強度を上げて漕げるようになったし、両手両足を使った山登りみたいな運動をするエアロ系のマシンも、そこそこがんばれるようになった。腹筋もウエイトを持ってできるぐらいにはなった。その成果はなんと、驚くなかれ、これで組手が少しだけ恐くなくなったのだ。


おそらくは荒縄を巻いたビンでの「叩け、叩け、叩け〜」作戦の効果もあったのだろう。痛みにちょっと強くなった。以前ならローキックを一発、まともにもらっただけでその日の組手は「もうダメっす」状態になったのが、「もうちょっといけまっす」レベルにアップした。あるいは最初の頃にあばらにヒビが入ってしまった後遺症で、お腹へのパンチを必要以上に恐がっていたのが、そうでもなくなった。


そうやって基本的な体力が少し上がると、組手も少し楽になる。楽しいとまでいうと嘘になるけれども、以前ほど憂鬱ではなくなってきた。すると見えるのである。何が見えるかといえば、相手の動きがである。


もちろん黒帯の先輩方の動きは依然としてさっぱり見えない。ポンポンポンでいつの間にか顔の手前まで足が来ている、なんてことばかりだ。しかし、青帯(一つ上のクラスになりますね)とかの先輩の動きは、何となくだけれども見えるのだ。


あっ、ここでワンツーが来ると思えばその通りだったし、次は右の上段と感じれば、やはりその蹴りが飛んでくる。まだまだ反射神経がつながっていないから、咄嗟に受けを出すところまではいかないにしても、少しだけ体をよじったり半歩足を動かしたりして、クリーンヒットをもらわない確率が高くなってきた。


やっている方はおわかりだろうが、よほどのクリーンヒットでもない限りは、サポーターをつけての突き蹴りは耐えられるのだ。逆にいうと、以前は突き蹴りのことごとくを、ほぼまともに効かされていたわけだけれど。


おっ、これはもしかしてちょっとばかりおもしろいのではないか、と思い始めた。攻めを何とかしのげるなら、自分が攻めても良いのではないかと考えるようにさえなった。そこで、またまたお勉強開始である。


空手関係の雑誌を片っ端から買って来て、そこに載っているいろんな人の攻撃のパターンをかなり一生懸命に読んだ。読んで、自宅道場でその動きを真似するようになった。この期に及んでも松井章圭が理想ではあったが、組手のことが少しわかってくると松井章圭が一つの究極であり、そんなものになれるわけがないこともわかってきた。天才の天才たる所以が、おぼろげにではあるけれども理解できるぐらいのレベルに自分もようやく達したということだ。


そこでせっせと組手のいろんなバリエーションを繰り返し練習するようになった。そうやってパターンを覚えると、それを実際の稽古の中で使ってみたくなる。それがちょっと通じたりすると、めっちゃうれしいのである。何だか、自分が、強くなったような錯覚を抱いたりもした。恐ろしいというか畏れ多いというか。


そうした付け焼き刃的な攻めは言うまでもなく黒帯の先輩にはまったく通じないのだけれど、青帯の先輩ぐらいには少し有効だったりする。何発か出すうちにはたまに、自分の突きや蹴りが入ったりする。これが実になんとも言えない初体験となった。何しろこの歳になるまで、殴り合いのケンカとは一切無縁の暮らしを送ってきているのだ。その自分が、人と曲がりなりにも戦って、攻めている。そのとき確実に体内ではアドレナリンが出ていたのだと思う。


組手が少しだけ好きになった。


昨日のI/O

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