四十歳からの空手14・叩け叩けパート2


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砂袋である。家人にお願いして買ってもらったのである。酒瓶で叩け叩け作戦をしつこく続けたおかげで(→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20080709/1215558985)、少しばかり痛みに強くなった。ちょっとぐらいど突かれたり、蹴られたりしたぐらいなら何とか耐えられるようになると、組手が少しおもしろくなってきた。


これに味をしめて無謀にも、もうちょっと強くなりたいと思ったのだ。強くなる方法がいくつかあることはわかってきた。と同時に限界があることも理解した。たとえば今から上段回し蹴りをぶんぶん振り回せるようには、絶対にならないのである。あるいは一発で相手の戦意を喪失させるようなローキックを出せるようにもならないのである。そういうことは、はっきりしてきた。


では、自分には何ができるのか。


華麗なる足技は難しい。股関節は硬いし、足の筋力だって人並みしかない。それでもとばかり、支部長のマネをしてバーベルスクワットをがんばってみたのはいいが、ちょっと無理し過ぎたらしく膝を痛めてしまった。膝はいきなり痛んだ。ある朝、起き上がろうとすると膝が抜けたような感じで力が入らないのだ。それでも無理に力を入れて立つと、膝がギシギシ痛む。


病院で診てもらったところ膝蓋腱の炎症だとのこと。早い話が膝のお皿の上下を繋いでいる腱が加齢により弱っているところに、無理な力を加えたから炎症を起こしているそうだ。お医者さんの見立ては、ごく自然な老化現象らしいが、これでスクワッて足を強化する作戦は頓挫である。50前でこうして膝を痛めるとクセになるそうで、繰り返し炎症を起こすとそのうち歩行にも支障を来す恐れがあると脅されてしまった。


蹴りがダメなら、突きである。まだ四十肩にも見舞われたことはないし、腕立て伏せなら昔から続けている。上腕二頭筋はそれほどでもないが、三頭筋なら人並みより少しは強いかもしれない。これである。そこで突きを強くすることを考えた。


今でこそ、塾長に細かく教えてもらったおかげで突きのメカニズムが少しはわかってきているが、当時はまだ入門二年目である。まず力がなければ話にならんだろうとか、思いっきり突きまくればきっとパンチ力も養われるはずだといった猪突猛進型思考しかなかった。


そこで見つけたのが砂袋である。


本当は巻き藁を何とか作ることができないかと、まず考えたのだ。幸いにも借家とはいえ一軒家に暮らしているゆえ、庭がある。ここに巻き藁を立てて、突きの稽古をすれば良いではないかと。『空手バカ一代』でも大山倍達が庭で巻き藁を突くシーンがある。何より空手と言えば昔から巻き藁が付きものである。


しかし、巻き藁はそう簡単にはできそうにないことがわかった。一応、空手関係の本を読んで調べたのだが、土台をしっかり作らないとダメだし、板もそれなりのものを選ばなければならない。しかも今どき藁なんてどこで手に入れたらいいのか。と巻き藁建築計画はあっさり挫折し、それならばと次なる選択肢に上がったのが砂袋だった。


家人のお許しを得て届けられた砂袋セットは、相当な重量感があった。とはいえスタンドを組み立てるのは割と楽勝だった。そしてガーデニングショップに行って園芸用の砂を買って来てたっぷりと入れた。スタンドには蹴り用と突き用、併せて二つの砂袋を吊るせるようになっている。どちらにも40キロずつ砂を入れて、さて試し突きである。


恐る恐る突いてみる。さすがに40キロの砂はずっしりと手応えがある。ちょっとずつ強く突いていく。少々の突きでは砂袋はびくともしない。さらに力を入れる。拳頭がきちんと垂直に当たらないとめっちゃ痛いことがわかった。もっと強く突いてみる。手首がぐきっと内側に曲がってしまった。これは痛い、というか激痛である。ということで、初日はたぶん正拳突きを50本ぐらい突いたところで、セルフストップである。


やっているときは興奮していたからだろう、気づかなかったのだが、終わってみると拳頭の皮がばっくりとめくれていた。これもじんじんと痛む。しかし、その拳を見て少しばかりほくそ笑んだのは確かだ。なぜなら痛いということは効果があるということではないのか。この痛みに耐えられるようになり、それでも強い突きをガンガンぶち込めるようになったら、自分の突きもそれなりにマシになるのではないか。


一撃必殺とまではいかないまでも、黒帯の先輩から「ちょっとは、ましな突きを出せるようになりましたな」ぐらいは言ってもらえるのではないか。そんな浅はかな期待を抱いて、毎日がんがん砂袋をどつく日々が始まった。



昨日のI/O

In:
『奇跡のトレーニング/小山裕史』
Out:
樋渡・武雄市長インタビューラフ原稿

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昨日の稽古: