とってもスーパーなスーパーホテル

atutake2008-10-16



一泊4980円ポッキリ!




どんな部屋かといえば、写真の通り。スーパーホテル新居浜である。このホテルの売りは『安心・清潔・ぐっすり眠れる』。キャッチフレーズは当たらずといえども遠からずといったところだろうか。


とりあえず、ぐっすり眠れることにこだわっているからだろうベッドは大きめだ。寝心地もまずまず、クッションが柔らかすぎないのがよい。ただなぜかベッドのちょうど頭の部分の上に、もう一つベッドがある。エキストラベッドなのだが、これがかなり微妙な存在だ。


つまり寝っ転がると目の前にベッドが迫ってくるわけで、人によってはその圧迫感が気になるだろう。一方で何となく安心感みたいなものを感じさせてくれもする。ほら、子供の頃にやりませんでしたか。机の下にもぐって、そこにこたつ布団をかけて秘密基地を作ったでしょう。あの気分を少し思い起こさせるのだ。ただ、もし実際に誰かが自分の頭の真上にいたら、熟睡できるかどうか。こればかりはやってみないとわからない。


また、このホテルの変わっているところ、好意的にとるなら良いところと評価してもいいかもしれないのが枕を選べること。フロントの前に何種類かの枕が棚に入れてあって、自分の好きなタイプの枕を持っていくことができる。なかなか合理的である。ついでに浴衣も必要な人は、ここから持っていく。なかなか省コスト的である。


部屋そのものは広くはないが、狭苦しくもない。以前何回か数カ所で泊まったことのあるA○Aチェーンのホテル(そういえば最近、あの派手な帽子をかぶった女社長の広告を見ないけれどどうしたんだろ?)と比べれば、ずいぶんと広いといってもいい。とはいえ、もちろん学士会館のゆったり感とは比べるべくもないが。


机の広さもまあまあ何とか仕事ができる最低限はある。インターネットは当然、無料でつながる。冷蔵庫の中は空っぽ。ユニットバスには歯磨きがあり、石けんなどは詰め替え式となっている。


スーパーホテル、かなり戦略的に考え抜かれているのではないだろうか。


まず価格と価値のバランスを考えてみれば、5000円でこの空間はかなりお得感がある。残念ながら朝食は食べなかったが、この値段で朝食もバイキングがついている。そして1階にはドリンクの自動販売機があって、朝食のときはカップコーヒーなどの販売機が無料開放されるらしい。これまた合理的である。


とにかく合理的というのが、スーパーホテルのコンセプトなのだろう。そう考えれば、なぜ『安心・清潔・ぐっすり眠れる』にこだわっているかも理解できる。

ビジネスマンの多くは、午後十時前後にチェックイン、朝八時前後に出かけます。つまりホテルでの滞在時間は約十時間で、この七、八割を睡眠が占め、お客さんはベッドにいるわけです。ここにこだわり、できる限りとんがってみようと思いました(日本経済新聞2008年10月14日付け夕刊5面)。


快適に寝ることに絞り込み、ここを最優先した。そして削れるところは徹底的にコストを削った。ホテルでもっともコストがかかるのが人件費である。なぜならホテルはサービス業であり、サービスとは人がするものだからだ。ところがスーパーホテルはおそらく、自らをサービス業とは考えていない。睡眠施設業とでもいえばいいのだろうか。


そこで人件費をたぶん極限までカットしている。たまたま泊まった夜、打ち合わせがあって戻りが夜中の2時になってしまった。玄関ドアは閉まっている。おっとぉ〜と思いきや、横の壁に張り紙があり夜中は暗証番号を入力すれば自動ドアが開くと書いてある。この暗証番号とは部屋の暗証番号のこと、このホテルでは部屋に入るときカギは使わない。ドアノブの入力端末に自分の部屋に割り当てられた暗証番号をインプットするのだ。


そしてホテルに入ってみてびっくり。誰もいない。なんと夜間はスタッフは一人もいないのだ。何かあったらどうするねん! というのはここを普通のホテルと考えるからで、睡眠施設と割り切れば何かあることは滅多にないという割り切りなのだろう。


割り切りといえば写真を見て何か気づかれることはないだろうか。この部屋には普通のホテルには必ずあるものが一つ、欠けている。電話である。これだけケータイが普及しているのだから、わざわざ部屋に電話はいらんだろうという発想だ。もし電話があると、なかには使う人も出てくるだろう。そうするとチェックアウトが必要になる。そう、このホテルはチェックインのときに支払を済ませれば、チェックアウト不要なのだ。だって、部屋におカネのかかるものはないのだから。


これも睡眠施設業と割り切ったからこそ、できる芸当である。チェックアウトしないのだから、朝フロントの前で並ぶ必要もない。だから朝もスタッフはいない。よって人件費が大幅にカットできる。その結果、寝心地の良いベッドで4980円で泊まれる。


ホテルでありながら、従来のホテルとはまったく発想で開発されたホテル(というか睡眠施設)、それがスーパーホテルである。結構良いよ、ここ。


昨日のI/O

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