ハレの日マーケット


一件あたり436万円


結婚式が、また派手になりつつある。ちょっと前まではジミ婚がブームだった。そのピークだった2002年に比べると、結婚式一件あたりの単価は3割もアップしている。

少子化で親から資金面で援助を得やすくなったり、晩婚化で新郎新婦の懐具合に余裕が出たりしている事情もあり、「ハレの日ぐらいは」というハデ婚志向に復活の兆しがある(日本経済新聞2008年8月15日付朝刊5面)。


今後、このハレの日マーケットはどんどん伸びて行くと予想する。なぜなら、これからの時代はますます普段の生活が厳しくなっていくからだ。ガソリン価格がその象徴である。今や東京、大阪などの大都市中心部に暮らす人をのぞいて、ほぼ一世帯に1台の割合でクルマを持っている。


ちなみに全国の乗用車保有台数は2002年時点で5454万台だ(→ http://www9.plala.or.jp/hiyotrio/newpage026.htm)。保有台数はとりあえず2002年までは右肩上がりで増えてきているので、現時点ではもう少し増えているだろう(とはいえ、現時点では漸減傾向に陥っているけれど→ http://d.hatena.ne.jp/atutake/20080519/1211201889)。


つまりガソリン代が上がれば、間違いなく家計にダメージが及ぶということ。追い討ちをかけるように食料品価格もじわじわと上がっている。食べ物の価格上昇は、実は巧妙にカモフラージュされていたりもするので気がつかないケースもあるだろう。具体的には、これまでと価格は同じだけれど入り数が減っていたり、グラム数が少なくなるなどの形で実質値上げとなっているものが多い。これも家計を直撃する。


もとより原油価格高騰は、まず直接的にはガソリン価格高騰となって現れているが、おおもとの原油が上がればさらに波及効果がいろんなところに及ぶ。たとえば飛行機にはサーチャージなるものが追加されていて、これがヨーロッパに行くとなると片道で3万円ぐらいかかる。ということは往復で6万円、これはごっつい値上げである。おかげで海外旅行に出かける人が減った。


あるいは電気代もこれから間違いなく上がる。電気の6割ぐらいは石油を燃やして作られているのだから、原料費が上がれば製品代も上がるのは理の当然。ガス然り、鉄然り。そして海外から輸入している製品全てにも原油価格アップは輸送費アップとしてかかってくる。


原材料を含めれば、衣食住といった生活必需品のほとんどを輸入に頼っている日本ではこれから、あらゆるモノの価格が上がっていくだろう。ということは日々の暮らしにかかるコストも必然的に上がっていくわけだ。だから生活防衛に走る人が増える。つまり日常生活では極力お金をかけないようにケチる。

電通の消費実感調査では、6月時点で「支出を引き締め気味」との回答が75%を占め、1993年の調査開始後で最高となった。一方で「たまにはぜいたくも良い」との回答も4割と、この比率も4年前に比べて約2倍。支出にメリハリをつける意識がうかがえる(前掲紙)。


今でこそ「格差社会」などといわれるが、一昔前までは「一億総中流」などと浮かれていた時代もあったのだ。みんな、それなりにちょっとぜいたくする味は知っている。そしてぜいたくの心地よさを忘れることはできない。だから、何か口実があれば、その日ぐらいは「ぜいたくしようか」といった気分になる。実際のところ、それぐらいの余裕はまだたいていの世帯にあるはずだから。


従って『ハレの日マーケット』は今後、確実に拡大すると思う。では、具体的にはどんなタイミングが『ハレの日マーケット』になるのだろうか。


まずベーシックに冠婚葬祭がある。そして記念日、子ども絡みのイベント、○○会といった集まりなどが思いつく。と考えれば、何らかのコミュニティを切り口として『ハレの日マーケット』を狙ったイベントを仕掛けてくる企業もあるのではないだろうか。


この『ハレの日マーケット』、一体どれぐらいのマーケットサイズになるだろうか。ごくアバウトな試算だけれど、子ども一人の3人家族での予算は一ヶ月あたり3万円から多くて5万円ぐらいではないか。ということは年間ベースなら30万円から60万円まで。このゾーンに何を価値としてアピールしにいくか。


意外にクルマを手放せば、もしかしたらこの予算枠は100万円ぐらいにまで伸びるのか、などとも思ったりする。




昨日のI/O

In:
『人とこの世界/開高健
Out:
樋渡・武雄市長インタビュー原稿

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「ケータイでイニシャルコスト抑制」
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昨日の稽古:富雄中学校武道場

・縄跳び
・基本稽古
・移動稽古(蹴り)
・ミット稽古(蹴り/受け)
・約束組手(蹴りの受け)
・組手稽古